第8話:王との面会
「こんにちは、ランスロット。お父様からの使いですか?」
「いえ、ちょっと違いますけどね」
「初めまして、ランスロット殿。俺はクロヤ・テルミヤです。今後ともよろしくお願いします」
一応礼を逸してはいけないだろうと思って、自己紹介をした。しかしこの人、強いな。俺が神様と初めて本気で相対した時の強さがある。
しかもあれで強さを抑えてるって言うんだから、本当に一歩間違えば化物だぜ、あの人は。っていうか、神だったな。
「ふうん、なるほど。勇者を任されるだけある、って訳だね。いつか君と本気で戦って見たい物だ」
そう告げると、通り過ぎて行った。肩に当てられた手の感触がいまだに残っている。なんて威圧感だよ。そう思いながら前を向くと、目をキラキラさせた姫様の顔があった。
「……どうしたんですか?」
「ランスロットに本気で戦って見たいなんて言われるなんて、やっぱり凄いんですね!勇者様は!」
「その勇者様っていうのやめて。俺の事はクロとでも呼んで下さい」
「それならクロも私の事はアリシアって呼んで下さい!」
「分かったよ、アリシア。ほら早く王様の部屋まで連れて行ってよ」
「あ、そうですね。こちらです」
俺はアリシア先導の元、廊下を十分ほど歩き一室の前に着いた。部屋の中を探ってみると、一人しか気配が無かった。
アリシアが扉を開くと、圧倒的な威圧感が俺に向かって押し寄せてきた。一瞬黒の力で剣を作り出しそうになるぐらいだった。
「お父様、失礼します。こちらが神より授けられし我らが勇者様です」
「初めまして、クロヤ・テルミヤと申します。あなたがこの国の王、ですか?」
返ってきた声はまるで少年のような声だった。っていうかこの声はもう少年だろ!その姿は俺と同じくらいの身長で、子供のような外見だがその身に纏う気はとんでもないというちぐはぐな人だった。
「初めまして、いかにも俺がこの国の王ガレルザ・ヴァルフェイルだ。よろしく頼むぞ、勇者殿」