私が…私は…間違えたのか?
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また時が過ぎた。
ワクチンができた。
この世界を牛耳る大きな国がワクチンを作り、全世界に提供した。
毎日病院には長蛇の列が並んだ。
この世界になって医者や看護婦さんなどが一番大変そうだった。医者不足だと皆が言っていたが、あんなに高い学費は何を言っても下がることはなかった。そりゃあ不足するだろぅ…と、心の底から思った。
ぼくらはようやく前進した。
〇
ワクチンを接種してほっとしていると、同じ病名の違う種類の病が流行りだした。
そのワクチンはその種類の病には効かなかった。
皆が皆心の底からがっかりした。
前進するとまた何か壁があり、その壁を上るとまた新たな壁が出てきた。
それらの壁は自分の力ではどうすることもできなくて、何かに誰かに頼ることしかできなくて、ぼくらにできることは人を極力避けて生活すること、外に出ない事、もしも外に出る時はマスクをすること…これらしかなくて、これらを実行していても感染者は毎日増えていって、皆が皆少し行き詰って、そして少し目を背けた。
全力で関心を持っても、毎回帰ってくる答えが優しくないと、出来るかぎりの努力をしても、感染すると、どうすることもできない怒りに苛まれる。
なんで?どうして?そう声に出しても、答えがないから、皆知らないから、どうすることもできないから、そんな声を上げてもその声は川の水のように永遠と流れていき、いつしか永遠に広がる海の水へと変わってしまう。
関心が薄まるとその分だけストレスが減った。
そしてずっと病の事しか言わない報道に「まだ言ってんだ…」「まだやってんだ…」と少し嫌気がさしてきた。感染者が減ると「外は楽しいですか?」というインタビューになり、感染者が増えると「何で外に出てるんですか?」というインタビューへと変わった。これを毎日交互にまじめな顔をしてやるのだから、見ている方もやっている方も一様に首を傾げた。
●
病にのみ関心を示していると国はいつの間にか大打撃を受けていた。
国民が外に出ないと働かないとお金を使うことがなくなるとこの世のルールが変更されると…人が動くことによって回っていた国の土台は…まだ何とかなるがこれが後少しでも続くと…土台が傾き崩壊してしまう。
土台が崩壊すると病で苦しむ人間の千倍以上の人間がもしかしたらそれ以上の人間が苦しむ事になる。働く所がなく食料すら買えなくなる人間が長蛇の列を成すだろう…そして今度は病がどうのこうのと言っている場合ではなくなる。
「どうしますか?」
「ご決断を!」
少ない犠牲で済んだらば…少ない犠牲で済んだらば…
「緊急事態宣言を解除する」
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私が…私は…間違えたのか?
病が流行しだした時点で航空便を全て停止するべきだったのか?
結果的に停止していたのだから…遅いか速いかのちがいでしかなかったはずだ…。
わたしはまちがえた。わたしは間違えた。
国民を外国に出すべきではなかった…他国の人間…特に病気が流行していたであろう国の人間を…絶対的に入れるべきではなかった…。
そこで判断できていれば…自国で病は流行らず…国民は苦しむことなく死ぬこともなく元気で外に出歩いていたはずだ。
「でも…」
そんな簡単に…
出来ることではないのだから…
きゅうに停止なんて…やっぱりできないし…非難がくる…どうすることもできない理由で出ていかなければいけない人間…入国しなければならない人間…届く物…送る物…食力飲料…全ての人間の明日につながる物…今日を支える物…
「まちがえたのは…」
私だけではない…
「だから…」
いいのか…
「ぃゃ…」
そんなわけがない




