21 敵陣へ
明けて翌朝、宝来尊たち三人が向かいの暗黒城の城門前に着いたとき、いつもの燕尾服の男が既にそこで待っていた。
「これはこれは新魔王さま、お初にお目にかかります。私はバルザーと申します。以後お見知りおきを」
そう言って恭しく頭を下げる。
「あ、これはどーも。宝来尊です」
宝来尊も釣られるように、ペコリと会釈を返す。
「しかし今回のご参加がこれだけとは……せっかくの親睦会も、あまり盛り上がることなく終わってしまうのではありませんか?」
その時バルザーが残念そうに首を横に振るが、直ぐに嘲るような笑みを宝来尊に向けた。
次の瞬間、シラネの呼び出した漆黒の大鎌が、宝来尊とバルザーの間を遮るように差し込まれる。
「ミコトさまへの無礼な物言いは赦しません」
「これはこれはシラネさま、大変失礼致しました。しかしこれからは同僚となる身、お互い仲良く致しましょう」
「き、貴様っ!」
シラネの全身から憤怒のオーラから噴き上がった。彼女の気迫に呼応するように、艶のあるツインテールと黒のドレスが激しく波打つ。
「まあまあシラネ、落ち着いて」
すると宝来尊は、大鎌を握るシラネの手を、包み込むようにそっと握りしめた。
「ミ、ミコトさま⁉︎」
驚いたように、シラネが宝来尊を見上げる。その表情に軽く微笑みで返すと、宝来尊はバルザーへと向き直った。
「ご心配ありがとうございます、バルザーさん。せっかくの親睦会がツマラナイものにならないよう精一杯頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします」
「あ、こ、こちらこそ失礼した。直ぐに会場へご案内致します」
宝来尊の丁寧な物腰に毒気を抜かれたバルザーが、近くの門番へと開門の指示を出す。
「相変わらず風格は一丁前だの、小僧」
「それはどーも」
ホシワリの微妙な賛辞に笑顔で返し、宝来尊は暗雲立ち込める暗黒城へと踏み込んでいった。




