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20 ホシワリの料理

 魔界大綱引き大会を前日に控えたその日の晩、三階大食堂の食卓に宝来尊ほうらいみことの姿があった。


 横には、あからさまに不機嫌オーラをまとったシラネの姿もある。


「まあまあシラネ、いつも頑張ってくれてるんだから、たまにはゆっくりしてくれたら良いよ」


「ミコトさまがそう仰るなら構わないのですが、それでもあの者の言い様が気に入りません」


 再び思い出したかのように、シラネは頬をプクッと膨らませて拳を握りしめた。


「まあ、確かに…」


 そんなシラネの仕草を見ながら、宝来尊が苦笑いを浮かべる。確かにあれは頂けない。


『明日は大事な一戦だ。嬢チャンの薄味料理では力が出んからの、今日は儂が本当の料理と云う物を見せてやる』


 そう言ってホシワリは、笑い声を残して厨房の奥へと去っていった。


 その後、残されたシラネが大鎌を振り回して大暴れするのをなだめるのに、どれほど苦労したことか。再び雲行きが怪しくなる前に、宝来尊は話題を変える事にした。


「そう言えば明日の勝負さ、俺たちが勝ったら誰を引き抜いたら良いと思う?」


「…その件について、ミコトさまにお願いしたい事がございます」


 シラネが真剣な眼差しを宝来尊に向けた。


「良いよ、言ってみて」


「実は…共にこの魔王城を最後まで守り切ろうと誓い合った友人が、卑劣な手段によって引き抜かれてしまったのです」


「卑劣な手段…?」


「はい。唯一の肉親である病気の母親を、人質に取られてしまったのです」


「それは…酷いな」


「はい、ですから…っ」


「だけど、引き抜けるのは一人だけなんだよね?」


「……はい」


 そこでシラネは黙ってしまう。仮に連れ戻したとしても意味がない事は、彼女にも重々分かっているようだ。


「よっしゃ完成だ。今から並べるけど、熱々だから気を付けろよ!」


 そのとき厨房からホシワリの声が聞こえてくる。


「出来たみたいだ。一応何か方法がないか考えてみるから、今はホシワリの料理を食べよう」


「はい…はい、ミコトさま! ありがとうございます」


 そう言ってシラネは、嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。


 〜〜〜


 食卓に並んだホシワリの料理は、赤、赤、赤。


 ドロっとした汁物は、表面で泡が弾ける度に目がシパシパする。見るからに激辛だ。


「ガハハ、やはりこれくらいパンチが効いてないと食べた気がせんよな!」


「こ…この様な味覚の持ち主に、わたくしの料理を愚弄する資格など一切ありません!」


 このあと、再びシラネが荒れたのは言うまでもない。

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