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ザマぁ!

「誰が倒したんですか?」


 受付嬢さん、答えを知ってるからって煽り過ぎですよ?

 完全に出発前のこと根に持ってますよね?そこは知らない体で話を進めたほうがいいのに・・・完全にイラついてますね。

 

「今ならまだ罪は軽くできますが、次に口を開いた瞬間からの発言に嘘があった場合は、全てを虚偽罪として、課せられるであろう罰則や罰金が三倍になります。それをよく考えて発言してください」


 何そのシステム怖い!

 てゆうか、そんな罰則システムがあるんなら最初の説明の時に言ってよ!


「そ、そのワイバーンは」


「は?」


「も、もらったんだ!そう、通りすがりのライダーがくれたんだよ!」


「は?」


「そのライダーとは何者ですか?あなたと同じ犯罪者ですか?」


「知らないやつだよ!今日初めて会っ・・・いや、そうだ!今朝会ったんだよ!それで、討伐を助けてくれて、ワイバーンはその時にもらったんだよ!」


 ふむ・・・なわけあるかぁ!


「それでは、そのライダーさんをお連れください。直接その方と話をして、譲渡契約がなされてるのかを確認しないと、貴方がワイバーンをもらったという証明になりませんので。そもそも、もらったとおっしゃいますが、貴重なワイバーンをポイポイ譲るなんて、正気の沙汰と思えませんが」


 ワイバーンは劣等種とよばれはするも、その牙。爪。皮。皮膜。肉。骨。は武器防具などの加工素材として優秀で、市場に出回れば数日で品切れを起こすほどの人気である。ドラゴンの素材などは、いつ出回るかもわからない上に、市場に出回る前に貴族などが裏から大金を出して集めるので、そうそう出回ることはないし、出ても討伐の際の傷だらけや鱗の欠片ていどである。それほどにワイバーンんお素材は比較的入手しやすく強度も良く、加工しやすい素材なのだ。


「私たちも日々の業務が滞ってしまうので、今の発言の精査に入らせていただきます。しばらくそちらの席でお待ちください」


「お、ぉぅ・・・」 

 

 帝国は王国のような各種硬貨で管理しておらず、基本身分証に入金して、そこから引き落とす形を取っており、単位はコインだ(まんまかよ!)

 

「お待たせしましたタケシ様。カウンターまでお越しください」


 へっやっとかよ・・・と悪態をつきながらカウンターに向かうタケシ


「まず最初に、言葉の端々に嫌悪感が滲み出る様な話し方をして申し訳ありませんでした」


 ぉぃ!言い方!謝ってるの?煽ってるの?


「それではタケシ様から徴収する報酬の報告からさせていただきます。

 依頼書強奪による罰金10マンコイン

 討伐依頼失敗の違約金50マンコイン

 ワイバーンの処分費40マンコイン

 ギルドホール汚損の修繕費30マンコイン

 帝都内の道路の掃除費20マンコイン

 討伐虚偽報告の罰金100マンコイン

 そして、最後に伺った虚偽報告による三倍精算で合計750マンコインとなります。

 違約金罰則金に関しては分割が適用されませんので、即日お振込いただくか、後日振込でも構いません。但し後日振込の場合は一日一割の利息と、振込手数料が振込金額の二割かかりますので、どうぞよろしくお願いします

 異議申立てはギルドマスターにアポイントメントを取った後に行ってください。その際も利子は加算されていきますのをご了承ください」


 うっわ~えげつないな・・・



◇◆◇



「・・・・は?


 報酬は?

 ワイバーン狩ってきたきただろうが!

 その報酬はないのかよ!?

 処分費だ?

 どういうことだよ!」


 唾飛んでるよ


「先ほども申し上げた通りです。受付との確認作業のないまま依頼書を持っていかれたのでは、討伐可能なパーティーの方々に依頼を出すこともできなくなるので、罰金です。

 依頼失敗に関してはお話しした通り、数が足りませんし、そもそも一匹も討伐してないのは明らかです。

 処分費・・・あのワイバーンのどこに利用価値があるのですか?肉は血抜きもされずそのままだったため、アンモニア臭が強い腐肉に成り果てて、爪は適切な処置がされてないので、使い物になりません。そもそも頭部が見当たらないのですが、どこに置き忘れてきたんですか?

 虚偽報告はワイバーンを譲り受けたという相手を特定できませんでした。

 それら全てが虚偽の報告なので三倍のマイナス7500000コインとなりました。

 この情報は既にギルドカードに記載済みで、勇者様ということで皇帝閣下に報告済みです」


 うっわ~容赦ねぇ・・・ま、自業自得だけど。そういえば武器を盗んできたみたいなことも言ってたから、その責も追加だねー


「ちょ、ちょっと待てよ!素材・・ワイバーンの死骸は俺らのせいじゃねえよ!アイツだ!通りすがりのライダーが粗悪なゴミを俺らに押し付けたんだ!罰するならそいつだろうが!俺は関係ないぞ!」


 この後に及んで・・・ドローンさん?

 どうやらドローンさんはこうなることを予測して動いてくれてたようだ。


「何故見ず知らずの人がその様なことをなさるのですか?縦しんばそうだったとしても、受け取った時点でひどい状態のワイバーンでしたら、何故それを持ち込んだのですか?」


「煩い五月蝿いウルサイ!」


 タケシは病的に叫びだすと腰の武器を抜き去り、今にも襲い掛かろうとしたが、そんな暴挙僕が許すとでも?


 僕は目の前でそんな暴挙を許すはずもなく一足でタケシの背後に接近し、踝の辺りにローキックをお見舞いする。

 腰を中心に一回転半して顔面から床に叩きつけられる。勿論踝はくだけていて立ち上がることもできず呻いている。


「だれだ!」


「ギルドホール内で武器を抜くのは重罪で、殺されても文句は言えないんだぞ?

 最も、殺されてた方が楽だったかもしれないけどな」


 ローキックも、折砕くために叩きつけるでなく、振り抜いてみたら見事に回って、少しだけ面白くて溜飲が下がった。


「ショウ様ありがとうございます」


 ぁ、ここでバラすのね?『解除』


「ぁ、どうも。通りすがりのライダーです」



◇◆◇



「てめぇ!てめぇがあんなゴミをよこしやがったから罰金750マンとかなったんだぞ!お前が払えよ!

 勇者を助けることができるんだぞ!帝国民としてうれしかぎりだろうが!」


 ・・・


「ごめん、僕帝国民じゃないから、わかんないや」


「は?何言ってんのお前」


「僕さ、海の向こうの王国民なんだ。だから帝国の勇者に敬意?払う謂れも敬う必要性も感じないんだ~」


「でも、お前が俺にくれた死骸が痛んで・・・「もういいかな?」あ?」


 そう宣言した瞬間ギルドホールにスクリーンが現れ、一枚には何やら偉そうなおっさんが、もう一枚には  勇者奮闘記(へっぽこ)R18 とタイトルが鎮座していた


「あーあーあー、聞こえますか?帝国勇者召喚責任者Aさん。こちら帝都冒険者ギルドですが」


 戸惑ってる戸惑ってる・・・現在先読みしてくれたドローンさんが双方向通信可能な状態にセッティングしてくれたのだ。信憑性を高めるために


「すまんな、俺は帝都ギルマスだ。勇者がとんでもない問題を起こしたんでな、確認作業に同席してくれや。大丈夫、今からそっちにもある隣の映像が数分流れるから黙って見ててくれ。加工はできない。全て真実だ。始めてくれ」


 今この場には勇者タケシ他パーティー四人全員が揃っている。他の冒険者が帰ってくると面倒なので、ギルド職員の一人が入り口を閉鎖した上で外で対応してくれている。後で何か食べ物でも・・・


 上映が開始されてしばらくすると、女の子が暴れ出したが、他の受付嬢さんが取り押さえてくれて、セクハラとか言われなくて済んだ。タケシもカズも暴れたが、タケシは両足の踝が破壊されて、右手もないから、容易に黙らせれた。それを見てカズも大人しくなった。

 へっぽこ勇者の奮闘記エンドロールの様子はタケシ以外がギルド前までワイバーンを引き摺る姿が映し出されており、ドローンさんが引き摺った跡をアップにすると、肉片やら内臓が落ちて、顔を顰めてる住人の様子も映されていた。


 上映終了後ギルマスが


「見てわかりましたかな?現在此方で勇者一行を拘束しておりますので、十分以内に此方に来ていただけますか?」


 と言って映像をカット。ドローンさん本気神!

 放心状態の勇者一行を反省室(独房)へ放り込んで、責任者の到着待ちと、ギルド入り口の開放。

 ただ、ホールは僕が生活魔法(クリーン)で先に掃除をしておいた。「だって臭いんだもん」・・・と笑ってると、到着したようで、外が騒がしくなった。



◇◆◇



「ここか!我らが勇者を監禁しているのは!」


 はいOUT


「ここでは他の冒険者の邪魔になるので、会議室に移動しませんか?」



 会議室に移動したのは

 ギルマス

 担当した受付嬢

 (ショウ)

 盗賊

 盾

 勇者責任者


 の六人だ。なぜ勇者一行の二名がいるかって?客観的な意見もほしくてね。

 ならタケシやカズは?

 暴れると面倒だから反省室に拘束した上でリモート会議です。ドローンさんマジ最高(それに最悪音声カットできるし)


「さて、責任者殿?映像は見ていただけたと判断してよろしいですか?その上で先程の台詞というのはどういう了見でしょうか?」


 ギルマス怒ってんなぁ・・・それに対して責任者さんは鼻で笑うように


「あんな訳の分からないものを一方的に見せられて、はいそうですかと言えるか!監禁してるのは事実だろうが!」


 仮投獄ですが?


「その前に、勇者タケシ一行が犯した反則罰則金に関しては、帝国が支払うということでよろしいでしょうか?それとも一行全員犯罪奴隷とし借金返済まで働かせる方向でしょうか?その際も一日一割増えていきますが」


 犯罪奴隷が一日にどれだけ稼ぐか分からないけど、一日一割・・・75マンコイン・・・・割合計算しても7:2:1(三人)

 タケシ 525000

 カズ  150000

 女   25000

 盗賊  25000

 盾   25000


これを奴隷の賃金で/日・・・ぁ、これ利息だけだ!


不可能だろ


 けど。責任者が来たって知るとタケシはなんか気持ちの悪い顔でニヤニヤしてるんだよね・・・


「我々が聞きたいのはそんなことではありません、違約金罰則金等の支払いはできるのか?ということです」


「金の亡者が・・・お前らは帝国に・・・皇帝陛下に歯向かうということで良いんだな?」


「それは、責任者様の言葉は皇帝陛下の言葉ということですか?」


「そうとってもらっても構わないのでは?」


 不敬罪ではありませんかね?みなさま


「と、おっしゃってますが、いかがですか?宰相閣下」


 実はあの映像見てたの責任者さんだけでなく、宰相閣下の自室でも流してたんだよね・・・そして、少しだけタイミングをずらしてギルドのお越しいただいたわけで・・・


「随分と偉くなったものですね?何か言い残し言葉はありますか?」


((((;゜Д゜)))))))<こ、これには深いわけが


「檻の中の勇者諸君!これまでの悪事も調べがついているから、覚悟するように!」


「帝都周辺の魔物から帝都民をまもってくれているギルドの方々に多大な迷惑をかけたこと、深くお詫びする」


 よかった・・・宰相さんはまともで


「違約金等々支払いは今から手続きでよろしいか?

 改めての謝罪は後日として、犯罪者どもを連行したいのだが、構わないだろうか」


 そして宰相閣下は勇者一行を連行し、迷惑金含めて1000マンコイン収めて帰っていきました・・・


「ねぇギルマス?」


「どうした?」


「これで本当に終わりでいいんですよね?」


「後日宰相閣下が来るって言ってただろ?それが終わって本当に最後だ」


「ギルドのことだから僕要りませんよね?」


「宰相閣下が去り際に言ってたぞ?」


「なんて?」


「あの少年(ショウ)も同席させるようにって」



orz



◇◆◇



数日後、ギルドにて宰相閣下とギルマスとの間で話し合いが行われ、無事和解が成立したそうだ。

 何故他人事?その場に同席しなかったから、後で人伝にきいたのだ。


 事は少し遡る


 実はこれ以上の面倒事に嫌気がさした僕は先手を打ったのだ。

 宰相閣下の元には前回の件でドローンさんがこっそりと待機しており、そのドローンさんを宰相閣下専用機として譲渡し、帝都内のドローンとの相互通信網も渡すという契約で、これ以上関わらないでくださいとお願いしてみた。

 二つ返事で了承して切れた上に、何か困ったことがあればなんでも相談に乗ると、困ったことがなくても相談してくれとか、逆に相談に乗ってくれとか・・・

 あれ?趣旨変わってきてないですか?


 そんな感じの密約?が成立していたのだよ!


 あの時の勇者一行は全員犯罪奴隷落ちとなり、鉱山奴隷となってはいるが、タケシとカズは終身、他三人は五年となった。タケシの足は治療されたが、腕は生えてない。カズは去勢された。他の三人は最初ゴネていたが、止められる段階で止めず、同行した時点で罪だと断罪された。



「やっとのんびりできるな・・・」


「ショウ君?随分と私たちを放ったらかしにしてたわねぇ?香織ちゃん激おこよ?ミネルバちゃんも・・・」


「・・・」


「のんびりできるんでしょ?大丈夫よ、一人一週間くらいはのんびりと相手できるから・・・」


「ショウ様?」


「きゅっ?」


「・・・」


去勢って・・・なんで玉?竿じゃなくて?

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