★第224話 閑話 もう一方の海賊船にて。
ラティナが聞きたがった冒険者三人の戦闘の模様を、説明しつつは読みにくそうなのでジグ視点で描きます。
2024年3月6日追記↓
2024年3月より、作品にいただいたファンアートの中でも、ご本人様からご許可をいただけたものを作品冒頭や本編に順次載せております。
今回は しー様(TwitterID=@sii_ponzu)より、ルミアのイラストを載せさせていただきました。本当にありがとうございます!
ダンクたちに左舷から近付く海賊船への対処を任せた僕たちは、右舷に待機して敵に備えていた。
「ジグさんジグさん、面倒ですからあの船が射程に入ったところで、あなたの炎魔法と私の風で沈めちゃいませんか~?」
「ん~。まぁ確かにそれなら早いし、誰も怪我しなくて済むね」
「まあ! 二人とも、私の出番は無しですか?」
面倒くさがりなルミアの提案に僕が乗ると、イリトゥエルが頬を膨らませて拗ねる。
「じゃあ三人でやろうか。いち、にの…さん!
『エル・ファイアー!』」
『『エル・トルネード!』』
僕たちは敵船が充分に接近したのを見計らってタイミングを合わせると、同時に魔法を放って攻撃を開始した。
……まぁ開始したというか、これでお終いだ。
ラティナとルミアが合わせたそれよりも強大な威力を持つであろう炎の渦は、敵船へと一直線に向かって炸裂して……そしてかき消えた。
「なっ…!?」
「あらまぁ」
「えっ!?」
ドゴオォォッッ!という轟音と共に直撃した魔法は確かに船体に届いたはずなのに、船には多少の焦げ目がついただけで沈むどころか穴も開きはしなかった。
そしてお返しとばかりに矢の雨が降り注いできたので、驚いていた僕たちは慌てて盾魔法でそれを防いでいると、更に敵船の接近を許してしまった。
「乗り込まれちゃまずい……イリトゥエル!」
「はいっ! 『エル・エリア・ブリザード!』」
船がこれ以上近付くとこちらが戦場になるので、イリトゥエルの氷魔法で海を凍らせてそれ以上は互いの船の距離が縮まらないようにした。
「あの船を直接攻撃してもダメなら、乗組員を倒すしかないね。戦うならここよりは氷の上か敵船が良いと思うんだけど、二人はどう?」
「私も同感です」
「私はどちらでも構いませんけど、相手も同じ事を考えているみたいですね~」
相変わらず降ってくる矢を防ぎながら僕が尋ねると、イリトゥエルは同意したがルミアが指差す方向には既に、氷の上に降りてこちらに向かっている海賊たちの姿が見えた。
「おっと、そういうことなら……。
『エル・エリア・サンダー・レイン!』」
僕は氷の上を進んでくる海賊たちと、その足場となっている氷に雷の雨を降らせると、足場が破壊された海賊たちは海へと落ちた。
「よし、これで奴らは来られない。あとは向こうの船が動き出す前に飛び移ろうと思うんだけど……」
「もちろん私も行きます!」
「私もいきますよ~」
「ですよね……『自在粘糸!』」
僕は糸を出しながら二人の方を見ると、同時にそう答えたので一緒に行くことにした。
お互いを結んで海賊船の柱に粘着糸を貼りつけ、一気に縮めると敵船が近付く前に乗り込み、ひとまず周囲の海賊を蹴散らす。
「とりあえずどんな相手がいるか分からないから、ルミアは後方支援、イリトゥエルは魔法攻撃で敵との距離を保っておいて」
「「了解!」」
僕は白剣を抜くと襲い掛かってくる海賊を斬り、飛んできた矢はルミアが風の盾で防ぐ。
その間にも周囲にはイリトゥエルの風や氷の魔法が降り注いで、海賊たちの人数がみるみるうちに減っていく。
「な、なんだコイツら! 騎士…いや、3級以上の上級冒険者か!?」
「悪いけどまだ7級なんだ」
「そんな馬鹿なっ……がはぁっ」
最後の一人を斬り伏せると、甲板の上にはもう僕たちしか残っていなかった。
「もしかして向こうの船に海賊の頭領がいるのか、それとも最初に沈めた船にいたのかな?」
「賊とは言え集団を率いる者がいきなり突っ込んでくるとは思えませんし、それはどうでしょうね?」
「案外、乗り込んできた私たちの実力に恐れをなして、下で震えてるのかも知れませんよ~?」
辺りを見ながら僕たちがそんなことを話していると、調べれば分かることですよ~などと言ったルミアが下に繋がる階段へと進む。
「ルミアったら…そんな事を言って油断していると、今に痛い目を見ますよ?」
「大丈夫ですよ~。ここからはちゃんと索敵魔法を使っ……」
イリトゥエルとルミアが軽口を叩いているその時だった。
木製の床が突如として吹っ飛び、下からは触手のようなものが伸びてきてルミアの体を拘束した。
「ルミア!」
「ダメだイリトゥエル、一旦下がって!」
「うぅ~、こ、これは…」
空中をユラユラと漂っているのは一瞬蛇に見えたが恐らく鞭だ。
それが床下から溢れ出てルミアを縛り上げ、こちらを狙うように先端を向けている。
第一印象で何となく蛇だと思ったが、その動きは見れば見るほど口が無いだけの蛇に見える。
しかもルミアが拘束されたままというのが驚きだ。
いつもならこんなものは身体強化ですぐに引き千切ってしまうと思うのだが、逃れようとしているにも拘わらずルミアはまだ拘束されている。
「あの鞭は相当な代物ですね……」
「うん。捕まったら絶対に危険だね」
「あらぁ? 仲間が捕まっている割には案外落ち着いてるわねぇ?」
僕とイリトゥエルがこれからどうするべきか考えていると、下から鞭の持ち主と思われる女性の声が聞こえてきた。
そしてルミアを捕らえたままその相手が姿を現すと、そこには色黒でやけに露出度の高い服を着た……そう、薬品工房のリジェンダさんと、リザードマンの集落で戦った魔族のグレイジーナを足して2で割ったような女がいた。なんなら武器までグレイジーナと一緒だ。
「……あんたがこの船の船長?」
「そうさ。しかしまぁ、アタシの可愛い子分をよくもこんなにしてくれたねぇ!」
僕の質問に答えた女海賊は周りを見回して怒りを露わにすると、それに応えるかのように鞭がしなり、床や柱をビシィッ!と叩いた。
……腕を振らずにそんなことが出来るとなると、下手をすると僕の糸と同じくらい自由に動かせるのかも知れない。
「お喋りはそこまでです。大人しく投降して早くルミアを解放しなさい!」
「なんだいこの小娘は……へぇ、エルフがこんなところにいるなんて珍しいねぇ。このお嬢ちゃんもそうだけど、二人揃って売り飛ばせばかなり良い値がつきそうだねぇ!」
イリトゥエルを見た女海賊はそう言って舌舐めずりすると、鞭が反応してこちらに伸びてきた。
「私はジグのものですし、親友のルミアだって売り飛ばさせるつもりはこれっぽっちもありません!
『エル・メニア・ウインド・カッター!』」
「そうだ! 仲間をアンタの好きになん……ええぇっ!?」
イリトゥエルが口走った事は無意識に出たものらしく、彼女は襲い掛かってくる鞭を風の刃で迎撃して普通に戦っていたけれど、驚いた僕は一瞬注意が逸れてしまった。
「あっ、しまっ……」
そしてその一瞬を見逃さなかった女海賊に鞭で捕らえられると、未だにもがいているルミアと一緒に空中に持ち上げられる。
「ちょ、何してるんですかジグさぁんっ!?」
「だ、だってイリトゥエルがいきなりあんなことを言うからっ」
「そんなこと分かりきってた事じゃないですか~! なぁにを今更照れたり焦ることがあるんです? 彼女があなたのことをどう思ってるのか、そしてあなたが彼女のことをどう思ってるのか言ってご覧なさい、さぁ今この場で、神である私の前で言ってしまえば良いのです! 今はここが世界の中心なのですよ~!」
「何を叫ばせようとしてるのか知らないけど、ルミアさんはいい加減に黙って!?」
「えっ、私ったら先程何か変なことを言いましたか!? ジグが狼狽えるような事を言ってしまったのですか!?」
鞭でグルグル巻きにされているにも拘わらず……脱出できないにも拘わらずルミアはどんどんヒートアップして、怖いくらいに眼が爛々と光っていた。
他人の恋愛話となると、なぜ人はこうも……いや、神でさえもお節介になるのだろうか。出来れば放っておいて欲しい、切実にそう思う。
「と、とにかく脱出を……!」
「それがですね~。この鞭は恐らく恩恵の武器でも魔道具でもなく、神装武具なんですよ~」
「なにそれ初耳なんだけどっ!?」
僕が拘束から逃れようともがき、鞭に捕まらないように必死で耐えているイリトゥエルをよそに、ルミアは呑気にそんなことを言う。
「神具とも言いまして~、簡単に言えば恩恵で授かる武具や魔法よりも上位の存在ですね~。しかもこれは授かったものにしか扱えない恩恵と違って、魔力を捧げるなら誰にでも扱えちゃうんですよ~」
「そんなものがこの世界あって、その使い手が海賊だなんてアリなの!?」
「いやいや~、さすがに神装武具を授かる者はごくごく稀ですし、相応の力も持っているはずです~。
今でも私たちが呑気に話していられるってことは、この者は本来の所有者では無いはずですよ~。
確かにこの『ネプテルバハルの鞭』は相手を捕らえるのが主な使い道ですけど、これを本来授かるほどの者が扱えば私やジグさんはとっくに死んでますからね~」
何だか聞き慣れない単語がいくつか出てきたが、ひとまずそれは置いておくとして……どうやらすぐに命の危険があるわけでは無さそうだ。
「くっ……それでその……これからどうしたら良いと思う?」
「ん~、それなりに扱えてはいますけど、イリトゥエルさんがこのまま逃げていれば、魔力の消耗に耐えきれなくてそのうち自滅するんじゃないかと~」
あがいている僕とは対照的にルミアはもう、グルグル巻きにされたまま魔力を纏って大人しくしている。
……こらこらルミアさん。魔力で防御を固めているとは言え、イリトゥエルはまだ僕らを助けるために必死で戦っているし、拘束されたままで魔法や武器を使われたら危ないんだから、少しは緊張感を持とうよ……。
「えぇ~、でも下手に魔力を使えば大変なのは向こうですし、それにもう限界が近いようです……よっと!」
僕がたしなめると、ルミアはそう言って全身から風を爆発させて鞭を吹き飛ばした。
「あっ、ジグさんはまだやめておいた方が良いです。下手をするとこんなふうになりますよ~?」
ルミアが脱出したのを見た僕が、それを真似しようとしたところで止められる。
よく見るとルミアは全身傷だらけで、ところどころ出血していた。
「これはネプテルバハルの鞭の効果なんですが、この鞭は厄介なことに魔力や魔法を反射させる力を持ってましてね~。
だから先程からイリトゥエルさんが風の刃を叩き込んでますけど、相手が未熟でもなかなか斬れませんし、私が爆風で吹き飛ばそうとしたら反射を受けてこのざまです~」
使い手次第では切断も可能ですし、大人しく待っていれば良かったんですけどね~と続けてルミアは微笑むが、その眼は少し……いやかなり本気になっていた。
「ルミア! 大丈夫なのですか!?」
「ど、どうしてこの鞭の拘束から逃れられるんだいっ!?」
僕たちの元に来たイリトゥエルと、女海賊がルミアの姿を見て別々の意味で驚いていたが、ルミアはそれを無視してつかつか歩み寄ると、目にも止まらぬ速さで女海賊の両腕を肩から斬り落とした。
「え……? キャアァァァァッ! 腕がぁ、アタシの腕がぁぁぁぁぁ!」
「……騒がしいですね、少し黙ってくれませんか」
面倒くさそうにそう言ったルミアが女海賊の両肩に回復魔法をかけて傷口を塞ぐと、落ちている腕…その手の指に嵌められている装飾も魔石も何も無い、表面の滑らかな蒼い指輪を外す。
すると鞭は姿を消して、それを確認したルミアは両腕失って錯乱しかけている女海賊に話しかける。
「この指輪をどこで手に入れました? あなたの前に持っていたのはどなたですか?」
「アタシの腕っ、アタシの腕を返してえぇぇっ!」
「知っていることを全て話せば楽にしてあげますよ?」
泣き叫んでいる女海賊にルミアが優しく微笑むが、やはりその眼だけは笑っていない。
「し、知らないぃぃっ! アタシが襲った商船の宝箱にたまたま入ってたのぉぉ!」
「その商船の所属は? どの国のものかわかりますか?」
「わ、わからない……で、でも船の帆に白と黒の翼が縦に並ぶように描かれてたのだけは覚えてるわっ! 知ってるのはこれだけよ! 早く治しっ……」
女海賊の言葉はそこまでだった。
聞けるだけの情報を聞き出したルミアが踵を返すと、既にその背後には真っ二つになった女海賊が血を噴き出して倒れていた。
「昼の白き風に夜の黒き風……指輪の本来の持ち主は海の民ですか。神から授かった神具を手放した愚か者も、それを金で売り払おうとした商人も、そして奪ったあなたも同罪です。
しかし、先の二人はもう死んでいるのでしょうから、あなたが罰を受ければひとまずこれでお終いですね」
ルミアはそう言って美しく、しかしゾッとするような冷たい笑みを浮かべた。
グランドシェルの時なんて比べ物にならない。これが神の怒りに触れるという事なのだと、その光景を見ていた僕とイリトゥエルは肌で感じた。
「……さて、海賊の始末は終えましたし、最後は船にお宝が無いか確かめたら船を沈めて、お仕事は完了ですかね~?
あっ、それとこれはジグさんが持っていてください。絶対に無くしちゃダメですからね?」
僕たちが固まっているあいだにルミアはある程度いつもの調子に戻ると、そんな無茶振りをしてくる。
「あっ、でもこれって凄く大事なものなんでしょ? それならルミアが持っていた方が…」
「リーダーはジグさんですから、戦利品はひとまずあなたが持っていてください。それにきっと必要になりますから……」
神様の関わっている指輪を持っているのは怖いからと思って辞退するも、ルミアは意味深な事を言いつつ反論を許さないといった雰囲気で僕の手をとり、指輪を僕の右手の中指にはめた。
「ルミア、それも導きの女神としての勘ですか?」
「そうですね~。たぶん、そうなのだと思います~」
心配そうな表情をしたイリトゥエルの質問に答えた頃には、完全にいつものルミアに戻っていた。
そして床にあいた穴から下に降り、船倉や各部屋にある宝箱などを漁ったルミアが少しばかりのお宝にガッカリした後、僕たちは一番奥の部屋で海賊船に最初の攻撃が効かなかった原因を見つけた。
「これって守りの魔道具かな?」
「もう割れてますし、魔力は尽きて効果は無くなっているみたいですね……」
「ということは、あれから更に攻撃を続ければ、船はアッサリ沈められたってことじゃないですか~!?」
僕たちは大きな魔石が乗せられた、燭台のような魔道具を見ながらそんなやり取りをしていると、ルミアが無駄骨だったと溜息をついたが、僕の手にはめた指輪のことは既にお忘れになったらしい。
「もし問答無用で沈めてたら、今頃この指輪も海の底だけどね」
「あ、それもそうでした。じゃあ結果オーライですね~」
僕はルミアの肩をつつき右手を見せると、ルミアはポンと手を打ち苦笑いしていた。
そうして船の探索も終えた僕たちは味方の船に戻ると、再度攻撃を加えて今度こそ海賊船を沈めた。
その後は特に怪我も無かったので、もう一方で戦っているダンクたちの様子を見守っていると、あちらの船にはかなり強くなった三人が苦戦するほどの強敵が乗っていた。
「単純な強さだけなら向こうの二人の方が強そうだね……」
「まぁ、あの鞭を使えばその二人の動きも完封できますから、あの女海賊の立場が上になるのは仕方がありませんね」
「あら、あれって火薬ではありませんか~?」
僕たちが見ていると海賊の一人が投げた瓶が、雷魔法によって着火され大爆発を起こしていた。
「ジグ、このままではやられてしまいます! ここは私たちが助けに……」
「……ダメだ」
僕はイリトゥエルの言葉に首を振る。
「ジグさん、そんなこと言ってると本当に死にかねませんよ~?
いくら私でも、蘇生魔法なんて使えませんからね?」
「分かってる……でもダンクは自分たちに任せろと言った。
それにあの三人がどれだけ努力してたかも、僕は嫌というほど知ってる。他の騎士や治癒術士が諦めて倒れるような厳しい訓練にも、あの三人は最後まで耐えきってたんだから、きっとやれる……いや絶対に出来るはずなんだ」
ルミアが更に重ねるが、僕は拳をキツく握り締めてそこを動かない。
「ジグさんは火薬について知ってると思いますけど、この世界ではまだまだ出回ってない特殊な代物ですからね~。
初見の彼らが水魔法で濡らして着火を防ぐなんて事は、期待しちゃダメですよ~?」
「っ!!」
ルミアの話を聞いた僕は自分の中の常識とダンクたちの常識の違いに驚愕し、咄嗟に彼らの方を見る。
すると霧が晴れてダンクを発見した海賊が、火薬の入った瓶を二つ取り出し、オリヴィエの裏をかいてダンクの元へと放り投げる。
「くそっ……間に合え!『神縛桜糸!』」
慌てて伸ばした桜糸はタッチの差で瓶を包み込むと着火を防いで、それとほぼ同時に三人が動き始めた。
「ラティナさんのあの魔力……何か作戦があるみたいですね」
「まさかラティナはアレを撃てるようになったのか……あっ! このままじゃ危ない。二人とも爆風と衝撃に備えて!」
「あらまぁ。普段は無反応だから今まで気づきませんでしたけど、ラティナさんはアステリナジュムからなかなか良い恩恵を受けてるんですね~」
三人で協力して更に高く跳んだラティナの姿を見て、僕は以前に一度聞いていたラティナの持つ、発動させられない恩恵魔法のことを思い出した。
そして二人に注意を促すとイリトゥエルは氷の盾を張り、ルミアはその眼で何かが分かるのか、ラティナの方を見て感心している様子だった。
そしてその直後に飛来した隕石は海賊船を粉々に粉砕して衝撃波と爆風を生み出し、イリトゥエルの氷の盾に守られた僕は吹き飛ばされているラティナを発見すると、粘着糸で回収してルミアに治療を任せ、落水したダンクたちの様子を確認した。
◇◇◇◇◇
……な~んて事を全部素直に言うわけにはいかないので、神具のことやルミアのこと、そして手助けしたことは伏せることにした。
そんなわけで僕はこちらに海賊の頭領がいたこと、苦戦しながらもなんとか倒したこと、ちょっとした戦利品を得たけど大した額にはならなかったこと、ラティナたちの見事な働きを見て感心したことを伝えた。
「そっかぁ。そっちもジグ君たちが苦戦するほどの相手だったんだねっ」
「うん、でも戦い方が特殊なだけで、単純な戦闘力ならラティナたちの相手の方が強かったと思うし、本当に凄かったよ」
「そ、そうかなぁ。えへ、えへへへ……」
……うん、嘘は言ってない。あくまで必要ないことは話してないだけだ。それにラティナの凄く嬉しそうな顔を見たら、そんな些細なことはどうでも良いではないか。
「ジグ君、聞かせてくれてありがとねっ」
「まぁ、僕たちだけがそっちの事を知ってるのも良くないしね」
ラティナの無邪気な笑顔に良心は少し痛むけれど、キルウルクも言っていたように神様に関わるようなことは少ない方が良い。
あの時のルミアを見て、僕はほんの少しだけそう思った。
別に普段のルミアを怖いとか嫌だとかは思わないし、僕やイリトゥエルにとっては変わらず大切な仲間ではあるけれど、きっと人として普通に生きていくのなら神様のような存在とは、一定の距離がある方が何かと平穏なのだろうと思う。
「あっ、そろそろ日が暮れてきたし、島が見えてくるかもねっ」
「もう夕方かぁ。話してたら結構時間がかかったね」
「私はお腹が空いちゃったよ。晩御飯が楽しみだなあっ」
ラティナとそんな話をしながら前方を見ていると、やがて補給のために立ち寄る島が見えてきた。
そして夕暮れに染まり始めた空には港や街の灯りだけではなく、街からあがる炎による朱も加わっていた。
最近は何だかとても苦戦しながら書いてますが、今回もやけに時間がかかりました。
とは言えこれからに必要な情報がアレコレと出てきましたし、まとめて書けたので結構満足です(*´ω`*)
時系列的に少し前後するので、矛盾や食い違いがあったら是非教えていただきたく思いますので、宜しくお願いいたしますorz
ようやく海の旅も半分まで来ましたが、ここに来てまた何やらありそうです。
ハイワーシズに到着するのはいつになることやらですが、どうかお付き合いいただけますようお願い申し上げます!




