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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第2部 海の国編 (初任務・火焔馬・海の民・ハイワーシズ)

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第187話 閑話 騎士団本部にて。前編 (ディアブラス視点)

今回は初めてとなる騎士団長視点のお話です。


第一部から今まで、登場人物が地味に多い作品かも知れませんが、名前など大丈夫でしょうか…?


大半の登場人物については、別に用意してある設定まとめに記載がありますので、「誰だコイツ……」といった場合にはそちらをご覧いただけると、分かりやすいかもしれません(一応ネタバレ注意です)。

「うーむ……」


 ラジクの求めに応じて増援を送って、はや数日。

 ラジクの弟子たちを派遣した直後に、ドラグニア方面の諜報活動をしていた者から提出された書類を眺めながら、俺はいつものように机に向き合っていると部屋の扉がノックされ、カンディバースに派遣したラジクと、カンディバースに勝手について行ったレストミリアが入ってきた。


「団長、ただいま戻った」


「報告に来たよ」


「おお、ご苦労だったな。色々と確認せねばならないことがあるが……まぁいい。とりあえず座れ」


 俺はレストミリアの方を見ながらそう言うと席を勧め、二人はこちらに報告書を渡すと目の前にあるソファに腰掛けた。


「ひとまず無事で何よりだ。で、向こうはどうだった?」


「増援のお陰でアンデッドや盗賊団はどうにか片付いたが、その後に新手が現れてかなり苦戦した。

 ケルガーの部隊がもう少し遅ければ危うかったかもしれんし、レストミリア殿が来ていて本当に助かったな」


 俺は報告書に目を通しながら質問するとラジクが答え、その隣にいたレストミリアが得意気な表情でこちらを見る。

 ……コイツめ、勝手について行ったことを俺に咎められる前に、ラジクからフォローするように言っておいたのだな?

 こういう所で抜け目ないのは相変わらず小賢(こざか)しいとは思うが、しかしラジクの言うことが事実なら、さすがに責めるわけにもいかない。


「そうか。ケルガーには代わりが向かうまでカンディバースの守りにつくように言ってあるし、盗賊団も壊滅したならひとまずは……」


 俺はそこまで言って手を止める。

 何故なら目を通していた報告書の中に、予め届いてはいたがあまり好ましくない情報であり、現場の報告を受けてから考えようとしていた件が書かれていたからだ。


「まったく……どうしてこの世は、こうも嫌な予感ばかりが的中するのだろうな?」


「と言うことは団長、やはり援軍を出す前に何かしら情報が入っていたということか?」


 俺が頭を抱えるとラジクが興味ありげに尋ねてくる。いや、興味が有るどころではないか。

 何せ本人にとっては重大な情報が含まれているし、場合によってはラジクこそがこの件に一番深く関わっているとも言える。

 が、しかしそれはまだここで話すべきではない。

 俺はラジクが身を乗り出してくるのを制止して、レストミリアの報告書に目を通す。


「ふむ。街の被害と部隊の人数的にも、派遣した治癒術士はこれで足りそうだな。

 衛兵に関しては明日にでも軍から増員されるはずだから、そちらも問題は無かろう。

 よし、ではレストミリアは下がって良いぞ」


「おやおや、私には聞かせられない話でもあるのかな?」


 俺の言葉に対してレストミリアは、こちらを見透かすような眼で見てくる。誤魔化しなど効かないことは知っていたが、それでもこちらの思惑など分かっていて聞くのだから、本当にタチが悪い。


「そういうことだ。ここからは騎士というよりも男同士の話になるから、お前はこれを持って治癒術士棟に戻り、クロエの方に説明しろ」


「それは聞けない相談だねぇ。私にとってもここからが本番なんだから……」


 俺は報告書を返しながら言う。

 しかし率直に言えば普段なら引くはずのレストミリアが、何故か今回は粘ってくる。

 俺とラジクが少し戸惑っていると、レストミリアは更に続けた。


「私にとってラファエラは大切な友人だったんでね。彼女の死に関わりのあることなら、私にも重要な話なんだよ。もしここまで言ってもダメだというのなら、アルテミアにもここに来てもらわなくちゃならなくなるけど……どうする?」


「なっ!?」


「…………」


 動揺したラジクが思わず表情に出してしまい慌てて取り繕うが、レストミリアがそれを見逃すわけもない。


「はぁ……この未熟者め」


「ぬぅ、返す言葉もない……」


 俺が溜息をつくと、ラジクは困り果てたような顔でそう言う。


「レストミリア、一応聞いておくが何故わかった?」


「まぁ、ラジク殿は顔に出やすいからね。

 それに盗賊団の幹部に話を聞いた後から様子がおかしかったし、カサンドラの部下の証言には核心に触れる情報は無かったけど、それでもヒントはあったからさ」


 レストミリアが答えるとラジクは自分の顔を触りながら、不思議そうな顔をしていた。

 この様子だと新しい情報を得ては馬鹿正直に深刻な顔をしたり、普段と違った様子を(さら)け出していたのだろうな……。


 それがコイツの良いところだが、同時に悪いところでもある。特に今後の状況によっては致命的な欠点となりかねない。

 しかし目の前で「おかしいな…」などと言っているラジクに今さら治せと言っても、無理なことくらいは長い付き合いだからこちらにも分かる。

 その点は恐らく、周りが支えてやらなくてはならないのだろう。


「そういうことなら仕方がない。しかしレストミリア……これからの話を聞けば、お前には事が起これば強制的にこちらに従ってもらうし、普段から何かと手伝ってもらうことになる。

 そして何より全てが片付くか明るみに出るまで、破れぬ誓いを立てることになるぞ?」


「あぁ、いいよ。それくらいの覚悟は出来てるさ」


「……そうか。ならばお前もこちら側の人間になってもらおう。ラジクもそれで良いな?」


「レストミリア殿、今ならまだ間に合うのだぞ?

 なにも貴女(あなた)がそこまでして……」


「そこまでする価値があるかは私が決めることさ。そして私の予想が正しいのなら、それだけの価値があると私は思う。だから話を聞かせておくれよ」


 まだ迷いのあるラジクに対して、レストミリアは決意を込めた言葉を投げかけると、やがてラジクも頷いた。


「さて、じゃあ話してもらえるかい?」


 こちらを真っ直ぐに見るレストミリアに、俺は知っている情報を話すことにした。

短いですが切りが良いのでここまでにします。

次回は話の続きを別視点で。


今回の閑話については時系列的なことと展開次第では、大幅な加筆・修正の可能性があります。

あらかじめご了承願います……<(_ _;)>

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