表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第1部 教会の孤児編 (襲撃・修行・エルフの里・黒骸王・巡回の旅・王都攻防戦)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

156/952

第153話 神父の目覚め / 会議の前に…

先日、ブックマークが自分の中で大台だった200件を突破しました!


201件という表示を見たときに、レストミリア並みに「いやっほぅ!」とガッツポーズをしてしまいました。

ありがたい…本当にありがたいです。

現金かもしれませんが、俄然やる気が出てきますね(笑)


感想や誤字脱字報告にも、とても助けられております。ありがとうございます!


これからも頑張りますので、引き続きお付き合いのほど、どうか宜しくお願いいたします!

<(_ _)>

 モルド神父は、アマリアが目を覚ました日の夜中に目覚めた。

 その様子がいつもとまるで変わりなく、前日の夜に寝て翌朝起きたかのような普通の顔をしているので、僕やアマリアはもちろん、すでに気絶から立ち直っていたレストミリアも驚いていた。

 もちろんその体には異常が無く、改めてモルド神父の人外っぷりに皆が軽く引いていた。


「数日も寝ていたのだから、回復して当然なのではないか?」


「いや、あれだけの大怪我をして魔力も死ぬ直前まで絞り切っておいて、寝起きがそこまで普通なのはおかしいよ。

 前に右腕を失ったときにも思ったけど、あの時だってルナメキラの毒と腕が炭化して消し飛ぶような攻撃を受けたのに、回復するまでが早過ぎるんだよね。本当にどうなってるのさその体…」


「はて…」


 わけが分からないと言いたそうなレストミリアと、これまた何がおかしいのか分からないと言いたげなモルド神父が、互いに首をかしげているとアマリアが割って入る。


「さぁさぁ、ミリアはまだ顔色が悪いから寝直して、明日からまたお仕事よ。

 神父様は軽くお食事を摂って、念のために朝まで安静にしていてくださいね?」


「ハイッ!」


「う、うむ。アマリアが言うなら、そうしよう」


 有無を言わせないアマリアの雰囲気に、目が覚めてから頭をヨシヨシと撫でられたミリアさんは忠犬のように、そしてここ一週間ほど…特に食料庫で癒やしの力を発現してから、一気に雰囲気の変わったアマリアに戸惑うモルド神父も、大人しくその指示に従っていた。


「ジグも、病み上がりで作業してきたんでしょう? 早く寝て体を休めてね」


「それはアマリアだって同じじゃないか。僕たちに言うのなら、アマリアもそうしないとね?」


「…そうね。今日はほどほどにしておくわ」


 僕たちは互いにそう言うと休むことにした。

 ちなみにミリアさんは、わざわざ寝袋を運び込んでアマリアの隣で寝ている。

 アマリアも特に反対しなかったし、本人がこの上なく幸せそうなので放っておくことにした。



 翌朝、僕たちが起きて作業や治療に行く支度をしていると、アルテミアがやって来た。


「おはよう。モルド殿が目を覚ましたと聞いたけど……へぇ、あれだけの大怪我だったのにさすがは『爆拳(ばくけん)』。これなら会議に出席しても問題無さそうね」


「うむ。報告を兼ねた会議の話はレストミリア殿から聞いている。どうやら俺が寝ていたせいで、随分と皆を待たせてしまったらしいな」


「魔王軍四天王にトドメを刺したのだから、それは仕方がないのも分かってるわ」


「へぇ、起きたばかりなのに神父も大変ですね」


「神父様、お役目とは言え、もし途中で体調が悪くなったら、無理をなさらないでくださいね」


 二人のやり取りを聞いていた僕とアマリアがそう言うと、アルテミアは呆れたような顔をしていた。


「何を他人事(ひとごと)みたいに言ってるのよ。もちろん、あなたたちも行くのよ?」


「「えぇっ!?」」


「あれ、言ってなかったっけ? 二人も深く関わった当事者なんだから、もちろん呼び出しがかかってるよん」


 二人でレストミリアの方を見ると、変態魔女はゴメンゴメンと悪びれずに言う。

 うっすらと話を聞いていた限りでは、護聖八騎はもちろん、戦いに参加した騎士や治癒術士の一部、キルウルクたちアニマナイトの獣士、サイモンら王宮魔導師や、冒険者ギルドのお偉いさんも参加すると聞いていたので、僕たちには関係ないと思っていた。


 僕たちが驚いているのを見ていた神父と目が合うと、何故か眉間に渓谷を刻み、かなり険しい顔をしていた。

 これまでの経験から、モルド神父がこんな顔をしているときには、僕たちにとってあまり良くない事が起こるので思わず尋ねる。


「モルド神父、何か心配事があるのなら教えておいてくださいよ。現場に行ってからよりも予め知っておく方が心の準備も出来ますし、何かしら対応しやすくもなるでしょう?」


「ふむぅ…、それもそうだな。レストミリア殿もアルテミア殿も、それで良いだろうか?」


「ま、私たちは譲る気が無いから結局は同じ事だけど、本人達が知っておくのは悪いことじゃないと思うよ」


「そうね。本人たちの意志は以前から知っているけれど、改めて確認しておくのも良いかもね」


「ふむ。では…」


 そうしてモルド神父が説明を始める。

 簡単に言うと今回の会議は、

 ・今回の戦闘の経緯や被害、戦果についての報告。

 ・キルウルクたちとの意見や情報の交換と、アニマナイトとの関わり方を決める話し合い。

 ・特に大きな働きをした者への報奨の決定。

 ・今後の復興に関する話し合いや、その優先順位と担当区域の設定。などを目的としているらしい。


 そしてどういう訳か騎士、軍、治癒術士、王宮魔導師、冒険者のいずれにも属していない、僕とアマリア、そして僕たちの知らないところで活躍していたメラリオを、いくつかの組織のトップが欲しがっているため、その所属を確定させるための話し合いの場でもあるらしい。


「いやいや…一番大切な本人の意志はどうなってるんですか!?」


 モルド神父の説明を聞いて固まっているアマリアの代わりに、僕は三人を見ながら尋ねる。

 三者三様に申し訳なさそうな顔をしているが、こればかりは聞かねばならない。何せ自分たちの将来のことなのだから。


「まぁ落ち着…」


「これが落ち着いていられますか!? 僕は昨日、自分の叶えたい次の目標を定めたばかりなんですから、それを無かったことにされる可能性があるなら必死になりもしますよ。

 アマリアにだってやりたいことが…あいたっ!」


「とりあえず魔力を抑えて落ち着きなさい。

 神父様、話の続きをお願いします…」


 どうやら熱くなっていた僕の体からは魔力が漏れ出していて、いつの間にか硬直から回復していたアマリアが、真面目な顔をして僕の頭にチョップを入れていた。

 こういう時にはいつも固まったままか、オロオロしていることの多いアマリアが、努めて冷静に振る舞っているのを見て僕だけでなく、モルド神父やレストミリアまでもが驚いていた。


「うむ、それでだ…」


 続いて話すモルド神父によると、黒骸王の時にも似たような事はあったし、それは僕も聞いたことがあった。

 前回は騎士団長が名乗り出たが、それに対してラジクを初めとした騎士から反対意見があり、計画は頓挫したらしい。

 しかし今回は僕に対して騎士団、軍、冒険者ギルド、そしてどういうわけか王宮魔導師団も誘いが来ているらしい。


 一方アマリアには王宮魔導師団からの誘いと、そして何故か軍と騎士団からの推薦で、治癒術士団への所属が望まれているそうだ。

 どうして推薦かというと、レストミリアが(おさ)である治癒術士団がアマリアのファンクラブと化していて、本人の望まない治癒術士への勧誘を徹底して行わないため、能力の高い治癒術士を必要としている軍と騎士団が、協力して所属させようと画策しているらしい。


 そしてウルファルク戦で騎士並みの働きをしたらしいメラリオにも、冒険者ギルド、騎士団、軍からのお誘いがかかり、僕たちと同じく本人を召還してどこかに所属させたいようだ。


「王宮魔導師団については、二人の特殊な魔法…『全癒(ヒールオール)』と『糸』に対して、恐らくサイモンの興味が向いてしまったことによるものだと思われる。

 だがこちらは交渉次第でどうにでもなるだろう。他の餌を与えれば、賢者はそちらに興味を移すはずだ」


「それにアマリア様の治癒術士団への所属も、最終的には団長の私が頷かなければ、どれだけ軍と騎士団がゴリ押ししようと現実的には無理さ。

 あまりにしつこいなら、何かあったときに治療をボイコットすることになるかもと脅せば良いしね」


「ちょっ、ミリア!それはさすがに…」


「アルテミア…私はアマリア様の願いを貫くためなら、人喰い鬼(オーガ)にも魔族にもなるよ」


「そんなお馬鹿ことを、とんでもなく真面目な顔で言わないでよ…全くもう」


 危険なことをサラッと、ビックリするほど真面目な顔で言うレストミリアに対して、アルテミアはガックリと肩を落とし疲れたような顔で答える。


「そういうわけでアマリアについては、すでに我々の方で手を打ってある。メラリオについては、ラジク殿から本人の好きに選ばせると言われてるようだから、これも特に問題は無いだろう。しかし…」


「えっ、僕に何か問題でも? 王宮魔導師は他に目移りさせられるし……というか、僕の将来の希望が冒険者で、冒険者ギルドからの誘いもあるなら、軍や騎士団が入る余地は無いんじゃ?」


「普通に考えるならそうね。でも前は表向き騎士団のみの誘いだったけれど、実はラジク殿や私たちから、ゼストルフ将軍にお願いして軍からの勧誘を取り下げてもらったの。

 でも今回はゼストルフ将軍が討ち死になされたことで、軍の内部に話の通じる将軍がいなくなってしまったし、軍部でも戦力の低下が問題視されていて、一人でも多く優秀な人材が欲しいみたいなのよ」


「うむ。それに前回失敗しているのにも拘わらず、また騎士団長が同じ事を言い出したということは、今回はかなり本気で…もしかすると周りの反対を押し切ってでも、お前を騎士団に取り込むつもりかもしれん。

 そうなると冒険者ギルドの立場としては、軍と騎士団を敵に回してまで自分たちの要望を通すとは思えん。要するに、かなり面倒なことになっていると思え」


「ええぇ…」


 アルテミアと神父の話を聞いて僕は眩暈(めまい)がしてきた。助けをもとめるようにレストミリアの方を見ると、彼女も少し困った顔をしていた。


「僕の要望は通りそうに無いんですかね…?」


「打てる手はすでに打っている。しかし、それでも勝算は六割と言ったところか…」


 僕がうな垂れながら尋ねると、モルド神父は眉間の皺をグイグイ指で押しながら、悩んでいる様子で答える。

 するとテントの中にアドルピスカがやって来た。


「…あ、まだここにいたの? そろそろ皆集まってきてる。早く行った方が良い…」


「もうそんな時間? わかったわ、私たちも急ぎましょう」


 僕たちはテントから出ると王宮へと向かった。

 しかしその足取りは重く、僕は何だか吐きそうな気分だった。

ようやくモルドが目覚めたと思ったら、何やら戦闘とはまた違った不穏さが漂ってきました。


様々な思惑が交差する中、ジグ達は王宮へと向かいます。

果たして無事に冒険者になれるのか、はたまた盛大に寄り道や回り道をする羽目になるのか…。


どの展開でもネタはすでに浮かんでいるので、作者的には「どっちでも、ばっちこーい!」といった感じです(笑)

より心を動かされた方向に決まるとは思いますが、次回を書き上げるまでは確定しないので、自分も楽しみにしたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生
糸使い

魔法
魔族
魔王
男主人公
コメディ
冒険
シリアス
亜人種

人外
ハッピーエンド
― 新着の感想 ―
[良い点] 一度でも アマリアチョップ うけてみたい ――心の川柳―― 何だか急成長しているアマリアちゃん、いやアマリアさんとお呼びした方が? ジグ君の足取りが朝、仕事に向かう社畜さんのようにな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ