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転生の糸使い [830万PV突破・400万字、900話以上の大ボリューム!]  作者: 青浦鋭二
第1部 教会の孤児編 (襲撃・修行・エルフの里・黒骸王・巡回の旅・王都攻防戦)

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第11話 襲撃 その5 苦戦と足止めと…

スタンバードは、いやらしい鳥です。いや本当に。


話の都合上、守備に残った騎士が全員名無しでは大変だったので、前々話から修正を入れ、上級騎士のヴォルグラントが不在の間、教会の守備隊の指揮は中級騎士のラジクということに変更しました。ご迷惑をおかけしますorz



2024年3月6日追記↓

2024年3月より、作品にいただいたファンアートの中でも、ご本人様からご許可をいただけたものを作品冒頭や本編に順次載せております。


今回は『堕肉の果て』作者KEY-STU様の挿絵担当であるE様(TwitterID=@stu_key)より、謎の男(ネタバレにつき名前は伏せております)のイラストを載せさせていただきました。本当にありがとうございます!

 倒れた騎士を見て呆然としていると、一人残ったラジクが上空に手の平を向け、赤い狼煙(のろし)を二本上げた。


「結界の張り直しと麻痺した騎士の収容を! 咆哮波(ほうこうは)はそう何度も撃てぬはずだ。オーガは兵士達と俺で足止めする。いくぞ!」


 ラジクはこちらに向かって叫び、振り向きざま上空に魔法を放つ。

 それは突然の攻撃を回避しきれなかった一体に当たって爆発し、その余波で他のスタンバードも吹き飛ばした。


 ラジクと兵士たちがオーガにつかず離れず牽制をし足止めしている間に、僕は魔力切れを起こし始めた見習いと共に麻痺した騎士たちを孤児院内に連れて行った。

 そして中庭に戻った頃には新たに結界を張り終えた者たちにも、疲労の色が濃く出ていた。


「ありがとう皆、そろそろ魔力も切れる頃でしょう。

 見習いもそうですが成人した者でも厳しい人は、中に入って一旦休むように」


 ヒルダは皆に言うが、そういう彼女の顔色もあまり良くない。


「ジグ、あなたは大丈夫なの?」


「僕はもう少しなら大丈夫かな。そう言うアマリアこそ絶好調とは言えない顔をしているけど、休んできたらどうなんだい?」


 アマリアの質問に僕は、両腕で力こぶを作る仕草をしながら答え、聞き返す。


「もう、こんな時にまでふざけて。私もまだいけるわ。でも今のうちに祈りを追加して、休んでおいた方が良いのかしら……」


「皆で同時に休むことは難しいですから、まずは見習いたちから先に休憩をとってもらい、その後で我々も半数ずつ交代で休むようにしましょう」


 アマリアがどうすべきか考えていると、ヒルダが皆に指示を出す。


 そうして僕や他の見習いたちが休んでいる間に麻痺した騎士は戦線復帰したが、それと入れ替わるように足止めをしていたラジクが足や頭に重傷を負った状態で、こちらもあちこちに怪我をした兵士に肩を借りて孤児院に入ってきた。


 その兵士に他の兵士たちについて尋ねると、ラジクに協力してオーガにダメージを与え左眼までは奪ったものの、怒り狂って暴れ回るオーガに一人、また一人とやられてしまったらしい。

 最後は自分を庇ってラジクが重傷を負ったところに、他の騎士たちが助けに入ったそうだ。


「すみません、僕が協力をお願いしたばかりに……」


 僕は涙が出てきて、どう声をかけて良いかもわからず(うつむ)く。


「俺たちは命令があってここに来たとは言え、オーガなんてものを初めて見たときに許されるかとか成功するかは別としてもよ、ビビって逃げる選択肢だってあったんだ。

 でも兵舎や中庭でお前達の話を聞いてたからな……。

 街を守るのが俺たちの仕事だから、みんな自分の意志で戦った。ここにいる教会や孤児院の皆だって今、自分に出来ることを精一杯しているんだろ?

 お前たちも俺たち兵士も、それに騎士様たちだって、ここにいて命をかけ、自分の仕事をしているのは同じさ。

 死んだ奴等だって、兵士になった時から覚悟は出来ていた。だから、お前が気に病むことじゃない」


 兵士が僕の頭をポンポンと叩きながら言う。

 僕は目元をガシガシと拭って強く頷き、彼らの治療を手伝った。




 手伝いや休憩を終えて中庭に戻ると、戦況は膠着(こうちゃく)状態になっているようだった。片眼を失っているとは言え、ジェネラル・オーガを倒すには残った騎士三人だけでは難しいらしい。


 狼煙は既に上げているし早く応援が来て欲しいが、そもそも南門側に敵の主力が居たところに加えて、あちらにも青いジェネラル・オーガが向かっているので、苦戦している可能性が高い。

 そして現在教会にいる戦力では足止めが精一杯だ。


 時折やってくる小型のモンスターを結界で阻み、それを合間に片付けながら騎士たちがオーガの足止めを続け、一体どれくらい経っただろうか。


 時間の感覚もわからなくなってきていた頃、交代要員もおらず疲弊しきった騎士が一人、バランスを崩してオーガの振り回したハンマーで吹っ飛ばされた。


 オーガも鎧はあちこち砕け、左眼は潰れ、全身のいたるところに傷があったが、三人でギリギリ止めていたのが一人減れば、撹乱(かくらん)し少しずつ削って、どうにか拮抗(きっこう)させていた戦力差が一気に傾いた。

 そうして他の二人も次々と倒されてしまい、オーガが吠える。


 治療中の兵士とラジクはまだまともに戦えるようには見えないが、まずは他の三人が倒れたことを伝えねばならない。


「教会の者たちは、まだ歩ける怪我人を連れて急ぎ待避せよ。南門は状況がわからぬ故、危険を避けるなら城壁に沿って進み、東門へ向かえ。

 何か問題があれば騎士の命令だと伝えよ。どうしても連れて行けぬ怪我人は……悪いが諦めて置いてゆけ。俺は狼煙を上げたら、時間を稼ぐ」


 状況を聞くと、そう言いながらラジクは剣を支えにして立ち上がり、ズルズルと足を引きずりながらも中庭に出る。


 赤い狼煙を三本上げて結界の内に立ち、剣を体の横に地面と水平に構えてオーガを待ち構えると、「はぁぁぁぁっ…!」と精神集中し始めた。

 するとその体からはユラユラと魔力が立ち上っていた。


 オーガが結界内に入ると、キキイィィィン!と甲高(かんだか)い音が鳴り響き、オーガが低く(うめ)いた。

 傷だらけの状態で結界の弱体化を受けるのは、今のオーガにも多少は(こた)えるようだ。


 僕たちは怪我人を連れてまずは北へ向かい、城壁に達したら東門へ向かうことにしたが、中庭を抜け城壁を目指して少し進んだところで足を止めた。


 ……いや、止めざるを得なかった。


 皆の目の前には黒いスーツのようなものを着て、スラッとした体格の男が一人立っていた。とは言え性別的には男だとは思うが、人ではないかもしれない。


 見た目は確かに人間なのだが、紫色の髪をした頭には山羊のように渦を巻いた、二本の黒い角が生えている。

 左頭部の角は大きく欠けており、顔は左眼を隠すように髪の毛が垂れていて、全貌(ぜんぼう)は見えないが若いようだ。二十代前半くらいに思えた。


挿絵(By みてみん)


 そしてその人物を見ると、負傷して共に待避していた兵士や騎士が武器を構えて警戒する。


「どこに行くのですか? 見せ場はこれからなのに。あちらを見てごらんなさい。そろそろ決着がつきますよ」


 男はそう言ってラジクの方を指差す。


 そうしているうちにもラジクは剣を構えたまま、微動だにしない。

 しかし先ほどまでユラユラとしていた魔力は渦を巻き、緑色の光を徐々に強くして剣に集まりつつある。

 しかしその間にもオーガはラジクに近づいていた。


 集めた魔力はやがて、バチバチと火花を散らし始めた。

 ラジクの手前、二十メートルほどまで近づいたオーガは、警戒するようにラジクを睨んで立ち止まった。


「薄汚い獣め、この先には行かせんぞ! ここを通りたいのなら俺を倒してみろ。

 それともまた目を抉られるのが怖くて、これ以上は進めんか?」


 ラジクは頭から血を流しながらも、ニヤッと笑いオーガを挑発した。オーガはそれを聞くと激昂しラジクへ突進し始めた。

 ドシンドシンと大地を揺らしながら、全身からは魔力が溢れて炎となり全身を覆っていく。まるで巨大な火の玉のようになったオーガが、ラジクへと突き進んでゆく。


「愚か者め。皆を追えぬよう、せめてその足は貰うぞ!」


 ラジクはそう言いながら剣を真一文字に振り抜くと、そのあまりの速さに刀身が(かす)む。

 剣からは刀身と同じくらいの長さの三日月のような形をした斬撃が放たれ、突進してくるオーガへと一直線に進んでいく。

 そしてその三日月がオーガの右太腿(みぎふともも)に直撃した瞬間、カッ!という音と共に強靱な足を見事に切断した。


 だが右足を失ったオーガは、それでもなお勢いに任せてラジクに突進していく。

 ラジクまであと数歩の所で遂に倒れたが、それでも視線はラジクを見据えたまま、両腕で這いずって進んでいる。

 ラジクの方は立っているのがやっとの状態のようで、迫るオーガが見えているのかもわからない。


 数人の騎士たちがフラフラしながらもラジクの所へ助けに行こうとしたが、いつの間にかラジクと僕らの間に回り込んでいた黒スーツの男が両手を突き出して振る。


「ダメダメ、ダメですよ。最後まで黙って見てなくては」


「ふざけおって、そこをどけ!」


 軽薄そうにニヤニヤ笑いながら止めた男に、先頭の騎士が斬りかかった。


 するとスーツの男はヒョイッと回転しながらそれを避ける。


「うるさいですねぇ……久しぶりに楽しんでるのに邪魔しないでくれませんか」


 そう言ってフワッと飛び上がり、音も無く騎士たちの中へ降り立つと両手を広げ、その場でぐるんと一回りした。

 するといつの間にか男が伸ばしていた右手は獣のような腕に変わり、その指先からは長い爪が伸びていた。


 次の瞬間、騎士たちが膝から崩れるように倒れ、首が胴体と離れた。

 その光景を見た僕を含めて、教会の皆も兵士たちも凍りついていた。


「さぁ、あちらもいよいよ終わりですねぇ」


 男は血だまりの真ん中に立って、爪に付いた血を舐めながらそう言うと、ラジクの方を見て楽しげに笑った。

想像以上に大変な戦いになりました。


そして書くのにも想像以上に苦労しました…。


騎士達はエリートのはずなのに大苦戦してますが、相手が悪すぎるだけです。

ジェネラル・オーガに、しかも2体同時になんて、普通は滅多に遭いません。多分。


なんか凄いのが出てきました。正体は決まっているのですが、名前を決めかねております。


悩みながら書いたので、また色々と修正が必要な予感がします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 正体が決まっている謎男( ゜д゜)ウム まだ先を読んでないから 謎男すぎる(*´▽`*)タノシミー
2021/02/11 11:14 退会済み
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