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人間族と魔族2

 エルフの国は魔道具がたくさんあってかなり楽しい

 魔族である私達を記猪の目で見る人達や、いやそうな顔で見て来る人も中にはいるんだけど、おおむね女王セイレイナ様の教えが息づいてくれてるみたい

 加えて王様と王女様も口添えや助けたときの話もしてくれたらしいわ

 私達の顔がなぜか知れ渡っていて、アルタイルを勇者と認識して駆け寄ってくれるエルフもいたわ

 そんな女性たちがキャーキャーと黄色い声をあげながら私を押しのけてアルタイルを取り囲んでる

 それを見てむくれていると、アルタイルが私の手を取って引き寄せた

「ごめんね、僕にはもう婚約者がいるんだよ」

「ア、アルタイル!?」

「この子はアスティラ、勇者と共に歩む者であり、僕の幼馴染で婚約者だ」

 やだ恥ずかしい…

 でも悪い気はしないかも

 そのおかげでアルタイルを囲んでいたグラマラスなエルフのお姉さんたちもため息をつきながら散っていったし

 そこからはゆっくりと露店や魔道具屋なんかを見て回れた

 中でも女性用アクセサリー風の魔道具には興味を引かれて、目を輝かせていると、私が食い入るように見つめていたネックレスをアルタイルが手に取った

「これさ、アスティラにすごく似合うと思う。だからその、贈り物としてさ、買うよ。君につけて欲しいから」

「い、いいの?」

「もちろん。あ、魔王様からもらったお小遣いじゃなくて、僕のお小遣いで買うから」

「ありがとう、アルタイル」

 こういうプレゼントはお父様からしかもらったことがない

 それを大好きな人からもらえるなんて、私は幸せ者ね

 

 そろそろ日も暮れようかという頃に私達はセイレイナ様のいらっしゃる居城へ戻った

 城とは言っても大きな木に造られた城で、大自然との共存を考えた設計になっている

 セイレイナ様お付きのエルフたちに案内された私は魔王様とセイレイナ様のいる部屋へと通された

 扉をノックして入ると、二人はなんと裸でオイルマッサージを受けているじゃありませんか!

「ちょ、魔王様、セイレイナ様! アルタイルもいるのに何してるんですか!」

「これはエルフ式オイルマッサージと言うやつでな、魔力の流れを安定させてくれるのだ。我らのような魔族にはもってこいのマッサージだぞ」

「いや今の状況を聞いているのではなくてですね。というかアルタイルは早くあっち向きなさい!」

「ご、ごめん!」

「ハハハ、もう尻に引いているのか」

「まぁ、お二人は夫婦なのですね。それは良いことです。わたくしも若いころはそれはもう夫と激しく熱く上がったものですの」

「ふむ、やはり恋愛とはそういうものなのか。我は恋愛をしたことがないでな」

「あら、マナさんもまだまだ遅くないですわ? それこそ殿方など星の数ほど、それにマナさんなら引く手あまたでしょうに」

「本当にそう思うか?」

「はい!」

 私のスキルで見てみたけど、セイレイナ様、本当にそう思ってる

 これは、結構お花畑な人なのかもしれない

 頭に花の髪飾りつけてるし

 

 オイルマッサージを終えたお二人に話を聞いた

「それで、偽勇者について何かわかったのでしょうか?」

「そう怒るなって。あとでお主も受けさせてもらえば良いではないか」

「それは、嬉しいですけど、それで怒っているわけではなくてですね」

「あれ? エイリアスさんは?」

「おおそうじゃった。エイリアスには今獣人の国に向かってもらったぞ。あいつも転移が使えるからな」

「え!? お一人で行かせたのですか!?」

「まぁ大丈夫じゃろ。本気のあいつはの、我よりはるかに強いからな。この前の襲撃の時は我が殺されかけたのがショックでそれどころではなかったようだが…。あれで我が死んでおればあそこが焦土と化しておっただろうな」

「う、さらっと怖いこと言いますね」

「まぁあれは怒らせてはならん部類の者だ。何せかつて暴れ回った神竜から邪竜に堕ちた竜を一人で屠ったのだからな」

 神竜と言えばこの世界最強の種族じゃないですか…

 あ、その話は確か絵本に載ってたような気がする。しかも魔族の英雄譚

 そっか、あれって実際にあった話なのね

「さて、少し真面目な話をするとだな、セイレイナの見立てだと偽勇者は少女の姿だったとの話だ」

「少女、ですか?」

「うむ、それも十代ではないかとのことだ。その少女の姿は神がかった美しさで、他の人間族とは明らかに違ったオーラを出していたそうだ」

「ええ、あの少女は周りをたくさんの人間族に囲まれ、何やら指示を飛ばしておりましたの。遠くからちらりと見えただけなのでそれが確実に偽勇者という確証はありませんでしたが、あれは人間族に見えたなにか、でした」

「人間族、じゃないってことですか?」

「いいえ、あれは明らかに人間族です。私の鑑定眼のスキルでも確かにそう書かれていました。しかし、私の感があの少女を見た瞬間大音量の警鐘を鳴らしたのです。あれにはもう二度と会いたくありません。それほどに恐ろしい何か…。今思い出しても震えが来ます」

「一体何者なんでしょうか? 人間族に化けた魔物? でもそれならセイレイナ様のスキルで見透かせますよね?」

「ええ、鑑定眼は最大レベルですし、見通せないはずはないのですが」

 少し、偽勇者の情報について進展があったけど、その少女は一体何なのかしら

 そうそう、エイリアスさんが獣人の国に行ったのはその情報についてもっと詳しく知るためみたい

 セイレイナ様の書状を持ってるから多分教えてくれるだろうとのこと

 エルフ族より獣人族の方が人間族と深く関わってるからもっと情報が聞き出せるかもしれないわ

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