人間族と魔族1
四人で連れ立って始まる旅は少し不安もありながらも、この旅が魔族の状況を大きく変えると信じている
魔王様の言葉はきっと人々に響くと思う
だって魔王様の言葉には嘘偽りなんてないんだから
「さて、まずはエルフの国に行くぞ。同盟国となったエルフたちならば人間族の動向について何か知っておるやもしれん。それに、エルフの女王セイレイナには一度会っておきたいしな」
「分かりました。しかしお気を付けください。同盟を結んだとは言え未だ魔王様を手にかけようとしている過激な思想のエルフがいると聞きます。特に古い世代のエルフは魔族にいい印象を持つ者はほとんどいないそうです。王と王女様お二人にはこの前お会いしましたが、気さくな方ですのでそちらに関しては大丈夫だと思いますが」
「うむ、それは我も聞いておる。だが安心しろ、古い世代はどうやらセイレイナの言うことは聞くようなのでな。あやつが一言いえば治まるじゃろうて」
「そうであればいいのですが」
エルフの女王セイレイナ様は温厚で争いごとが嫌いな方らしい
しかし人間族に国を亡ぼすと言われ仕方なく従っていたのだそうで、本来は魔族に関しても理解のある人
今回同盟を組んでくれたのも、魔王がエルフを守ると宣言したから
現に魔王様は襲われるエルフたちを数多く助けたおかげで信頼も徐々に得られていったみたい
「それでマナちゃんよい、エルフの国にはどのルートで行くの?」
「そうだな、転移が早いだろうがそれでは相手を驚かせてしまうだろう。と言う分けでダークエルフの里までは転移、そこからはダークエルフたちの力を借りてユニコーンの引く馬車で行くとしよう」
そうそう、エルフとの同盟が組めたことでダークエルフもエルフの里に出入りができるようになったみたいなのよね
もともとは同じエルフ族同士だったけど、人間族が魔族認定したせいでエルフたちもダークエルフと距離を置かざるを得なかった
当然ダークエルフと所帯を持っていた人たちもいたみたいで、今回ようやくその人たちも家族と再会できたみたい
「では転移する、我に掴まれ」
「はい」
魔王様の肩に手を置くと一瞬で景色が変わってダークエルフの里にまで飛んだ
里に入る入り口の所に飛んだので兵士が驚いていたけど、魔王様を見るなり歓迎してくれたわ
「さぁこちらへ、里長がお会いしたがっております」
兵士に言われてすぐにやって来た兵士長さんが魔王様を里長の元へ案内する
この里長さんはエルフの女性と所帯を持っていたみたいで、久しぶりに奥さんと娘さんに会えて魔王様にすごく感謝していたわ
やっぱり家族離れ離れって言うのは寂しいものね
「本当に魔王様には感謝してもしきれないです。この通り娘にも妻にも再開できて」
「パパに合わせてくれてありがとう魔王様!」
「うむ、良かったな小っこいの」
「マナちゃんの方が小さいと思うなぁ私」
「今それはどうでもいいじゃろうが!」
そんなお約束のやり取りで笑い合い、私達はダークエルフの協力の元ユニコーンの馬車を出してもらえることになった
ちなみにユニコーンは貞操を好むので、このメンツなら問題ないわね
私も、その、アルタイルとはまだ何も、いや手をつないだことくらいはあるわよ?
それに魔王様もエイリアスさんも、うん、これ以上は本人たちの名誉のために言わないわ
「何見ておる? 我がユニコーンに好かれておるのがそんなに珍しいか?」
「あ、いえ、絵になるなあと思いました」
「ふっふーん、そうであろう! 我のように可憐な乙女はユニコーンがよく似合うのだ!」
「うんうんそうだねマナちゃん、ほら早く馬車に乗って」
ユニコーンの鬣をわしゃわしゃしていた魔王様を押して馬車に乗るよう促すエイリアスさん
この人も苦労してるんだなぁ
「よしでは出発!」
馬車の御者はアルタイルが引き受けることに
少し肌寒いから私は毛布を渡しておいた
「それじゃあ行きますよ魔王様、ちゃんと座ってください」
「うむ」
ユニコーンがゆっくりと馬車を引っ張り始めて馬車が進む
道中は魔物も出るけど、ユニコーンの魔法があればそこまで危険じゃないらしいわ
ユニコーンって結構強いみたい
それから馬車が走ること二時間ほどかな
魔物が襲ってきたんだけど、やっぱりユニコーンが使う魔法で全て討ち倒されていく
雷魔法や氷魔法がすごい精度で、私も見習えそうなほど綺麗な魔法だったわ
そんな感じで危険もなく、少しずつ休憩を挟んでは順調にエルフの国を目指せた
そうそう、ユニコーンも普通の馬と同じで角砂糖が好きみたいで、私や魔王様があげると嘶いて喜んでいた
そして到着エルフの国フリアルゲルド
前回来た時は王様と王女様がいて、女王セイレイナ様は不在だったけど、ここは本来女王政で、セイレイナ様が取り仕切っている
王様と王女様二人は元気かしら?
恐らく王女様二人は開拓している郷にいるはずだから今回はいないわね
と言うことは王様と女王様にお会いできるはず
前回女王様がいなかったのは獣人族の国に行って魔族と同盟を組むよう説得してくださっていたみたい
そのおかげか獣人族も魔族との同盟に賛成してくれる人たちも増えてきたようね
「では我は女王と話してくるぞ。お主らは適当に時間をつぶしてきておれ」
「あ、マナちゃん、私もついて行くから」
「ぐぅ、まぁ良いわ。ほれアルタイル、アスティラ、お小遣いをやるから回って来い。三時間後にこの広場に集合だ」
「あ、ありがとうございます」
魔王様がかなりの額のお金を渡してくれた
これ少しと言うか、かなり多いんだけど…
まあ余ったら返せばいいか




