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旅の始まり3

 村から帰って報告、一度の依頼達成くらいじゃやっぱりランクは上がらないのね

 まあEランクの魔物を協力しての掃討作戦だったし、そりゃそうね

 次の依頼を受けるために受付の依頼書の束を見ていると、Dランクの依頼が目に留まった

 一つ上の依頼なら受けれるのでアルタイルに見せてその依頼を受けることにした

「はい、受理いたしました。場所はエレンドの町から北に十二キロほど行った猫森にある祠です」

 受付嬢さんがニコニコとそう案内してくれた

 エレンドの町はこの街から馬車で一日ほどの場所にあって、馬車の中継町だから結構旅人が多いみたい

 馬車で一日かぁ、ちょっと遠いけどこれからは何日も街に戻れないこともあるだろうし、速めに慣れておかないとね

 思えば泊りがけのお出かけなんてアルタイルの家に行くときくらいだったから新鮮かも

 アルタイルは勇者って役目柄結構いろんなとこに行ってたみたいだけど

「よし、じゃあ行こうかアスティラ。馬車は確か東の出入り口近くから出てたはずだ」

「うん、あ、私少し用意してから行くから先に行ってて」

「用意?」

「ポーション、えっと、体力回復薬と魔力回復薬を買っておきたいの」

「オッケー、じゃあ馬車停留所で待ってるよ」

「ええ」

 

 アルタイルと別れて私は薬屋へ走った

 実はポーションを買う目的以外にも買いたいものがある

 それがクリーニングの魔法がかかった下着

 これは履いてても汚れがつかないらしくて、女性に大人気

 前世は男だった私もすでに十七年、前世とほぼ同じくらい女性という体で色々と男と違った大変なことも分かってる

 一番は冒険中下着を変えれなかったりお風呂に入れないこともあるってことなのよね

 だからこそそんな汚れを綺麗にしてくれるこういう下着やマジックアイテムが女性冒険者の間で流行している

 店に着くとすぐに店の奥の暖簾をくぐった場所にある下着コーナーに行ってみた

 女性冒険者が結構いるわね

 デザイン性にも優れてて可愛いのが多い

 私もどれにしようかと見ていると声をかけられた

「アスティラ、あなたも来てたの?」

「フレアじゃない! 貴方もここで?」

「ええ、ここのは可愛いからいくつか買ったの。これからちょっと遠くまで行かなきゃいけないから」

「フフ、一緒ね。ソルは?」

「外で待ってもらってるわ。さすがに一緒に選んでほしいなんて言えないもの。まあここは男性入っちゃダメなんだけどね」

「ソル、外にいたんだ。気づかなかった」

「まぁ大人しいからあまり目立たないわよね」

 二人で顔を見合わせて嗤い合い、気に入った下着を見つけてそれを購入した

 猫のプリントがあるパンツにしようかとも思ったけど、さすがに子供っぽすぎると思って別のレースが可愛いものにしたわ

 黒、黒もいいけどやっぱり白よね。アルタイルはどんな色が…

 あ、べ、別に見せるわけじゃないのに私は何を

 フレアの方は見せるの前提で買ってるものもあるわねコレ

 やっぱりそういうのも買っておいた方がいいのかしら?

 うーん、でも今は冒険のためのものを買いに来たんだから、今度にしよう

 今度はアルタイルと下着専門ショップで、なんてね

 

 さて買い物も終わったし、これから別方向へ向かうフレアたちと別れて私は馬車停留所まで走った

 アルタイルを待たせちゃったから急がないとね

 停留所に付くとアルタイルは本を読みながら待っていた

 その姿がすごく絵になっていて、周りの女性陣が見惚れて顔を赤くしてるけど残念、私の婚約者です

「お待たせ」

「ん、じゃあ行こうか」

 本をアイテムボックスにしまうとアルタイルは私の手を取った

 停留所に泊まっていたエレンド行きの馬車に乗る

 数人の客と一緒に少し広めの馬車に詰めるように座ると数分後に馬車は出発した

 乗合馬車だから椅子は木で結構固い

 私はお気に入りのクッションを取り出してお尻に引いた

 他の客も同様に自分のクッションや座布団を使ってるみたい

 でもアルタイルはそのまま座ってる

 痛くなりそうだから私が用意してたもう一つのクッションを渡しておく

「ありがとうアスティラ」

 そういうとクッションをお尻に引いてニコリと微笑んでくれた

 そのあまりのカッコよさにため息が出そうになる

 一緒に乗ってた他の女性客は実際にため息をついてアルタイルをちらちら見ていた

 でも私がいるから憧れのため息から残念そうなため息に変わってる

 ふふ、少し優越感

 到着まで一日かかるけど、途中途中で馬を休ませるためのちょっとした停留所はあるからグロッキーにはならなさそうね

 しばらく馬車に揺られてるとなんだか眠くなってきて、私はアルタイルの肩に頭を寄せて寝てしまった

 

 それから悲鳴と馬車の大きな揺れで目が覚めた

「アスティラ! 馬車が魔物に襲われてる! 外に出るよ!」

「う、うん!」

 どうやら馬車を狙って魔物が襲ってきたみたい

 外に出るとオークという二足歩行の豚のような魔物が周りを取り囲んでいた

「ひ、ひぃいい!」

 御者さんがこん棒で襲われそうになっているのを助けると私はそのオークを斬り、続けざまにその後ろにいたオークを魔法で焼き殺した

 後ろを見ると女性客を捕まえようとしていたオークをアルタイルが斬りつけているのが見えた

 あっちはアルタイル一人でも大丈夫そうね

 オークはDランクの魔物でそこまで強くないけど、集団で動くから厄介なのよね

 私は魔法と剣で目前にいたオークを攻撃しつつ御者さんを後ろに下がらせた

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