第42話 さらなる邂逅
ファルコン「わわわ! 僕たちの出番がきたよ!」
ホーク「なにしよなにしよ? なにしたらいいのかな?」
ボクス「とりあえず落ち着きなさい子供たち。まずは私が脱ぐわ」
イーグル「母様が1番落ち着いたほうがいいと思う」
ファルコン「あれ、イーグルがいる。ベズエラの町に行ったんじゃなかったっけ?」
イーグル「向こうの準備が整ったから迎えにきたんだよ」
ホーク「迎えに誰を?」
イーグル「彼女に決まってるじゃん」
ホーク&ファルコン「ええええー!」
イーグル「ってなわけで、彼女ん家行くわ。じゃあね!」
ホーク「あいついつの間に ⋯⋯ 」
ファルコン「いいな。羨ましいや」
ボクス「 ⋯⋯ せっかく脱いだのに誰も見てくれていない。放置プレイ!?」
〜143日目〜 ①
性も根も尽き果てた。
エルフ総勢84名。
うち63名はお腹が大きくなっている。
残りの21名?
部屋の隅で三角座りしてるオーガを見て察してください。
「エルフ怖いエルフ怖いエルフ怖いエルフ怖いエルフ怖いエルフ怖いエルフ怖いエルフ怖いエルフ怖いエルフ怖いエルフ怖いエルフ怖い」
大きなトラウマになったようだ。
ま、あんだけ大勢に揉みくちゃにされればな ⋯⋯
それはもう壮絶な取り合いだった。
なにをかを言わずともわかるだろう。
しかもオーガの彼、いろんな意味で早いんだよ。
最初のほうの俺を見ている気分だった。
ちなみにワニーだっけ?
オーガが背負っていた女の子は縄で縛っていたのが功を奏し、いっさい参加していない。
あんな小さい子が巻き込まれなくてよかったよ。
『あれもモンスターだから実年齢はわかんねえけどな。実際は相棒より遥かに上かもよ』
そうなのか?
見た目からではわかんないけどな。
って、ゆっくりしてる場合じゃなかった!
いまだ起き上がれないエルフたち1人残らず縄で縛り、全員ポケットに収納。
このポケット、本当に便利。
「オーガくん、そろそろ行きたいんだけど」
「 ⋯⋯ うむ」
なんとか立ち上がるオーガ。
けど、すぐに腰砕け尻もちをついてしまった。
「 ⋯⋯ うまく立てん」
「ほら」
手を貸して、オーガを立たせる。
「すまん」
「気にすんな。歩けるか?」
「もう大丈夫だ」
「なら行くぞ。早く蛇神を見つけて魂を返してもらわないとな」
部屋を出て、集団エルフと遭遇した開けた場所まで戻る。
エルフがいたときには気付かなかったけど、この開けた場所には来た道以外に5本の通路があった。
どの道を進めば蛇神に出会えるのだろうか?
どうにかわからないか、隼丸。
『無茶を言うな。さすがの俺様でもヒントなしはきつすぎるぜ。せめて魔法でも使ってくれればわかるんだが ⋯⋯ 』
となると1つずつ進んでいくしかないのか。
1番近くの通路に入ろうとすると、
「人間」
オーガに呼び止められた。
「そっちじゃない。こっちだ」
右側。
奥の通路を示している。
「ここを知ってるのか?」
「いや。なんとなくそんな気がしただけだ」
勘かよ!
ま、どうせ間違ってたら引き返したらいいだけの話だし。
オーガの勘を信じて右にある奥の通路へ。
思いのほか当たりかもしれない。
この通路、一本道で他に部屋がない。
なによりも進むにつれ、ひりつく空気が漂ってくる。
この先に誰かいる。
それもかなりの実力者。
オーガもなにか感じているようだ。
顔が若干強張ってきていた。
突然、オーガの足が止まる。
「どうした?」
「 ⋯⋯ 我の感覚に間違いがなければ、この先に奴がいる」
「誰のことだ?」
「我が一族を滅ぼした人間。我が知っている中では最強の奴」
オーガが角を抜いた。
抜いた!?
え、えええええ!
それってそういう風に使うものなの?
初めて知ったよ!
「行こう」
オーガが歩みを再開させた。
「え、あ、ああ」
慌てて追いかける。
扉が見えてきた。
その前に陣取る仮面をつけた少女? 幼女? の姿も。
「あれがお前の一族を ⋯⋯ 」
「違った。けど、あれも強者」
女の子が背中の刀を抜く。
長い。
女の子の背丈ほどある長刀だ。
構えると後ろで束ねた黒髪が揺れた。
──ちょっと待てーい!
仮面つけて顔隠してるけど、どっからどう見ても俺のかわいいかわいい愛娘さくらなんですけど!
『だな』
まさか ⋯⋯ さくらまで操られてるのか?
『魂が抜けてるようには思えんな。試しに観察してみろ』
どれどれ。
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真田さくら(洗脳中)
豊月隼人と真田桜雪の第一子
Lv:37
HP4435/4435(3412/3412)
MP1579/1579(1215/1215)
攻撃5058(3891)
防御4635(3566)
魔力1277(983)
魔防1487(1144)
速度3872(2979)
幸運89
称号
勇者見習い・村勇者
加護スキル
異世界言語
自然回復
観察
一般スキル
剣Lv45・隠密Lv47・体捌きLv41・受け流しLv43・見切りLv40・気配Lv48・魔法剣Lv38・聖技Lv31・雷魔法Lv30
HP強化(小)・攻撃強化(小)・防御強化(小)・魔法耐性(大)・異常無効
特殊スキル
天運
付与スキル
飛翔
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めっちゃ強くなってるし!
才能はもちろんのことながら、絶え間ない努力したんだろうな。
それを思うとパパは泣いてしまいそうだ。
『おい、親バカ。名前の横を見てみろ』
え ⋯⋯ 洗脳?
なにこれ?
『精神に異常をきたしてるんだよ。ちなみに俺様の催淫もその一種だ』
ちょちょちょ!
どうやって解けばいいんだよ?
『普通なら状態異常回復のスキルかアイテムが必要だな』
そんな便利なもん持ってねえよ!
『普通ならって言っただろ。なあ、相棒。あの仮面怪しくねえか?』
言われてみれば!
もしかして仮面を潰せば洗脳が解ける
『かもしれねえ。やる価値はあると思うぜ』
そうだな。
しかし、自分の娘と戦わなければならない日が来るだなんて ⋯⋯
『向こうはやる気満々だけどな。あ、殺る気か』
物騒なことを言うな!
『かっかかか! 来るぜ、相棒。初の親子喧嘩だな』
喧嘩の域で済めばいいけど ⋯⋯
「スキル隠密、気配」
さくらが声を発すると同時。
目の前から消える。
どこに行った?
『なにボーとしてやがる。目の前に来てるぞ!』
え?
忠告されても把握できない。
『俺様を横にして、上に掲げろ!』
なんだかわからないけど、言われるがまま隼丸を頭の上に。
瞬間、ガキン! と刃と刃がぶつかり合う音がした。
すると、誰もいなかったはずの空間からさくらが現れる。
どうやら上から斬りかかってきていたようだ。
全然気づかなかったぞ!?
どうなってるんだ?
教えて隼丸先生!
『スキルの隠密と気配を同時に使ってるんだ。両方とも存在感を希薄化させる効果を持つが、こういう風に使う奴は初めて見たぜ。幼くして恐るべき才能だ。さすがは相棒と桜雪嬢ちゃんの子供と言うべきか』
いや、それほどでも。
『気を抜くな、親バカ!』
さくらがいったん後退し、
「スキル隠密、気配」
再び存在を消そうとしてくる。
『離れるな! 触っていれば認識できる』
了解。
完全に気配を消される前に踏み込む。
隼丸の峰部分で横薙ぎ。
さくらが長刀で受け止め ⋯⋯ ずに流された!
スキル受け流しか!
『力を抜くな。相棒の馬鹿たれ!』
峰打ちと言えども、娘に本気で斬りかかれるわけないだろう!
『さくら嬢ちゃんはそんなこと言えるレベルじゃねえだろ!』
隼丸と心で言い合ってる間にも、面前にいるはずのさくらが意識できなくなる。
やべ。
隼丸、どうすればいいか指示をくれ!
『まったく世話の焼ける。後ろに下がれ!』
ジャンプ。
直後に風を感じた。
ギリギリで避けられたようだ。
次は?
『相棒じゃねえ。オーガが狙われてる!』
なんだって?
「オーガ、逃げ
遅かった。
「ぎゃああ!」
オーガの左肩から斜めに刀傷が。
袈裟斬りされ、血飛沫が噴き上がる。
あの傷はやばい!
『相棒、とどめを刺そうとしてやがる!』
オーガの前にいるんだよな?
隼丸を振るい手加減斬撃を飛ばす。
『また力を抜いて。ったくよ。案の定避けられたぜ。けどま、オーガからは離れ ⋯⋯ やべ。魔法剣だ!』
3つ同時にスキルは使えないのだろう。
隠密と気配を解いたさくらを認識できたとき、その手の刀には雷が宿っていた。
オーガの傷も気になるが、横目で見た感じだと自分で回復魔法を使っていた。
あれなら大丈夫だろう。
なら俺はさくらに集中させてもらう。
さくらが初めて構える。
母親譲りの綺麗な構えだ。
迫力や威圧感は桜雪のほうが圧倒的に上だが。
そろそろくるか?
さくらが地を蹴った。
真っ直ぐに向かってくる。
速い。
でも見えているなら対処できるレベルだ。
横から斬り払おうとしてくるので隼丸を縦にして受け止め──る前にさくらが体を回転させ、強引に斬撃の軌道を変えてくる。
甘い。
左足を引き斬撃を躱す。
そのさいに軸足に悪戯。
さくらの体勢が崩れた。
あとで回復してやるから許してくれよ。
刀の柄部分で仮面に一撃。
粉々に粉砕するものの力を入れすぎたのか、さくらも吹っ飛んでいった。
慌てて駆け寄り抱き起こす。
「あ、れ?」
ダメージはほぼなかったようですぐに目を覚ました。
「俺がわかるか、さくら?」
「ち、ちうえ?」
仮面=洗脳の仮説は当たっていたようだ。
「父上!」
さくらが抱きついてくる。
「会いたかった会いたかった会いたかった! 長い間どこに行ってたの! すっごく寂しかったんだよ」
「ごめんな。俺も早く帰りたかったんだけど、なかなか状況が許してくれなくて。ところで桜雪は?」
「母上は ⋯⋯ あれ? 森の中で綺麗なお姉さんに会ってから、なにも覚えてないや」
どうやら洗脳されてる間の記憶はいっさいないようだ。
「そっか。ま、多分だけどこの先にいるんだろうな」
さくらが正気に戻った途端、扉の向こうから凄まじい気配を感じるようになった。
親子喧嘩の次は夫婦喧嘩かよ。
勝てる気がしねえよ!
今回は苦手な戦闘シーンに挑戦してみました。




