第15話 勇者の子供
〜61日目〜
何事もなければヘルガーさんはもう街に入っているはず。護衛に如月と白虎をつけたから大丈夫だとは思うけど少し心配。
「パパ、こっちこっち!」
『遅いよー。早く〜!』
おっと、足が止まってた。
今日は残った子供たちと一緒に滝までハイキング。
たまには子供孝行しないとね。
「私には孝行してくれないんですか?」
夜のベッド。
ラミーが上目遣いに俺の胸にのの字を描く。
今夜は積極的だな。
もちろん頑張りますとも!
〜62日目〜
「そう言えば桜雪のレベルはいくつなんだ?」
「99でござるよ」
カンスト済みですか!
でも待って。
ということは9つ子が生まれる?
いやいやまさかな。
否定しきれず冷や汗をかいた一日だった。
「身重でも殿を満足させられるでござるよ」
「ちょ! そんなテクニックどこで覚えたんだ!?」
「ボクス殿に色々教わってるでござる」
「嬉しい ⋯⋯ じゃなくてそんなの教わらなくてい──うっ!」
桜雪は生粋の努力家なんだね。
それがよくわかりました。
〜63日目〜
「おはようございます豊月様。朝ごはんの支度ができましたので起きてくだ ⋯⋯ あら元気に起きてますね」
なにやら下半身が気持ちよくなってきた。
「いただきます」
って待てーい!
慌てて飛び起き、ボクスを跳ね除けた。
「ど、どうされましたか?」
「寝起きに襲われるのだけはいやなんだよ! トラウマなんだよ!」
どうしてもゴブリンを思い出してしまう。
あ、涙が出てきた。
「泣くほど嫌だとは知りませんでした。本当に申し訳ありません。もう二度としませんのでどうかお許しを!」
「許さん! 罰として襲うぞ」
「え ⋯⋯ あ、うふふふ、ど・う・ぞ」
「罰なんだから笑うなよ」
「はい、私のご主人様」
朝からハッスルハッスル。
〜64日目〜
そろそろ帰ってくるはずなんだけどな。
ヘルガーさんたちの帰りを首を長くして待っていると後ろから抱きつかれた。
「暇ニャか?」
「暇と言えば暇だけど ⋯⋯ なに?」
「こっち来るニャ」
睦月に連れられてやってきたのは寝室。
昼間っからそういうことですか。
睦月とは久しくご無沙汰だったしな。
子供たちは?
外で遊んでると。
じゃいっか。
服を脱ぎ始めると、
「なにしてるニャ?」
真顔で見られた。
「え、今からイチャイチャするんじゃ ⋯⋯ ?」
「してもいいニャけど、先にあれどうにかしてほしいニャ」
「あれ?」
視線を追った先には剥き身のまま放り出してる刀があった。
「あれのせいでここに来るたび変な気分になるニャ」
あ、最近みんな積極的だなって思ったらこいつのせいだったのか!
刀を手に持つ。
刀身から全て真っ黒。
禍々しい空気を纏っている。
まさしく妖刀だ。
ただ俺にはまったくと言っていいほど影響がない。
ま、みんなが困ってるならどうにかしないとな。
「刀だから鞘に入れたらいいのかな」
「どこにあるニャ?」
「知らない」
作ってもらうとしても時間がかかるだろうし。
「こういうときは専門家を呼ぶか」
「それがいいニャね。でも、その前に一回するニャ」
ちゅ、とされた。
狼誕生!
「ニャアアアアン!」
ハッスル後、桜雪に来てもらった。
説明すると、
「方法は色々あるでござるが、手っ取り早いのは妖刀に持ち主と認めさせることでござるな。幸いなことに、その刀は殿を気に入ってる様子。名前をつけてやれば問題は解決するでござろう」
「名前ね、隼丸とか?」
「それは変ニャ」
「拙者もどうかと思うでござるよ」
小烏丸とかあるんだからいいと思ったんだけどな。俺の名前も一文字入ってることだし。
「お前はどう思う?」
刀を目線まで掲げてみると、
「熱っ!」
柄の部分が燃えるように熱くなり思わず放り投げてしまった。
「大丈夫ニャ?」
「ああ。火傷もなにもしてないけど、今のはなんだったんだ?」
「場所が場所なので妖刀自ら銘を打ったのかもしれんでござるな。殿、柄を外し茎を見てくだされ」
「ナカゴ?」
「 ⋯⋯ 拙者の言うとおりに手を動かしてくださればよい」
なんか呆れられた。
いやだってね、俺の時代は刀を持つのも許可がいるし、知らなくても仕方ないじゃん。
「早くするでござる」
「はい」
怒られた。
桜雪の指示で刀の持ち手部分──柄を外し、茎を露わにすると、血のように真っ赤な色で『隼丸』と銘が打たれていた。
「妖刀が殿を主と認めた証拠でござる。これからは殿の許可なく催淫効果を出さないでござろう」
「これからよろしくな、隼丸」
鳴く代わりに刀身がキラリと光ったように見えた。
「ニャー、ニャー」
「どうした、むーちゃん?」
「ふと思ったけど、それはご主人様のポケットに入らないかニャ?」
⋯⋯ ⋯⋯ あ。
〜65日目〜
『スキルを選択してください』
ようやくきたか。
ステータス画面が開く。
さーて、どれを選ぼうかな。って、子孫繁栄スキルが選べる!?
なんでだ?
女神の加護を受けた同士の子供だからかな。
熟考。
うん、この年齢でおじいちゃんにはなりたくないから違うの選ぼうっと。
ん、特殊スキルも選べるわけか。
なら飛翔で。
俺よりもうまく使ってくれそうだし。
『選択し直すことはできません。
よろしいですか? YES/NO』
はいはい、YESと。
画面が消える。
9つ子じゃなかったことにホッとしながら再び眠りについた。
起きたとき、なんともう赤ちゃんが生まれていた。びっくりするぐらいの安産だったらしい。
名前をつけようとしたら桜雪に睨まれた。妖刀の名付けでネーミングセンスのなさがバレてしまったようだ。
結局みんなで話し合い。
真田 さくら。に落ち着いた。
早速赤ちゃんを抱っこしようと思ったら、子供たちが新しい妹に群がっている。
パパはあとにするか。
1人テラスに出てステータス確認。
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豊月隼人
子孫繁栄の女神の信者
Lv:10
HP3800/3800
MP2585/2585
攻撃3585
防御2904
魔力2515
魔防2415
速度3908
幸運74
加護スキル
子孫繁栄
ーー子はかすがい・子は親の背中を見て育つ
異世界言語
自己回復
観察
一般スキル
炎魔法Lv1・拳法Lv1・不屈Lv1・風魔法Lv1
槍Lv1・遠見Lv1・飛行Lv1・剣Lv1・隠密Lv1
体捌きLv1・受け流しLv1・見切りLv1
気配Lv1・魔法剣Lv1・聖技Lv1・雷魔法Lv1
HP強化(小)・攻撃強化(小)・防御強化(小)
魔法耐性(大)・異常無効
特殊スキル
生存
天運
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ステは想像範囲内だったけどスキルが引くぐらい増えてた。なによりも驚きなのは加護スキルまで反映されてるってことだ。
原因は多分これだと思う。
天運
『全てのスキルを覚えられる』
やっぱりだ。
どこまでチート存在になっていくんだろう。
とりあえずわからないスキルを調べる。
自己回復
『HPが自然に回復する』
観察
『他人のステータスを見ることができる』
隠密
『気配を探られにくくなる』
聖技
『勇者のみ使用が許された戦の女神の剣技』
〜〜強化(小)
『〜〜が100上がる』
異常無効
『毒、麻痺、睡眠、呪いを防げる』
こんなもんか。
聖技は俺でも使うことができるのかな?
んで恒例の子供ステ。
弥生、如月、皐月は変化なしだったので飛ばして
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白虎
豊月隼人とラミーの第一子
Lv:18
HP363/363
MP0/0
攻撃308
防御254
魔力51
魔防49
速度461
幸運77
一般スキル
爪Lv11・不屈Lv7・採掘Lv18・料理Lv12
特殊スキル
生存
付与スキル
拳法Lv9
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攻撃と速度が随分と伸びてきた。
接近戦のスペシャリストになりそうな予感。
早く帰ってきてほしい。
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ホーク
豊月隼人とボクスの第一子
Lv:18
HP221/221
MP163/163
攻撃231
防御196
魔力183
魔防152
速度298
幸運26
一般スキル
風魔法Lv14・槍Lv16・遠見Lv20
特殊スキル
飛翔
付与スキル
爪Lv11
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平均的な伸び。
器用貧乏になりそうだな。
どこを伸ばせばいいかボクスと相談しないと。
外見は雛を卒業。
俺の腰あたりまで大きくなってきた。
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イーグル
豊月隼人とボクスの第二子
Lv:10
HP121/121
MP83/83
攻撃99
防御86
魔力81
魔防72
速度182
幸運43
一般スキル
風魔法Lv5・槍Lv7
特殊スキル
飛翔
付与スキル
採掘Lv15
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採掘がよく上がってる。
戦うのが嫌いなのかも?
今度話を聞いてみるか。
こちらも雛は卒業したんだけどホークより成長が遅い感じ。
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ファルコン
豊月隼人とボクスの第三子
Lv:21
HP198/198
MP288/288
攻撃73
防御61
魔力292
魔防259
速度231
幸運62
一般スキル
風魔法Lv19・槍Lv1、飛行Lv25
特殊スキル
飛翔
付与スキル
料理Lv3
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魔法に特化しつつあるな。
風魔法以外にも覚えさせてあげたいけどどうすればいいんだろう?
微妙に雛の部分がまだ残ってる。
同じ時期に孵化しても成長はそれぞれだった。
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真田さくら
豊月隼人と真田桜雪の第一子
Lv:1
HP203/203
MP87/87
攻撃221
防御200
魔力79
魔防93
速度152
幸運89
加護スキル
異世界言語
自己回復
観察
一般スキル
剣Lv1・隠密Lv1・体捌きLv1・受け流しLv1
見切りLv1・気配Lv1・魔法剣Lv1・聖技Lv1
雷魔法Lv1・HP強化(小)・攻撃強化(小)
防御強化(小)・魔法耐性(大)・異常無効
特殊スキル
天運
付与スキル
飛翔
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全てにおいておかしいから!
勇者の特権すごすぎだ。
将来が末恐ろしい。
「ここにおられましたか、豊月様」
空からボクスが降りてきた。
俺を探していたようだ。
「桜雪がさくらを抱っこしてほしいと待ってますよ。行ってください」
「子供たちは?」
「もう遊びに行きましたよ」
「そっか。なら──待てボクス、子供たちを至急戻せ」
視界に飛び込んできたのは息を切らせて走ってくる如月の姿。ヘルガーさんと白虎の姿は見えない。
よほど急いできたのか如月はもうヨロヨロだった。今にも倒れそうだ。
慌ててテラスから飛び降りると、愛娘を抱き迎えた。
「 ⋯⋯ パ、パ 」
「よく走ったな如月。偉いぞ」
「た、いへんなの」
「どうしたんだ?」
如月は少し息を整えてから、
「サスケさんが、明後日、結婚式だから、至急来てほしいって!」
誰の?
決まってるタマモさんだ!
金策は間に合わなかったか足らなかったか。
どっちにしろサスケさんは商会存亡よりも義妹の幸せを望んだんだ。
なら行くしかない。
60のおっさんにタマモさんは渡せない。
結婚式をぶち壊しに行ってやる!
読んでくれてありがとうございます。
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