第10話 家作り
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やる気がみなぎりました。
〜38日目〜
伐採は虎種獣人。
倒した木々の運びは眷属の熊。
木の根っこの掘り起こしは睦月と如月。
土の慣らしは鳥人。
卵を暖める作業はボクスに専任。
役割を分担した。
目指すのは丸太を組み立てたログハウスなんだけど ⋯⋯ 正直製造方法がわからない。
女神ピスティに呼びかけても繋がらなかったし、自分たちでなんとかするしかない。
そう思った矢先。
「おや、家を作ってるのですか?」
人のことを言い触らす口軽行商人が現れた。
「ひどい言い草ですね。私はただ新たな英雄の出現を黙っていられなかっただけです」
「本音は?」
「あの湖で取れる魚はいい値で売れるんですよ」
「その為に俺は利用されたのか」
「報酬はお渡ししますよ? そこの太い木をこっちに持ってきてください。私が加工します」
慣れた手つきで木の皮むきを始めた。
「こう見えて大工仕事は好きなんですよ。別荘も自分で建てたぐらいです。そこである程度完成するまでお手伝いするという報酬はいかがでしょうか?」
「ぜひ頼みます!」
救世主が現れた。
「あ、そうそう。言い忘れてたけど、あの湖は消し飛んだから」
「は?」
「んじゃ、よろしくお願いします!」
「ちょっと待ってください! どういうことなのか詳しく説明してくださいよ! もしかして私タダ働きですか!?」
「ヘルガーさん、その人絶対に逃すなよ」
護衛の人たちも一緒に手伝ってもらおう。
そういえばディランなんとかさんは今回同行してないみたいだな。
残念、いい戦力になりそうだったのに。
〜39日目〜
鳥人たちが元湖の場所で怪しいのを見つけたというので、ラミーと白虎を連れて散歩がてら来てみた。
「何度見てもひどい有り様だな」
「これは元に戻るには数十年の月日はかかりますよ」
「悪いことをしたもんだ。で、その怪しいのってどこだ?」
「湖の中心から東に向かったあたりと聞いています」
所々いまだ溶岩が残る場所を避けながら中心から東に移動。
「あれじゃないでしょうか」
目のいいラミーが先に見つけた。
地面に埋め込まれている怪しい一枚扉を発見。
取手はなくどうやって開けるのかは不明。
触ってみると静電気にようなものが走った。
「これはかなり強力な結界で守られてますね。こじ開けるのは不可能かと。開けるための仕掛けがどこかにあるはずです」
2人でキョロキョロ。
白虎もつられて首を横に振る。振りすぎて目が回ったのは後ろに倒れた。
かわいい。
「隼人様、あちらに怪しそうな箇所があります」
扉から少し離れた場所に謎の窪みがあった。
ここにも結界が張ってある。
「なにかを嵌め込むみたいですね」
この形に見覚えがあるんだけど ⋯⋯
ポケットから前に拾ったお地蔵様もどきを取り出し無造作に押し付けてみた。
結界が発動せずにお地蔵様もどきがぴったりとはまる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ。
背後で重苦しい音が響く。
扉が開いたのだろう。
覗きに戻ると、
「階段か。それもかなり深そうだな」
怪しく危険な雰囲気がプンプンする。
「後日、きちんと支度してから入ったほうがよさそうですね」
「いや、入らない」
わざわざ自分から危険な目にあう必要はない。
「ここの扉はなにをしても開かなかった。きっと俺たちのあとに来た人が開けたんだよ。ということにして帰ろう」
人間安全第一ですから。
一応子供たちに見つからないように色々とカモフラージュしておいた。
〜40日目〜
「大変だ旦那!」
早馬に乗ってやってきたのはディランなんとかさん。
「こんなところで大工仕事してる場合じゃねえぞ」
「どうしたんですか?」
「伍の国の勇者がゴブリンの巣を殲滅してくれたぜ」
「まさか? あそこにはゴブリンオークからキング、クイーン、ジュネラルと揃っていたのですよ」
「でもマジな話だ。あたいも近くを通ってきたけど、ゴブリンに一匹も出会わなかったぜ」
「本当なら ⋯⋯ 一大事です! すぐさまゴブリンの巣に向かいましょう。お宝が眠ってますよ!」
ディランなんとかさんの後ろに乗ろうとするサスケさんを止めた。
「まだ家ができてませんが?」
「いえ、こっちは、その、それどころじゃ ⋯⋯ 」
「ついでにディランなんとかさんも手伝っていけばいい」
「あたいは関係ないだろ。ってどんな力してんだよ! このあたいが身動きとれないだなんて!!」
新たな労働力GET。
〜41日目〜
早くゴブリンの巣に行きたいサスケさんは死にものぐるいで働いてくれた。
ただ完成にはほど遠い。
〜42日目〜
家の完成はまだ。
卵も孵りそうにない。
暇だ。
〜43日目〜
雨が降ってきたので今日は家作り中止。
サスケさんがディランなんとかさんを連れてゴブリンの巣に向かった。
戻らない場合はどうなるかわかってるよね?と脅したら顔を真っ青にしていた。
冗談なのに。
半分は。
〜44日目〜
サスケさんの目が死んでいる。
ゴブリンの巣はすでに同業者によって荒らされたあとだったらしい。
儲けそこなった。
口を開けば呪詛のように呟く言葉。
あれでは家作りの作業にも影響が出そうだ。
〜45日目〜
ラミーがあれを教えてあげればいいんじゃないでしょうかと提案してきた。
なるほど。
早速教えてみた。
「湖の底に結界に守られた階段があるですって!? 魔窟ですね、それは。誰かに教えましたか? 私だけ! お宝が呼んでる!!」
目に輝きが戻った。
〜46日目〜
サスケさんが徹夜して設計図を用意してくれた。
「ある程度のことはトトラさんに伝授しましたので、そろそろ解放をお願いします」
可哀想なので釈放した。
サスケさんたちはその足で魔窟に向かっていった。
〜47日目〜
『スキルを選択してください』
とうとうきた。
1人目には爪、2人目には採掘、3人目には料理のスキルをつけた。
このときに初めて知ったけど1人に2つ以上は付与できないらしい。あとは特殊スキルの『生存』は最初から黒くなっていた。
その日の午後。
卵から3人の雛が生まれた。みんな男の子だったので鳥顔だ。
上からホーク、イーグル、ファルコンと名付けた。ステータスはこうだ。
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ホーク
豊月隼人とボクスの第一子
Lv:1
HP29/29
MP11/11
攻撃21
防御20
魔力17
魔防16
速度63
幸運26
一般スキル
風魔法Lv1・槍Lv1・遠見Lv1
特殊スキル
飛翔
付与スキル
爪Lv1
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イーグル
豊月隼人とボクスの第二子
Lv:1
HP23/23
MP18/18
攻撃19
防御15
魔力18
魔防16
速度61
幸運43
一般スキル
風魔法Lv1・槍Lv1
特殊スキル
飛翔
付与スキル
採掘Lv1
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ファルコン
豊月隼人とボクスの第三子
Lv:1
HP18/18
MP37/37
攻撃12
防御10
魔力30
魔防28
速度59
幸運62
一般スキル
風魔法Lv1・槍Lv1、飛行Lv1
特殊スキル
飛翔
付与スキル
料理Lv1
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ここにきてようやく火以外の魔法を手に入れた。他のスキルは
遠見Lv1
『遠くを見やすくなる』
飛行Lv1
『飛んでるさいにバランスをとりやすくなる』
ここまでは想像範囲内だ。
次だ。
飛翔
『空に浮くことができる』
なにこれ、いいのきたよ!
もちろん俺にも反映されている。
使ってみるか。
「飛翔!」
ふわっとした感触。
足が地面から離れた。
やった、浮いてるよ!
「 ⋯⋯ ん?」
これ以上浮かび上がらない。
翼を持つ鳥人なら話は別だろうが、俺では手をばたつかせても地面から5センチほどが限界らしい。
「いや待てよ」
ジャンプしてから使うとどうなるんだ?
試しにやってみると、
「おおお!」
さっきより高い場所で浮くことに成功。
このスキルはどうやら使った高さから5センチばかり浮遊するものらしい。
考えようには使えそうなスキルだな。
夜になるとサスケさんたちが戻ってきた。
街に一度戻り、準備を整えてから本格的に魔窟を潜るらしい。
「そうだ。よかったら隼人さんも一度街に来ませんか? 我が家に招待いたしますよ」
「お誘いは嬉しいけど子供が生まれたばかりだしな」
「豊月様、この子たちなら心配いりません。私がしっかりと育てます」
とボクスが。
「私もいますので大丈夫ですよ。隼人様も2、3日ごゆっくりと羽を伸ばしてきてください」
とはラミー。
うーん。
甘えさせてもらうか。
「むーは一緒に行くニャよー。美味しいものがいっぱいありそうニャ!」
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