『ザ・スイッチ』
【作品情報】
原題:Freaky
製作:2020年/101分/アメリカ
監督:クリストファー・B・ランドン
出演:ヴィンス・ヴォーン/キャスリン・ニュートン/ケイティ・フィナーラン
ジャンル:オッサン乙女に胸キュン!大量虐殺コメディ
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
気弱な(そして服がダサい)ミリーは、父が死んで以来酒浸りで過干渉気味な母と、ピリピリしている姉に挟まれる息苦しい日々を送っていた。
おまけに学校では、性根が死んだ同級生や教師からサンドバッグ扱いされており、いいことなし。
密かに片想いしているクラスメイトのブッカーにも、告白すら出来ずにいた。
しかも部活の帰りにボッチでいるところを、街を震撼させている殺人鬼のブッチャーに襲われた。
彼にアステカ文明の怪しい短剣「ラ・ドーラ」でぶっ刺されてしまったミリーは、何故か彼と意識が入れ替わる羽目に。
殺人鬼とWRYYYな吸血鬼、どっちになるのがマシかと言われたら……どっちも普通に嫌なので、ミリー(ブッチャーのすがた)は元に戻ろうとブッチャー(ミリーのすがた)を探すことに。
一方、意図せず若返って可愛くなっちゃったブッチャーは、意気揚々と殺人を再開。
ミリーにウザ絡みしてくるクラスメイトや教師を、か弱い体にムチ打って血祭りにあげていく。打つな。
ミリーは親友のナイラとジョシュと再会した後、二人に入れ替わりを信じてもらうことに成功。
そして自分が刺された短剣についても調べ、入れ替わってから24時間以内に刺し直さないと永遠に入れ替わったままだということを知る。
もう9時間ぐらいしかないんだが!?
【登場人物】
ミリー:
本人も自覚アリの、服がクソダサいJK。
彼女のママによると、お父さんが死んでから超内向的になってしまったらしい。
たしかに肉体的につよつよなブッチャーになっている間、割と天真爛漫で無邪気かつ呑気だったね。
男性オンリーのあのパーツで、ブラブラと遊ぶぐらいには。ペチペチ打ち付けるなし。
ブッチャー:
閉鎖精神病棟帰りの、箔が付き過ぎている殺人鬼。とにかくデカい。
Wikipediaによると、演じるヴィンス・ヴォーンさんは身長が196センチあるらしい。
ジョースター家並みのデカさじゃん……
ミリーと入れ替わる前も後も、基本的に無口。あと薄ら笑いでずっと相手を見据えがちなのですが――一度だけ、とっても悲しげな表情を浮かべる瞬間があります。
ミリーのクローゼットの中を見た時です。
……気持ちは分かるよ。
ナイラ:
ミリーの親友その1。演技派で体当たり派な女の子。
気の小さいミリーと、とにかくワードチョイスが最悪なジョシュに挟まれているため、二人のツッコミ役または保護者っぽい。
でもミリーの顔を隠すために、ゴム製のお面を被せるのはちょっと違うと思うよ。眼鏡とか帽子とかあんじゃん。
ジョシュ:
ミリーの親友その2。いいトコのお家に住んでいる、ゲイの男の子。ママと仕草がそっくり。
ひょっとすると今まで、性悪同級生どもから仕草や性自認を囃し立てられることもあったのかもですが。
我々視聴者にとっては、風貌は小汚いオッサンのままイノセントなラブリーアクションをかます50代男性が横に据え付けられているため、ジョシュの方は自然体にしか見えない。違和感ゼロ。
そうそう。みんな、好きに生きたらええんよ。
ブッカー:
理由もなくブッチャーと名前が被っている、ミリーの憧れの男の子。彼も彼で、要領が悪く先生にも虐められている彼女のことを、何かと気にかけている様子。
そして、意外と熱いハートを抱いているナイスガイでもあった。
コーラル:
ミリーのお母さん。夫が死んでから飲んだくれている。ちなみに愛飲しているのは白ワイン。
もしも日本が舞台だったら、相棒がストロング缶になってた気がする。
ミリーに対して過保護を超えて超過干渉になっているけれど、これには彼女なりの切実な理由があるようで……
シャーリーン:
ミリーのお姉さんで保安官をしている。生活態度が死んでる母に、日々イライラ。
そんな家庭でのフラストレーションを晴らすかのように、クソデカ殺人鬼にも拳銃一丁で果敢に挑んでいく。公僕の鑑だね。
ブッチャーの犠牲者の皆さん:
だいたいが性格面で大いに問題あり。つまり社会のゴミ。
こっちの心も痛まないから、ありがたいね。いいぞ、どんどん死ね。
【感想など】
中身が乙女になったブッチャーが可愛すぎて可愛すぎて……観ている内に段々と
「もうこれ、このままでもいいのでは?」
という気になってしまいました。見守るブッカーも、満更でもなさそうですし。
でも、うん、駄目ですよね。ブッカーよりデカいもんね。
駄目なんだけども。
ミリー in ブッチャーの仕草の一つ一つが、本体にいる時よりも妙にラブリー乙女なのよ。
シャワーの後、バスタオルを巻いてるのもなんかセクシーだし。
人生初のスタンディング・オ=ションベンをした後に「ねえ、これって拭くの?」と無邪気にジョシュに尋ねたりと、天然っぽさまで漂わせる始末。
お前、本体の時はもっとビクビク気弱そうだったじゃん!
エンジョイしちゃってんじゃん、殺人鬼オッサンの体!
自分でも言っちゃってんじゃん、「この体だと、なんか元気が出てくるの☆」って!
ポジティブうぅー!
クソデカいオッサンになったミリーと、親友コンビとのワチャワチャも呑気で愉快だし、事情を知ったブッカーとのもだもだ胸キュンシーンはむちゃくちゃ青春してます。
このパート、もうちょっと観たかったかも。
こんなことを言ったら、ジェンダーフリーなご時世的に駄目なのかもですが。
無邪気なJKムーヴをかますおじさん、という構図だけで大正解&大満足で……もはやそれだけでオモロい。満点。きゃぴきゃぴとはしゃぐおっさんはいいぞ。
おまけにブッチャーが殺すのは、揃いも揃ってミリーを見下していたクソーズのみです。
こんなにも、心が痛まないスラッシャー映画も珍しい。
なお彼の殺害方法は、檻付き病院を脱走したという経歴に恥じない残酷さを誇っております。
私はホラー映画が大好きな一方、残虐描写は割と苦手なもので、寿司を食べながら何度か「うひぃぃー!」とのけぞっておりました。
しかもブッチャーさん、殺すまでの工程にも色々とこだわりがあるようです。
雑にぶっ刺した後、丁寧にグロい仕上げもかましてくれるんですよ。匠かよ。
――私はこの時飲み込んだエンガワの味を、きっと一生忘れません。
これはこれ、それはそれで、とっても美味しかったです。ごちそうさまでした。
でも前述の通り、犠牲者はゴミ虫オンリーです。むしろ死んでくれてサンキューなレベルです。
なのでお肉料理を食べながらでなければ、安心して観られるバイオレンス青春映画となっています。
ミリーのお母さんの本心を聞くシーンなんて、思わずホロッとしちゃうしね!
聞いてるのは、おっさんのすがたの娘なんですが!




