2.
タカオは驚いてジェフと大きな荷物を交互に見た。
「ジェフ!一体どうしたんだ。この荷物も……」
「僕も一緒に行こうと思って。旅に出るの、僕の夢だったんだ!」
ジェフはそう言って目を輝かせ、荷物を手で軽く叩いた。
「一緒に……?」
タカオはジェフのその言葉がとても嬉しくて、それしか言うことが出来なかった。
ジェフを見ると、茶色のポンチョのようなコートを羽織り、靴は膝下まであるブーツをはいて、ズボンは汚れないようにブーツの中に入れてあった。
ポンチョのせいか、帽子さえかぶれば有名なあの名探偵のようだ。ジェフは自分の体よりも大きな荷物を抱えて大声を出した。
「さぁ!行こ!」
元気一杯でそう言うと歩き出する。タカオは嬉しかったけれど、ジェフの母親の事を思い出すと、連れて行くわけには行かなかった。
「ジェフ、ありがとう」
そう言うと歩き始めたジェフの肩をつかみ止めた。タカオもジェフと同じ目線になるようにしゃがむ。
「すごく嬉しいけど、一緒には行けない。今すぐに戻るんだ。ごめんな」
ジェフをまっすぐと見つめて、タカオはそう言う。けれどジェフはその言葉に動じる事はなかった。
「一緒に行くって決めたんだ。僕は絶対に戻らないよ」
ジェフがどれくらいの覚悟を持ってここにいるのか、それが伝わってくるほどの気迫でタカオは驚いていた。
「僕は、精霊を救いたいんだ。そうしたらきっと、この森も救える。タカオの呪いだってきっと解けるよ」
ジェフの顔は真剣そのものだった。けれど、こんな危険な森に子供を連れてはいけない。
「ダメだ。精霊を救う前に命を落とすかもしれない。そうなったら意味はないよ。もう戻るんだ」
そう言いながら、タカオは心の何処かで殴られたような心地だった。今の自分に、誰かを救うなんて発想は全くなかったのだ。救ってもらうことしか考えてない自分が情けなくなる。
「タカオは、サラを救えたよ」
ジェフはぽつりとそう言って、タカオを見つめた。
「だから、他の精霊だって救えると思う。精霊が戻ったら、この森は安全になるんだ!だから、僕はタカオについて行く。精霊を探そう!森を救う為に」
ジェフはタカオの腕を掴むと力強くそう言った。




