お連と千代
大正の帝都の夜は、近代化のガス灯が照らす文明の光と、そこから溢れ落ちた女たちの怨念が編み上げる、濃厚な闇の二重写しであった。
浅草の興行街の裏手、闇に沈んだ煉瓦造りの倉庫街。
大正の歪んだ繁栄の影で、男たちの身勝手な欲望に家庭を壊され、絶望のなかで命を絶った女の怨嗟が形を成した怪異、下級の陰魔女が、どす黒い紫の霧を撒き散らしながら咆哮していた。
その異形に向かって、一筋の黒い影が爆発的な速度で肉薄する。
八咫烏神社の【斬滅の裏巫女】、お蓮である。
明治維新の戦乱において幕府側につき、新政府によって一族を根絶やしにされた「忍の家系」の生き残り。
歴史の闇に潰された一族が遺した超絶的な暗殺術をその身に宿す彼女は、夜の戦場においては、露出の多い漆黒の戦闘装束を纏い、口元を黒い布で隠した冷徹な死神であった。
感情と呪力の高まりによって、両目は怪しく発光する「緋眼」へと変貌している。
「陰界穿ち――!」
お蓮の鋭い叫びとともに、ルーンの刻印が刻まれた和洋折衷の忍び刀が緋色の光を放ち、怪異が展開しようとした防壁の結界を容赦なく縫い止めた。
怪異が苦悶の声をあげ、無数の触手を弾丸のように放つ。
お蓮は研ぎ澄まされた忍びの体術でそれを紙一重で回避し、壁を蹴り、空中を自在に舞った。
黒装束の隙間から覗く引き締まった肢体が、夜の闇に美しく躍動する。
『緋眼視殺』。
敵の核を見破った瞬間には、すでにお蓮の身体は懐へと飛び込んでいた。
「千斬解体……!」
容赦のない肉削ぎの剣閃が闇を十重二十重に狂い咲き、怪異の四肢を瞬く間にバラバラに解体する。
お蓮はトドメの一撃をその中核へと深く突き刺した。
しかし、怪異が完全に消滅する直前、陰魔女の抱く極限の不浄なエロスと怨念――「陰呪」が、お蓮の忍び刀を伝って逆流を始めた。
「くっ……あ、ガはっ……あぁッ!」
刀から自らの肉体へと、そのドス黒い呪いを強制的に注入し、引き受ける。
これこそが、すべてを失ったお蓮が八咫烏として生きるための過酷な宿命。
強力な陰呪の熱に当てられた瞬間、お蓮の意識は快感と毒でドロドロに溶かされ、狂暴な発情の熱に浮かされた【受け手(依代)】へと精神が反転していく。
お蓮は朦朧とする意識のなか、這うようにして、己のすべてを委ねられる唯一の光が待つ神社の奥の院へと帰還した。
「……ハッ、ハァ……ッ!」
夜の八咫烏神社、その最奥に位置する「奥の院」。
静謐な静寂を破ったのは、およそお淑やかな巫女のものとは思えぬ、狂おしく濡れた絶叫だった。
畳の上へ崩れ落ちたお蓮の衣服は、すでに千代の手によって強引に引き裂かれ、剥ぎ取られていた。
完全に露わになったお蓮の全裸の白い肌には、どす黒い紫の陰呪が脈打つ血管のように妖しく浮かび上がっている。
「お蓮様……。今夜も、よくぞ無事で戻ってくださいました」
その背中に、温かみのある、しかし確固たる調伏の響きを持った声が降る。
千代だ。
元は帝都の大富豪の末娘でありながら、陰魔女に父親を取り入られ、家族も家格もすべてを根底から崩壊させられた過去を持つ少女。
怪異への復讐と、お蓮を救いたいという一途な愛から八咫烏の門を叩き、強大な霊的許容量を持つ【注ぎ手(調伏手)】となった。
千代は、お蓮が口元に巻いていた黒い布を引き剥がした。
露わになったお蓮の顔は苦悶に歪み、発光する緋眼からは涙が溢れ落ちている。
どれほど陰呪に自我を侵されようとも、お蓮の誇り高き忍びの魂は、他者の手による調伏など決して受け入れない強靱さを持っていた。
しかし、千代だけは違った。
千代が衣服を脱ぎ捨てて完全な全裸となり、その肌を重ね合わせ、強大な霊力を通わせたその瞬間――。
「いや……あ、あ、千代……っ! 来ないで、それ、は、あつい、壊れるッ……あアアッ!」
お蓮の強靱な拒絶は瞬く間に霧散し、千代の能力に触れた瞬間だけ、まるで頼るもののない小娘のように泣き叫び、激しく喘ぎ出した。
千代の愛の霊力だけが、お蓮の最奥にある性感帯を異常なまでに開かせ、狂わせてしまうのだ。
「逃げさせません。お蓮様を救い、その痛みを引き受けられるのは、この世界で私だけなのですから。……さあ、すべて私に預けてください」
千代はお蓮を心の底から愛しているからこそ、この神聖な浄化の儀式において、気品ある絶対的な注ぎ手として振る舞う。
四つん這いで身を震わせるお蓮の腰を容赦なく組み敷き、その豊かな黒髪を掴んで顔を仰向けにさせた。
「ん……む、ぅうううっ!?」
『紅蓮の調伏接吻』。
抗うお蓮の顎を強固に固定し、千代は貪るようにその唇を奪った。
口内から漏れ出す呪詛の吐息ごと、お蓮の舌を奥深く突き刺し、血と唾液を絡め取る。
明治の戦乱と大正の歪み、すべてを奪われた者同士の確かな愛が、その激しい口づけの中で響き合う。
「んんんーーーっ! はーっ、う、あぁ!」
千代の気品ある、しかし容赦のない愛技によって、お蓮の身体は瞬く間に甘美な地獄へと突き落とされていく。
千代の指先が全裸のお蓮の柔肌を執拗に愛撫し、その胸の突起を激しく揉みしだくと、お蓮は涙目で白目を剥きかけ、腰をガクガクと揺らした。
「あああッ! そこ、らめぇええ! 千代の、霊力が……頭の中で……ッ!」
「吸い上げて差し上げます。お蓮様の汚されたところ、全部……!」
千代はお蓮を仰向けにひっくり返すと、蜜を溢れさせる割れ目へと顔を埋めた。
『聖不浄の極致』。
濃厚な舌遣いで、お蓮の最奥から溢れるドス黒い陰呪の蜜を、霊力を込めてダイレクトに啜り上げる。
「あァァーーーッ!! いや,いやぁあ! 吸われ、る、あたま、白くなるぅうう!!」
千代の愛撫を受けるたび、お蓮はただの無力な少女のように泣き叫び、全裸の背中を弓なりに反らせた。
しかし、千代の指は止まらない。
さらにその身体を四つん這いにさせると、最も恥ずかしい窄み(アナル)へと容赦なく舌先を突き入れ、激しく舐め回した。
お蓮の緋眼の光がチカチカと点滅し、千代の能力に完全に屈服していく。
「仕上げです、お蓮様。……弥生さんが仕込んでくれた、特製の呪具ですよ」
千代が取り出したのは、ほんのりと人肌の温かみを帯びた、呪力を帯びた「張形」。
「ひ、あ……それ、は,だめ、許して、千代、千代ぉ……っ!」
普段の冷徹な暗殺者の面影などどこにもなく、涙目で恋人の名を呼び、狂ったように許しを請うお蓮。
その最奥へ、千代はお蓮を救うための絶対的な愛と霊力を込めて、張形を一気に、容赦なく突き入れた。
「はーーーあァァァァァァァン!!!」
『潮鳴の聖水責め』。
お蓮の引き締まった肉体が激しく痙攣する。
よだれを垂らし、完全に白目を剥いたその瞬間――体内に溜まっていたすべての呪詛が、千代の能力によって根こそぎ押し流され、凄まじい潮吹き(聖水噴出)となって二人の全裸の肉体を濡らした。
「ハァ……ハァ……、ちよ……ありが、と……」
ビクビクと手足を震わせながら、お蓮の緋眼から妖しい光が消え、いつもの静かな黒瞳に戻る。
全ての陰呪を千代の愛によって調伏され、限界を迎えたお蓮は、千代の胸に抱かれながら、泥のような深い安眠へと落ちていくのだった。
大正の夜の闇の中、千代は愛しいお蓮の濡れた髪を優しく撫で、その額にそっと不言の接吻を落としながら、満足げに微笑んだ。




