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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第475話 特製かき氷


 別荘に戻ってきた私は、シーラさんとポーシャさん、ロイスさんに協力をお願いし、かき氷を作ることにした。

 とはいえ、肝心の氷が圧倒的に足りない状態のため、ヴェレスさんに協力してもらわなければいけない。


 昨日は夜空を見上げながら、なんだか変なことを呟いていたため、もしかしたらいない可能性がある。

 今更ながらそんな考えが浮かんできたものの、三人に協力をお願いした以上、探し出さなければいけない。


 今日は畑に顔を出していなかった気がするため、寝泊まりをしているという、裏山を越えた先へ向かうことにした。

 アッシュに跨り、走ってもらうこと約二十分。


 ヴェレスさんの家が見えてきた。

 自然の中にぽつんと建っている小さな小屋。


 堕天使が住んでいるとは思えない外観だけど、あそこにヴェレスさんは住んでいる。

 せっかくなら別荘の近くに――と誘ってはいるんだけど、頑なに拒否してくるんだよなぁ。


 そんなことを考えながら、アッシュから降りた私は家の扉を叩いた。

 すると、一回目のノックで扉が開き、笑顔のヴェレスさんが出迎えてくれた。


「おお、これは佐藤様。わざわざ私の家まで来てくださったのですか?」

「ヴェレスにちょっと手伝ってもらいたいことがありまして、そのお願いをしに来たんです」

「佐藤様のお願いとあれば、もちろん引き受けさせていただきます」


 用件を聞くことなく、二つ返事で引き受けてくれたヴェレスさん。

 ありがたいけど、ここまでの忠誠心は少し怖い。


「ありがとうございます。それでは別荘に来てください……と言いたいところですが、昨日の件は大丈夫なんですか? 何かよくない予感を覚えているんでしたよね?」

「感じてはいますが、まだ大丈夫だと思います。急いで向かいましょうか」


 はっきりとしない答えだったものの、とりあえず別荘に戻ることにした。

 色々思うことはあれど、やはりアッシュの便利さを一番痛感する。


 あっという間に別荘へと戻ってきた私たちは、早速氷魔法で、かき氷用の氷を作ってもらうことにした。

 堕天使なわけだし、とんでもない氷魔法を使うのかと思っていたけど、唱えてくれたのは普通の魔法だった。


「こんなものでいかがでしょうか?」

「さすがはヴェレスですね。バッチリです。ありがとうございます」

「いえいえ。このくらいならお安いものですよ」

「ヴェレスさんなら、もっとすごい魔法を使うと思っていたのですが、意外と普通の氷魔法なんですね」


 私が気になっていたことを、シーラさんがヴェレスに尋ねてくれた。


「超級魔法以上も扱えますが、用途を聞いたので初級魔法にしたのですよ。階級を上げてしまうと、氷の硬度が上がってしまいますからね。その機械では、刃が駄目になってしまいます」


 かき氷機を指さしながら、そんなかっこいいことを言ってのけたヴェレス。

 氷魔法が得意ではないんじゃないかとも思っていたけど、その上をいく回答に拍手してしまった。


「かっこいいですね。私もいつかは言ってみたいセリフです」

「佐藤様に褒めていただき光栄でございます。敵と相対したときは、私の全力の氷魔法を使わせていただきますので」

「できれば敵とは会いたくないのですが、その時を楽しみにしていますね」


 そんな会話をしつつ、大量のかき氷が完成していった。

 看板の準備もできたため、早速、臨時かき氷店をオープンする。


「臨時にはなりますが、こちらでもかき氷をお買い求めいただけます!」


 私がそう声を発した瞬間、かき氷難民たちが一気にやってきてくれた。

 シーラさん、ポーシャさん、ロイスさんには引き続き氷を削ってもらいつつ、私はどんどんとかき氷を売っていく。


 シロップは自分でかけるスタイルのため、最小限の人数で回せるのは嬉しい。

 暑い中、心の底から美味しそうにかき氷を頬張っているお客さんたちを見ながら、ヴェレスが羨ましそうに見つめている。


 ちゃんと三人+ヴェレスにはサービスをしないといけない。

 列が途絶えたところを見計らい、佐藤特製かき氷を四人分作る。


 イチゴシロップだけでなく、スライスした生のイチゴを乗せ、さらに練乳をぶっかける。

 原価的に売ることのできない特製かき氷を、シーラさん、ポーシャさん、ロイスさん、ヴェレスさんに手渡した。


「休憩の合間に食べてください。私特製のかき氷です」

「うはー! すごく美味しそうです! 佐藤さん、ありがとうございます!」

「ありがとうございます。本当に美味しそう」

「佐藤さんのお手伝いをしてよかったです」


 三人が喜んでくれている中、ヴェレスさんだけはなぜか泣いていた。

 シーラさんたちの反応でも大げさなくらいなのに、ヴェレスさんはいつもやりすぎている気がする。


「……うぅ、頼ってもらえるだけでなく、こんなにも美味しそうなものまでいただけるなんて……ありがとうございます」

「ちょ、ちょっと泣かないでください。溶けてしまいますよ? 美味しいうちに食べてくれないと困ります」

「そ、それは……! 確かに、全てに対する冒涜になってしまいますね! 遠慮なくいただきます! ――う、美味すぎる! な、なんですかこれは!」


 膝から崩れ落ちたヴェレスを流し見しつつ、シーラさんたちが美味しそうに食べてくれている様子を見る。

 ヴェレスさんは優秀すぎるくらいなんだけど……少しだけ、いやかなり面倒くさいのが玉に瑕だなぁ。



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