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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第463話 処遇


 リザードマンたちは、助けを求めるような目で私を見てきている。

 死を宣告されたら、そのまま受け入れてしまいそうなほど、ドラゴン姿のヤトさんに怯えきっていた。


 リザードマンとドラゴンは何となく似ている感じがあるし、一種の龍人族のように思っている可能性がある。

 もしかしたら、本能的に敵わない存在だと認めているのかもしれない。


「とりあえず……リザードマンたちには、巨人族の村へ来てもらいましょう。そこでどうするか決めたいと思います」

「佐藤さんがそう決めたのなら異論はねぇぜ! お前ら、村へ帰るぞ!」

「「「おおー!!!」」」


 巨人族の方々の雄たけびを聞きながら、私たちは戦意を喪失しているリザードマンたちを連れ、巨人族の村へ戻ることにした。

 本当ならこの場で処遇を決めた方がよかったんだろうけど、考えなしで動いたこともあって、まだ何も案が浮かんでいないんだよね。


「ヤトさんの姿に怯えているようですね。以前、ヤトさんが止めに入ろうとした時は話も通じず、いきなり襲いかかってきたと言っていましたが、本当ですか?」

「本当なのじゃ! わらわがわざわざ足を運んだのに、いきなり襲われたのじゃ!」

「それにしては、ヤトさんを心から恐れているように見えますけどね」

「わらわじゃなく、佐藤に怯えているのじゃ! 争いを止めた時はかっこよかったからの!」

「褒めてくださり、ありがとうございます」


 今回は戦況的に劣勢だったこともあり、ヤトさんの助太刀で心が折れてしまったという可能性はある。

 ただ、それにしても怯えすぎているからね。

 もしかしたらだけど、仲裁に行った時は人型の状態だったんじゃないだろうか?


「ちなみにですが、前回争いを止めに行った時は、ドラゴンの姿だったんですか?」

「うぬ? ……覚えておらんが、多分ドラゴンの姿だったような?」

「人型の状態だったから、怯えずに襲いかかってきたんじゃないですかね?」

「まぁどちらでもいいのじゃ! こうして今回は無事に争いを止められたのじゃからな!」


 わっはっはと大声で笑っているドラゴン姿のヤトさん。

 だいぶ話が変わってくるような気もするけど、深掘りしても多分思い出せないだろう。


「まぁそうですね。あっ……そういえば、リザードマンの方々って言語を扱えるんですか?」

「喋れないと思うのじゃ! わらわが話しかけても、無視して攻撃してきたからな!」

「喋れないとなると、少し厄介ですね。確かめるために、ちょっと話しかけてみます」


 私は最後方を歩くヤトさんから離れ、列の真ん中で捕まっているリザードマンに話しかけに行くことにした。

 野蛮で話も通じないとは聞いていたけど、話が通じないだけで、言語自体は理解できるんじゃないかと密かに思っている。


 場を収めようとした時、私の言葉を理解したタイミングで武器を捨てていたしね。

 雰囲気を感じ取っただけの可能性もあるけど、言語は理解できるんじゃないかと思っている。


「すみません。ちょっといいですか?」


 縛られているリザードマンのリーダーらしき人物に声をかけてみた。

 黒いウロコで覆われた、龍人族をトカゲっぽくしたような見た目の方。


 全身は傷だらけで、ところどころウロコも剥がれている痛々しい姿なんだけど、筋骨隆々な体つきなこともあって、逆にいかつく見える。

 背中に一切傷がないのも、某海賊漫画の剣士のようでかっこいい。


「リザードマンは言葉を理解できるのでしょうか?」

「………………ああ。喋れる」


 かなり間があったため、てっきり喋れないのかもしれないと思ったけど、がなり声で返事をしてくれたリザードマンのリーダー。

 がなり声ではあるんだけど、声は思っていた以上に高い。


「言葉を理解できるだけでなく、喋れたんですね。はじめまして、私は佐藤と言います。あなたのお名前は何ですか?」

「俺はジャバル。サトー、助けてくれて感謝する」

「ジャバルさんですね。他の方々も喋れるんでしょうか?」

「言葉を理解できるものはいるが、喋れるものは少ない。俺たちは特殊な音で会話をする」


 そう言うと、声帯を震わせ、モスキート音のようなものを発したジャバルさん。

 リザードマンには、言葉は必要ないということか。


「そうなんですね。ジャバルさんは、なんで喋れるんですか?」

「……サトーは変なことを気にするな。俺の師匠が人間だったからだ。旅をしていた冒険者で、色々と教わった。その時に言葉も教えてもらった」

「ジャバルさんは人間とも交流があったんですか。……なら、手立てがあるかもしれません。色々と教えてくださり、ありがとうございました。また後でお話を聞かせてください」


 光明を見いだした私は、ジャバルさんと別れてヤトさんのところへと戻ってきた。

 リーダーであるジャバルさんが人間と交流があったのであれば、いくらでもやりようがあると思う。

 私はてっきり、魔物に近い存在なのかと思っていたからね。


「おー! 佐藤、どうじゃったのじゃ?」

「リーダーの方は問題なく喋れましたよ。それに、人間とも交流があったみたいです」

「そうなのか? わらわがリザードマンの村に行った時は、人間の気配は一切感じなかったのじゃ!」

「もしかしたら、ジャバルさんだけが交流していた可能性はあります。とはいえ、リーダーの方が交流していた過去があるのは大きいです」

「何か思いついたという顔じゃな!」

「ヤトさんも、私の表情で分かるようになったんですか?」

「佐藤は分かりやすいからの!」


 またしても、わっはっはという大きな声で笑ったヤトさん。

 ヤトさんが笑うたびに、怯えた様子でこちらを振り向くリザードマンたちに申し訳ない気持ちになっていると、前方に巨人族の村が見えてきたのだった。



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