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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第449話 伝授


 農作業をしているところをお邪魔し、実っているトマトを1つ収穫した。

 真っ赤な野菜に、巨人族の方々は怪訝そうな顔をしている。


「その真っ赤な野菜は食べられるのか!?」

「もちろんです。もう少し暑くなってからが旬なんですが、今の時期でも美味しく食べることができます」

「申し訳ありませんが、とても美味しそうには見えませんねぇ。……ただ、佐藤さんが美味しいというのなら美味しいんでしょう」


 そう言うと、一歩前へと出てきたラーさんが、私が収穫したトマトを手に取った。

 そして、何度か深呼吸をしてから――豪快にかぶりついてくれた。


「ど、どうなんだ? 美味しいのか?」

「…………お、美味しい! 佐藤さん、この野菜は凄まじく旨味がありますよ!」


 ラーさんはとびきりの笑顔でそう言うと、残りのトマトをペロリと平らげた。

 大ぶりのトマトなのに、二口で食べてしまうのだから凄い。


「この見た目で美味しいのかよ! 俺たちも貰ってもいいか?」

「もちろんです。熟しているものを収穫しますので、ちょっと待っていてくださいね」


 私はゴさんたちの分のトマトを収穫し、綺麗に洗ってから渡した。

 ラーさん同様、凄く美味しそうに食べてくれてホッとしている。


 トマトは意外と嫌いな人も多いイメージがあるため、1人くらいは苦手だと思う人がいてもおかしくないと思っていた。

 ラーさんが良い反応をしてくれたのが大きそうだ。


「こんなに美味しい野菜がいつでも食べられるって凄いですね! 私は農業をやってみたいと思いましたよ!」

「俺もだ! リザードマン共と争わずに手に入れられるなら、絶対に農業をやりたい!」

「すみませんが、今食べてもらった野菜は簡単には育てられない作物なんです」

「そう……なのか?」

「実は今食べてもらったのは異世界の野菜でして、基本的には最初に食べた微妙な野菜の方を育てることになりますね」


 ハイテンションになっていた巨人族の方々のテンションが、露骨に下がってしまっていた。

 地球の作物とこの世界の作物では、天と地ほどの差があるからしょうがない。


「あの赤い野菜を頻繁に食べられるようになると思っていたので、本当に残念ですが……最初の野菜でも定期的に食べられるようになるなら大きいですね」

「確かに残念すぎるくらいだが、俺は農業をやってみたい気持ちが強まったぞ!」

「そう思ってもらえてよかったです。生地と交換で苗や種を渡すこともできますので、絶対に育てられないってことはないので安心してください。それに、最初に食べた作物も生だったから美味しくなかったと思いますが、料理すれば美味しくなると思いますので」


 私のそんなフォローを聞いて、少し笑顔を取り戻してくれた。

 実際に、スキルの畑ではNP効率でしか作物を育てていないからね。


 比較的まともな作物はあるし、何を育てるかはノーマンさんと相談して、料理の難易度を考えて決めてもらいたいと思っている。

 ……と、農業の魅力は十分に伝えられたと思うし、ゴさんだけでなくみんながやる気になってくれた。

 ここからは農業のやり方について、詳しく教えていこう。


 シーラさんやヘレナにも協力してもらい、巨人族の方々にみっちりと農業のイロハを伝授した。

 パワーは凄まじいけど、不器用なのがネックではあったが、ちゃんと形にすることはできたと思う。


「――と、農業の大まかな流れについてはこんな感じになりますね。3日間しかありませんでしたので、やり方を見せながら時間を巻いての説明でしたが、大丈夫だったでしょうか?」

「畑についてはバッチリだと思うぞ! 本当に育てられるかは不安だけどなぁ!」

「丁寧に教えてくださったお陰で完璧です。あとは忘れないうちに実行するだけですね」

「何か分からないことがあれば、1人だけでも派遣していただければ教えますので。とりあえず今回は、私が作った土を持って帰ってください」


 事前に用意していた土を馬車に乗せ、巨人族の村まで運んであげることにした。

 この土さえあれば、多少やり方が間違っていても、水や摘芽さえしてくれればちゃんと育ってくれるはず。


「何から何まで本当にありがとう! 関係性も薄いのに、ここまで良くしてくれるなんて……本当に頭が上がらねぇ!」

「私も歓迎してもらいましたからね。そのお返しです」

「お返しが大きすぎると思いますけどね。巨人族のみんなの代わりにお礼を言わせてください。佐藤さん、ありがとうございます」


 ゴさんとラーさんだけでなく、全員が息を合わせたように深々とお礼をしてきた。

 大きな方たちが私に頭を下げる構図は、傍から見たら異様に見えると思う。


「また機会があれば、遊びに行かせてください。生地も凄くよかったので買わせてもらいたいです」

「あっ、そうだ! お土産を持ってきているんだったぜ! みんな、生地は持っているか?」

「もちろんです。佐藤さん、こちらを受け取りください」


 巨人族の方々は鞄から大量の生地を取り出すと、私に渡してきた。

 なんだかタイミング的にも、催促したような感じになって申し訳ない気持ちになる。


「すみません。強請ったわけではないんですが……」

「がっはっは、分かっているさ! こっちも本当に渡そうと思っていただけだしな!」

「じゃないと、こんなに大量の生地を持っていませんので。帰りの荷物にもなりますので、受け取ってください」

「そういうことなら……受け取らせていただきます! 大事に使わせていただきますね」


 以前もらった生地は、パジャマとして利用しており、今のところ大活躍中。

 他のみんなの分のパジャマや布団カバーなんかにも利用できるし、本当にありがたいな。

 私とゴさんたちはお互いにお礼を言い合いながら、巨人族の村へと帰っていくのを見送ったのだった。



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