#90 復讐者・ネロ③[消えた夜]
前回までのあらすじ
司教の野望
ミズキの研究所
カズ「ただいま・・・」
カズ(はぁ。アリスの正体がネロかもしれない。しかし、昔の話を持ち出すと威圧されるし・・・あぁぁぁっっよく分からん!)
カズ(それにしても疲れた。二日酔いで頭も痛いし、とりあえず二度寝し・・)
ユイ「カズ!!!」
マリア「カズさん!!!」
カズ(・・・はぁ)
カズ「何?」
ユイ「お前・・・私たちが寝ている間に何をした!?」
カズ「あ、なんもしてねぇよ」
マリア「じゃあ何でわたくしたちはカズさんのベッドで寝かせられていたんですの!?」
カズ「知らねぇよ。こっちが聞きてぇよ」
ユイ「しらばっくれるな!ミズキさんが言ってたぞ、お前が昨日3Pを・・・」
カズ「ねぇ」
ユイ・マリア「っ!」
カズ「なんで俺がそんなことしないといけないの?」
ユイ・マリア「・・・」
カズ「ていうか、いちいち姉さんの戯れ言に惑わされてんじゃねぇよ。鬱陶しい」
ユイ・マリア「ご、ごめんなさい・・・」
カズ「あだだ頭痛い・・・つーわけで、疲れたので俺は寝る。くれぐれも邪魔すんなよ」
ユイ・マリア「はいっ、おやすみなさい!」
カズ「はぁ(自分の部屋に入る)」
ユイ・マリア「・・・」
ミズキ「・・・ん」
ユイ・マリア「・・・」
ミズキ(ユイとマリアが、カズの部屋の前で固まっている・・・?)
ミズキ「2人とも、何をしているんだ?」
ユイ・マリア「・・・」
ミズキ「・・・」
ユイ・マリア「・・・」
ミズキ「死んでるのか?(頭からココアをかける)」
ユイ・マリア「ぎゃあああああああああああ!!!!」
ミズキ「あ、生きてた」
ミズキ「・・・なるほど。カズに3Pの有無を尋ねたらもの凄く冷たい目でキレられて、恐怖とショックのあまり呆然と固まっていたということか」
ミズキ「まったく、死んでいるのではないかと心配になってしまったじゃないか。人が声をかけているんだから、何らかの反応をしなさい」
ユイ「いや、だからってわざわざ頭から熱々のココアをかけなくても・・・」
マリア「そうですわ・・・まずは身体をゆするとか、そういうソフトなアプローチをしていただきたかったのですけれど・・・」
ミズキ「すまない、ちょうどその時はココアのカップを持っていて両手が塞がっていてな。ココアをかけて反応を見るしかなかったんだ」
ユイ「じゃあその辺の机にココアを一旦置けばいいでしょうがぁ!!!」
ミズキ「っ、たしかに・・・!次からはそうすることにしよう」
マリア(なんですの、今の『その手があったか!』みたいな表情は?)
ユイ(この研究者、天才なのかバカなのか分からんくなってきた)
ミズキ「というか、君たち・・・私の妄言にいちいち振り回されていてはキリがないぞ。3Pだって適当に言っただけだしな」
ユイ・マリア(日頃から妄言を放っている自覚はあるのか)
ユイ「そうですね・・・」
マリア「カズさんにも言われましたわ・・・」
ミズキ「・・・」
ミズキ(元気がない・・・カズに威圧されたのが相当きてるようだな)
ミズキ「まぁ、フォローをするわけではないが・・・カズは3Pなどするような人間ではないぞ」
ユイ・マリア「っ!」
ミズキ「あいつは優れた人間ではないが、決して大きな過ちを犯す人間でもない。ましてや女性を襲うなど、良心のあるカズにはできっこない」
ユイ・マリア「・・・」
ミズキ「デリカシーのないことを言ってしまってすまなかった。だが安心しろ、君たちは襲われてなどいない。これは妄言でもなんでもない、血の繋がった実の姉だからこそ言い切れる事実だ」
ユイ・マリア「・・・はいっ!!」
ミズキ「うん、良い笑顔だ。そうと分かればさっさと朝飯を済ましてしまえ。と言っても、昨日のパーティの残飯だがな」
マリア「えぇ。ところでミズキさん、ネロさんはどこに?」
ミズキ「あぁ。彼女なら頭痛薬を買いに商店街に行ったよ、意気揚々と」
マリア「そうですか」
ユイ「なんだ、元気そうじゃんネロ」
マリア「・・・そのようですわね」
ミズキ「ん、なんだ。ネロがどうかしたのか?」
マリア「えっ、いいえ何でもありませんわ!」
ミズキ「そうか・・・」
その日の夕方
カズの部屋
カズ「やるな、暗黒大明神・・・しかしこの俺が来たからにはお前たちの好きにはさせない・・・んんっ」
カズ「ふはぁぁっっ!!?(起床)」
カズ「・・・なんか変な夢見てたわ、変な夢。暗黒大明神が出てきたよ。誰だよ暗黒大明神って。どんな脳内メカニズムしてるんだよ、俺(超絶独り言)」
カズ(それにしても、もう4時か。朝から夕方まで二度寝するとは思わなかった・・・)
カズ(しかし、そのおかげで二日酔いも治まった。せっかくネロが頭痛薬を買いにいってくれたのに、なんか申し訳ないな)
カズ「・・・ていうかしまった、夕飯の準備しないと!姉さんに殺される!」
リビング
カズ「すみません姉さん!今すぐ夕飯の準備するんで・・・って、いない?」
カズ(研究室にもいないし・・・それに姉さんだけじゃなくて、ユイたちもいない。なんだ、みんなでどこか行ったのか?)
カズ「まぁいいや、みんなが帰ってくる前にさっさと準備しちまおう・・・」
カズ「♪~」
(玄関の扉が開く音)
カズ「お、みんな帰ってきたか?」
ユイ「・・・カズ!」
カズ「よう、おかえり。もうちょっとで夕飯の準備できるから待ってろ~。今夜は照り焼きチキンのハーブ和えだ!」
マリア「そんなことをしている場合ではありませんわ!!」
カズ「えっ、なんで?」
ミズキ「・・・」
カズ「あぁミズキ姉さんも、みんなでどこ行ってたんです?」
ミズキ「・・・ネロが、帰ってこないんだ」
カズ「え、いつから?」
ミズキ「今朝、頭痛薬を買いに行ってから」
カズ「えっ・・・」
ユイ「おつかいにしては流石に遅すぎる。それで街中を探し回っていたんだが・・・一向に見つからない」
マリア「頭痛薬を取り扱っている店に尋ねてみたんですけれど、有力な目撃情報は1つもありませんでしたわ・・・」
ミズキ「カズ、この中で最後にネロと話したのはお前だ。何か言っていなかったか?」
カズ「・・・!」
カズ<・・・ネロ、お前過去に何が?>
ネロ<何故それを貴殿に教えなければならない?>
ネロ<残念だが、カズ殿が好きだった『アリス』は、もうこの世にはいない。そうと分かれば、二度と私の過去に介入してこないでもらいたい>
カズ(・・・)
カズ「・・・俺は、触れてはいけないものに触れてしまったのかもしれない」
ユイ「あ、どういうことだ?」
カズ「俺は今朝、ネロの過去について聞こうとした」
マリア「・・・っ!」
カズ「そしたら、これ以上詮索してくるなと言われた。それも、恐ろしい眼光で」
ミズキ「あの、ネロがか?」
カズ「えぇ。ネロのあんな目、初めて見た。憎しみというか殺意というか、そういった禍々しいものを感じさせるような目・・・」
マリア(カズさんも、感じ取られたんですのね。ネロさんの違和感に・・・)
ユイ(やはり・・・ネロには何か思い出したくない過去が・・・?)
カズ「ちょっと探してくる。まだ探していない所は?」
ユイ「・・・私が案内する。行こう、カズ」
カズ「いや、ここで教えてくれればいい。俺1人で行く」
ユイ「なんでだよ、みんなで探したほうが・・・」
カズ「みんな疲れてるだろ。とくにユイ、お前は1番顔色が悪い」
ユイ「そ、そんなこと・・・」
カズ「随分と長い間探し回ってたんだろ。今はゆっくり休んでてくれ、な?」
ユイ「・・・わかった」
ミズキ「カズ、南だ。南エリアはあまり捜索できていない」
カズ「南ですね。わかりました、行ってきます!」
マリア「ほんと、お優しい方ですわね・・・あの人は」
ユイ「・・・まったくだ」
寝起きで粋な夕食作る勇者の鑑




