#87 スリーピースと静かな口止め
前回までのあらすじ
ユイVSマリア、壮絶な寝落ち対決の開始・・・!
翌朝
研究所・カズの部屋
カズ「・・・ふぁぁぁ、いつの間にか寝てしまった(起床)」
カズ「いだだ、二日酔いだこれ」
カズ「・・・で、なんで俺は自分の部屋の床で寝てたわけ?おかしいよね、部屋まで運んでくれたんならベッドに寝かしつけてくれてもよくない?よくない?よくなくなくない?(超絶独り言)」
カズ「んっ(ベッドに視線をやる)」
ユイ「ちがう・・・そこはダム建設予定地だから部外者は入らないでください・・(寝言)」
マリア「カニの足くらい忖度してくださいまし・・・(寝言)」
カズ(・・・なぜこいつらが俺のベッドで寝ている?しかも、ベッドマスター(いつも寝る人)であるこの俺を差し置いて・・・!)
ユイ「あ~暴力は困るなぁ。暴力する時は事前に委員会に許可もらってください・・・」
マリア「あなたに甲殻類の何が分かるというんですの。店長呼びなさい、店長。バイトは話にならないから困りますわぁ~」
カズ「こいつら・・・人のベッドを占有している上に、なかなか特殊な夢を見てやがる・・・」
カズ(しかし、この2人が同じベッドで寝てる所なんて見たことないから、ある意味貴重な光景だな。仲の良い姉妹みたい・・・)
ミズキ「おいカズ(部屋を開ける音)」
カズ「っ!」
ミズキ「二日酔いがひどいんだが、頭痛薬持っていないか・・・(入室)」
カズ「あ」
ミズキ「あ」
ユイ「やめてください、暴力はやめてください・・・(寝言)」
マリア「ほんと困っちゃいますわぁ~・・・(寝言)」
ミズキ「・・・」
カズ「あの、姉さん、これはですね・・・」
ミズキ「すまんカズ、見なかったことにしておく(退室)」
カズ「Wait!Please wait!(待って!待ってください!)」
ミズキ「気にするな、誰にも言わないさ。お前が酒の勢いでその2人と3Pセ」
カズ「Wrong!I’m innocent!!!(違う!俺は無実だ!!!)」
5分後
食堂
ミズキ「・・・なるほど、話は大体わかった」
ミズキ「要するに、酒の勢いでその2人と3Pセッ」
カズ「違うって言ってんでしょうがぁ!!5分かけて無罪を主張してんのに何ひとつ進展してないじゃないですか!!」
ミズキ「だってあの状況を見れば誰だって容易に想像することができる。あれは明らかに事後現場だ」
カズ「だから俺はそんなことしてないんですって!!するわけがないじゃないですか!」
ミズキ「証拠は?」
カズ「へ?」
ミズキ「お前が3Pをしていないという証拠だよ」
カズ「それは・・・ないけど」
ミズキ「だろう。お前が3Pをしていないという証拠はどこにも無い。それにお前は酒に酔っていて記憶が曖昧になっている。よって私は、お前が3Pをしたものであるとみなす。以上!」
カズ(朝からひどい会話だな・・・)
ミズキ「まぁいい。今度から気をつけろ。それにしても二日酔いで頭が痛い。頭痛薬持ってないか?」
カズ「持ってないです」
ミズキ「そうか、じゃあ買ってきてくれカズ」
カズ「えぇ・・・俺も頭痛いんで無理です」
ミズキ「なんだと、姉が苦しんでいるのをみすみす見過ごすのか?」
カズ「弟が苦しんでいるのに買い物に行かせるんですか?」
ネロ「おはよう、2人とも何を揉めているのだ?」
カズ「・・・っ!」
ミズキ「おはようネロ。それがな、カズに頭痛薬を買ってきてくれと頼んでいるのに、買ってこようとしないんだ」
ネロ「なるほど、まぁカズ殿も疲れているようだからな。よし、私が買ってこよう」
ミズキ「いや、そんなことはさせられない。君は客人なのだから」
ネロ「客人だからといって、それは働かない理由にはならない。困っているのだったら客人だろうと手伝うぞ!」
ミズキ「ふっ、やはり君は面白いな。分かった、君に頼むことにしよう」
ネロ「うむ、では行ってくるぞ!!(退室)」
ミズキ「なかなか良い仲間を持ったものだな、カズ」
カズ「・・・」
ミズキ「・・・どうしたカズ。急に黙りこんで」
カズ「えっ、いや、なんでもないよ・・・」
ミズキ「なんでもない奴の表情に見えないのだが」
カズ「・・・」
カズ(俺が好きだった『アリス』の正体はネロだった・・・のか?)
ミズキ「おいカズ」
カズ(昨日のは聞き間違いか?いや、聞き間違いなんかじゃない。たしかにあいつが自分の口から発するのを聞いた。『アリス・フォン・レフィルリガート』と・・・そしてそれがネロの『昔の名前』だと)
ミズキ「・・・カズ」
カズ(夢なんかじゃない。こればっかりは確かだ。確信を持てるほどインパクトのある発言だったからな。となるとやはり『アリス』の正体がネロということに・・・)
ミズキ「カズ!!!」
カズ「はっ、はひっ!!?」
ミズキ「まったく。何を悩んでいるのか知らんが、返事くらいしたらどうだ?」
カズ「す、すみません・・・」
ミズキ「まぁいい。ところでネロは、金を持っているのだろうか」
カズ「それは、どうでしょう・・・」
ミズキ「心配だな。一応、ネロに渡してきてくれないか。それくらいの元気はあるだろう(金を差し出す)」
カズ「まぁ、それくらいなら・・・」
ミズキ「頼んだぞ」
インダストレージ・裏路地
カズ「あ、いた。お~いネロ~!」
ネロ「ん、どうしたカズ殿。疲れていたのではないのか?」
カズ「いや、お前が金持ってるかどうか心配だったから、姉さんが渡してこいって」
ネロ「おお、そういえばお金を持っていなかった!はっはっは、流石ミズキ殿!分かっておられる!」
カズ「じゃあ、頼んだ・・・」
ネロ「うむ、任せておけ!」
カズ(・・・)
カズ「なぁ、ネロ」
ネロ「ん、どうした?」
カズ「あの、昨日は酔っていていまいち覚えていないんだが・・・」
ネロ「・・・」
カズ「違ったら、違ったって言って欲しいんだけど、『アリス・フォン・レフィルリガート』って・・・」
ネロ「カズ殿(睨み付ける)」
カズ「っ!?」
ネロ「『アリス・フォン・レフィルリガート』とは確かに私のことだ。しかしこうも言ったはずだ、それは『昔の名前』だと。今の私はあくまで『ネロ・ミカエラ・フェザーライト』だ」
ネロ「『アリス』はとうの昔に捨てた名。二度と口にしないでもらいたい」
カズ「・・・ネロ、お前過去に何が?」
ネロ「何故それを貴殿に教えなければならない?」
カズ「そ、それは・・・」
ネロ「うむ、たしか昨日言っていたな。貴殿が昔の私・・・『アリス』のことを好きだったと。なるほど、恋い焦がれていたゆえに執拗に介入してくるといったところか・・・」
ネロ「残念だが、カズ殿が好きだった『アリス』はもうこの世にはいない。そうと分かれば、二度と私の過去に介入してこないでもらいたい」
カズ「・・・ごめん」
ネロ「話は以上か?」
カズ「は、はい」
ネロ「・・・」
ネロ「では頭痛薬を買ってくるから、カズ殿は大人しく研究所で待っているのだぞ!はっはっは!!」
カズ「お、おう」
カズ「・・・」
カズ(なんださっきの目・・・。憎悪だったり殺意といったものを訴えてくるような、禍々しい目だった・・・)
カズ(口調もどこか高圧的だったな。あんな怖いネロ、初めて見た)
カズ「・・・」
ネロ<残念だが、カズ殿が好きだった『アリス』は、もうこの世にはいない。そうと分かれば、二度と私の過去に介入してこないでもらいたい>
カズ(あいつが本当に、俺の好きだった『アリス』かどうかイマイチ信じられないが、それを確認しようにも方法はない。あいつの過去には、介入してはいけないんだから・・・はぁ、もう何がなんだか、わけがわかんねぇよ・・・)
カズ「触れてはいけない過去、か・・・」
表裏一体の顔




