#65 脱兎九族③[アラサー、ひと掴み]
前回までのあらすじ
ハゲを全力で殴る
18:20(ロードレイジ流星群まであと5時間10分)
ヘルバラード・マウンテン 標高???m地点
ネロ「うぅ・・・」
カズ「気がついたか。大丈夫か、ネロ」
ネロ「・・・カズ殿、はっ、ここは!?」
カズ「わからん。どこかユイたちから離れた所に飛ばされたようだ」
ネロ「・・・なるほど、2手に分けて戦力を分断させようという魂胆か」
カズ「そういうこと。それほど脱兎九族も本気ってことだろうな」
ネロ「奴らは聖杯を手に入れてどうする気なんだろうか?」
カズ「さぁ、どうせロクでもないことに利用するに決まってる」
ツヴァイ「あら、失礼しちゃうわ、ロクでもないことだなんて♪」
ネロ「あっ、お前はさっきの!」
ツヴァイ「ふふっ、ツヴァイお姉さんよ♪」
ネロ「・・・えぇ、29歳で自分のことお姉さんって呼ぶのか(ドン引き)」
ツヴァイ「ふぁっ!?あ、あなた・・・どうして私の年齢を!?」
ネロ「へぇ、あんた29歳なのか。適当に言ったら当たっちゃったよ」
ツヴァイ「ぐっ・・・私を嵌めたわね!」
カズ(適当とか言って、本当は解析魔法『トゥルー・ス・リーパー』で年齢を調べたんだろ・・・)
ネロ「やいトゥウェンティナイン!」
ツヴァイ「誰がトゥウェンティナインよ!年齢で呼ぶんじゃないわよ!」
ネロ「ノイン・ウント・ツヴァン・ツィヒ!!」
ツヴァイ「言い方変えても結局29って言ってるじゃない!やめなさいよ!」
カズ「やめてやれネロ。あぁいう年増は自分の年齢を連呼されることにコンプレックスを感じやすいんだ」
ツヴァイ「なんでだろう、フォローされてるのに全然嬉しくないわ」
ネロ「やい、ここはどこだ!?私たちをどこに連れてきたんだ!?」
ツヴァイ「さぁ、どこでしょうね?少なくともあなたたちがそれを知る必要はないわ、私がここで始末するんですもの♪」
カズ「・・・へぇそうですか。悪いがあんた1人に対し、こっちは2人。分断されたとはいえ数の利はまだこちらにあるが、それでも俺たちに勝てるっていうのか?」
ツヴァイ「勝てるわ、100%♪」
ネロ「ふん、たとえおばさんが勝てる可能性が100%でも、20%はこちらに勝利の可能性があるということ。そう難しい確率ではないな!」
ツヴァイ「あぁ、あなたは物事を120%換算する人なのね。ていうかいま何気に『おばさん』って呼んだわよね、『おばさん』って」
ネロ「言ってなぁい!!(威風堂々)」
ツヴァイ「そんな自信満々に否定されても・・・」
カズ「あんたの能力・・・推測するに人をどこかに移動させる、つまり空間を自由に行き来させることができる、といったところか」
ツヴァイ「なぁんだ、結局バレちゃったか。鋭いわね、あの子と同じで♪」
ネロ「あ、さっき私たちの足下にできた穴・・・」
カズ「そう。ワープホールを作り出し、俺たちをここに移動させたんだ」
カズ「恐らく、あの女自身も空間を自由に行き来できるはずだ。いつ背後を取られるか分からん、気をつけろよネロ」
ネロ「了解した。それで、私はどう動けばいい?」
カズ「そうだな、じゃあ試しに・・・」
カズ「半径10mくらいを爆破させてくれ、火力わりと強めで」
ネロ「合点承知!!!」
[ネロの攻撃:爆撃魔法『帰ってきたダイナマイドーン』!半径10mで爆発がおこった!]
ツヴァイ「・・・っ!」
カズ「よし、ナイス爆破」
ネロ「う~んカズ殿、爆破したのはいいんだが、正直手応えがないぞ。あのおばさんにも当たってないし・・・」
カズ「いいや、十分だ。これで2対1になった」
ネロ「えっ、2対1になったって・・・さっきまでも2対1じゃなかったのか?」
カズ「あれは方便でね。なぁネロ、後ろ見てみ」
ネロ「え、後ろ・・・?」
???「う・・・うぅ・・・」
ネロ「あっ、誰か倒れてる!?」
カズ「そう、あいつの仲間だ。2対1かと思いきや、本当はあっちにももう1人いて身を潜めていたんだ。俺たちを油断させるためにな」
カズ「さっきから後ろにチラチラ気配を感じててな、確認しても姿はない。さしずめ、姿を消す能力の持ち主といったところだろう。まともに戦うと厄介だから、気付いてないフリをしてネロに周辺を爆破させて倒した。いわゆる不意打ちだ」
ツヴァイ「・・・はぁ、そこまで全部お見通しか。まったく、どっちが厄介なのか分かったものじゃないわね」
ツヴァイ「ところで、大丈夫ぅフュンフ~?」
フュンフ「・・・あ、あぁ、なんとか。せ、戦闘不能だけど・・・」
ツヴァイ「そう、よかった。じゃああんたはそこで寝てなさい。私が1人でやるから」
カズ「ふぅ、これで本当に2対1だ。で、その上であんたが勝てる確率は何%なんだ?」
ツヴァイ「・・・無論、100%よ♪」
カズ「上等だ、さぁかかってこい!」
ツヴァイ「・・・じゃあ早速♪(ワープホールの入り口に両手を入れる)」
カズ「っ、まさか!!」
[ツヴァイの攻撃:『リバティ・トレース』!カズの首元にワープホールの出口が現れ、そこから出てきたツヴァイの手がカズの首を絞める!]
カズ「うぐぅぅぅっっ!」
ネロ「カズ殿っっ!?」
ツヴァイ「人を別空間に移動させるだけが私の能力だと思った?身体を部分的に空間移動させることも可能なのよ♪」
カズ「ぐぐぐぐ・・・!」
カズ(くっ、俺としたことが油断した・・・離れたところから腕だけを俺の前に移動させ、首を絞める・・・地味だが非常に強力な攻撃、こいつワープホールというものを使いこなしてやがる!!!)
カズ(それにこの女、首を絞める力が意外と強い・・・これが年増の怪力!)
ネロ「ええいっ、食らえアクションレーザー!!(ツヴァイに向けてレーザーを放つ)」
ツヴァイ「おっと危ない♪(ワープホールを利用し回避)」
ネロ「なんだと、手をワープホールに入れたまま別のワープホールの中に!?」
ツヴァイ「彼に攻撃を加えている間は隙が出来るとでも思った?1度に作れるワープホールは1つじゃない。私のワープホールの力を見くびらないでもらいたいわね♪」
ネロ「くそっ、攻撃してもその度にワープホールの中に逃げられたらきりがない。こんなの反則だ・・・!」
カズ(・・・たしかに攻撃にも防御にも転じれるチート級の能力。だが、攻撃してもすぐに逃げられるというのなら)
カズ(利用させてもらう!!<手前のワープホールに両手を入れる>)
ツヴァイ「っ!?」
ネロ「なにっ、おばさんの手が出てきているワープホールに手を突っ込んだ!?」
カズ(あぁそうだ、手が出てきているワープホールならあいつ本体に近づける。そこに手を突っ込んで逆にあいつの首を絞めてやればいいんだ・・・!)
カズ「く、くら・・・え・・・っ!(ツヴァイの首を絞める)」
ツヴァイ「~~~~っっ!!!!」
ネロ「!?」
カズ(よ、よし掴んだ・・・。あとはヤツが気絶するまで窒息させるだけだが・・・こっちの意識も薄れてきた・・・!)
ツヴァイ「ちょっ、あなたっ、な、どこ掴んでるのよ・・・!!!」
ネロ「カズ殿、貴殿はいったい何をしているんだ!?」
カズ(・・・ネロがなにか叫んでいる?そうか、『がんばれ!』って励ましてくれてるのか。あぁ、やってやる!俺の意識があるうちに倒してやるよ!!・・・それにしてもツヴァイの首、やけに柔らかくないか?)
ツヴァイ「あぁっ、あぁぁ、ちょっと、やめっ、て・・・!」
カズ(・・・ヤツの首を絞める力が弱まった!これはチャンスだ、一気に畳みかける!!!)
カズ「くっ・・・たばり・・・やがれぇ!!!(絞める力を強める)」
ツヴァイ「~~~~~いやぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」
[ツヴァイはたおれた!!ワープホールが解除された!]
カズ「うっ、はぁっ、はぁっ・・・やった、やったぞ!!」
カズ「あ、危なかった、もう少しで俺の意識がなくなる所まできていた・・・」
ネロ「・・・」
カズ「ワープホールを駆使し空間を自由に移動する能力・・・本当に厄介で驚異的な相手だった。早めに倒せて良かったよ・・・。ところでネロ、怪我はないか?」
ネロ「・・・。えっ、あぁすみません聞いていませんでした。なんでしょうか?」
カズ「・・・え、怪我はないかって聞いたんだけど?」
ネロ「あぁ怪我ですか、大丈夫です。ご心配ありがとうございます」
カズ「・・・そ、そうか。よかったよ」
ネロ「それでは先を急ぎましょうか」
カズ「う、うん・・・」
カズ(なんだろう、ツヴァイを倒すやいなやネロが他人行儀になったんだが・・・なぜだ?)
ネロ(うぅ・・・カズ殿、まったくもって貴殿は・・・破廉恥だ!!)
カズは窒息に苦しむあまりに気付いていなかった。ワープホールに突っ込んだカズの手が掴んだのはツヴァイの細い首ではなく、彼女の豊満な胸であったことを・・・
ツヴァイ(うぅ、もうダメ・・・お嫁に行けない・・・)
[『脱兎九族』メンバー紹介]
⑤リリーエンド・フュンフ
性別:男
職業:盗賊
年齢:18
髪型・髪色:ショート・ブラック
趣味:メイド喫茶潰し
特殊能力:『絶対不可視領域』
透明になる能力。誰からも気付かれない、陰キャ御用達のアビリティ・・・ここでリタイア!
史上最低の勝ち方




