#37 そなたは闇に舞い降りた天才
前回までのあらすじ
さらば師匠たち
3人の少女が修行をしている間、魔王軍は次なる脅威を生み出していた。
~ミーグマヤチグ群島 研究施設跡~
研究員「リグ様、お呼びでしょうか?」
リグ「うむ、例の凶魔の進行具合はどうか」
研究員「は。順調に進んでおり、間もなく完成します」
リグ「そうか。完成次第、早急に投入せよ」
研究員「了解致しました。ちなみに、投入する座標は?」
リグ「この世界の中心を成す悠久の都、グロリア・・・」
リグ「俗に言う、『聖都』だよ」
研究員「なるほど、聖都ですか。ところで聖都グロリアといえば潤い輝く水が有名ですが、リバ様が部屋にウォーターサーバーが欲しいと仰っており・・・」
リグ「・・・設置してやれ」
魔王の命令のもと、禍々しい予感が新たに台頭し、聖都に黒い影が忍び寄ろうとしていた。
そして1週間経ち、そんなことを知る由もないカズ一行は、野望の渦中「聖都グロリア」に足を踏み入れていた・・・
マリア「本当に、行くんですの・・・?」
――マリアは問うた、カズの意思を。
カズ「あぁ」
ネロ「それがたとえ、滅びの道だったとしても・・・?」
――ネロは問うた、カズの進む道を。
カズ「そうだ」
ユイ「・・・後悔は、ないんだな」
――ユイは問うた、カズの心を。
カズ「後悔・・・そんなものあるわけねぇだろ」
息を荒らげ、らしくもない冷や汗を額に流しながら、カズはそう言い放った。
カズ「俺はこの戦いに全てをかけるんだからな・・・!!!」
カズが覚悟を口にすると、3人の少女から曇りの表情が消えた。
ネロ「・・・まったく、そう言うと思ったよ」
マリア「ふふ、でもその覚悟こそ・・・」
ユイ「―――お前らしいな」
心に一切の迷いもないかのように、4人の間に静寂が広がる。そして己の全てを出し切るかのように、カズは叫んだ・・・
カズ「・・・俺は、白を捨てる!!!」
神の暇に雷を穿つような衝撃が、その空間に木霊した。全身全霊をこめたカズの覚悟。気高くも儚い、しかし美しいその精神は、見る者すべてに賞賛と敬意の感情を抱かせた。
再び静寂が訪れる。誰もが口を開くことを躊躇うこの静寂に、やがて小さな悪魔が顔を出す。ユイ・ルマリアンド、この少女の凍り付いたような表情がだんだんと変わっていくのを、カズは確かにその目で理解した。しかし、気付いた時には遅かった。ユイの表情がカズの覚悟をせせら笑うかのような悪意に満ちた時、ユイは小さくも、しかし誰にも聞こえるはっきりとした声で言った。
ユイ「・・・それだ」
彼女の発言が全ての者に響き渡った時、絶望と驚喜の喝采は起こるべくして起こった。
ユイ「・・・ロン」
その手札が開かれたと同時に、カズは絶望の顔を浮かべながら撃沈した。ユイが七対子で和了ったのだ。そしてドラ表示は「中」、つまりカズが捨てた「白」は完全な危険牌。それを承知の上で白を捨てたカズだったが、まさか「白待ち」だなんて内心本気にしていなかった彼の油断、言うなればフェイクを、ユイは見事勝ち取ったのだ。これがクロエ・カズ初の敗北であり、後に麻雀界にその名を轟かせることになるユイ・ルマリアンド伝説のプロローグが幕を開ける瞬間であった。見物客もロクにいない静かなその雀荘、新世代誕生の前奏曲は静かに奏で始められた・・・
Season4 ~聖都動乱の章~
ネロ「・・・カズ殿の様子はどうだ」
マリア「まだ落ち込んでいますわ。ほら、あそこのベンチで」
カズ「俺が負けた俺が負けた俺が負けた・・・」
ネロ「なんだかリストラされたサラリーマンみたいになってるな」
カズ「俺さっき負けたんだけどさぁ、別に負けたわけじゃないよな。な?」
マリア「・・・誰とお話してますの?」
ネロ「あれはカズ殿の隣に座っているお友達のテレサ君だな。我々には見えてはいないが」
マリア「要するに幻覚とお話してますのね・・・」
ユイ「あっれぇ~~~!!??」
ネロ「あ、ユイ殿が近づいてきたぞ」
ユイ「こぉれはこれはぁ、そっこのベンチにお座りになられている方は、最強天才ユイ・ルマリアンドちゃんに麻雀でまさかの敗北を喫した哀れな哀れな雑魚勇者のクズ君じゃないかぁ!!!」
マリア「めちゃくちゃ煽ってますわよ、ユイさん」
ネロ「ガラにもなくテンション高いなぁ」
カズ「微分・積分・二次関数~♪」
マリア「会話もかみ合っていませんわ」
ネロ「盛大にとち狂ってんなぁ」
ユイ「あらぁ~、クソボケバカのクズ君の分際でそんな難しい言葉知ってるなんて偉いでちゅねぇ~~!!はいよ~しよし!」
カズ「サイン・コサイン・タンジェントッ!」
ユイ「え~っ、数学得意なのカナ~?かっこいい~理系男子ぃ?頭弱い分とっても頭良く見えるよぉ~」
ネロ「もはや誰だよ。でも、わりと会話かみ合ってる・・・?」
マリア「・・・」
ネロ「ん、どうしたマリア殿。急に黙りこんで・・・」
マリア「ブツブツブツブツ・・・」
ネロ「あ~・・・」
ネロ(『ユイの野郎、麻雀で勝ったくらいでカズさんとイチャイチャしやがって。調子に乗るなよこのクソアマが・・・!』って顔しているな、マリア殿)
ネロ(マリア殿も相当勝ちたかったのだな。うんうん、分かるぞその気持ち!)
ネロ「マリア殿、行ってこい」
マリア「・・・へ?」
ネロ「混ざってくるんだ、カズ殿のもとに(煽りに)」
マリア「・・・」
マリア「分かりました、わたくしも行ってきますわ(イチャつきに)」
ユイ「はいじゃあクズちゃ~ん、4+8は~?」
カズ「ったく、人間はいつもそうだ。1つの問題に対し1つの答えを求めようとしてくる。やれやれ、滑稽というか哀れというか・・・まるで終わりのないプレリュードを・・・」
マリア「あっらぁぁぁぁ~~~~!?」
マリア「そこにいらっしゃるのは敗北者のカズさんではあられませんかぁ~~~!あらあらあらあら、恥ずかしい方ですわぁ~~~!しっかたありませんわねぇ、マリアお姉さんがぁ~慰めてさしあげても、よろしくてですわよぉ~~~!!!!」
ユイ「・・・なにやってんだマリア」
カズ「・・・どうした、頭でも打ったか?」
マリア「あぁぁぁなたたちぶち殺しますわよぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ネロ「まっ、待てマリア殿!こんな街中でグロックを出すんじゃない!!」
ユイ「おいクズ、お前マリアに何かしたのか」
カズ「してねーよ、俺がなにしたらマリアがあんなこと言うんだよ」
マリア「ちょっ、あなたたち、何でわたくしが急に変になったみたいに・・・あなたたちもさっきまで・・・うっ、くっ・・・あぁぁぁぁぁ撃ち殺しますわぁぁぁぁぁ!!!!!」
ネロ「分かった、分かってるぞマリア殿!私は見てた見てた、うん見てたよ!マリア殿が混ざった瞬間、急にこの2人正常に戻ったよ!分かってる、マリア殿は被害者だ!でもここで発砲すると貴殿が加害者になってしまう!だから今は落ち着くんだ!!!」
マリア「止めないでくださまし!!わたくしの怒りはネロさんの説得程度じゃ抑えられませんことよ!!!」
警備員「君たち~」
4人「!?」
警備員「随分と騒いでいるようだけど、なにやってるのかな?」
ネロ「い、いや、なんでもないんだ!」
警備員「なんでもないってこたぁないでしょうよ」
カズ「違うんすよ、聖都に来たからテンション上がって舞い上がってただけっていうか」
警備員「・・・あれ」
マリア「そうですわ、別にグロックを使おうとしていたわけじゃ・・・」
ユイ「そうそう・・・ってバカかお前はァァァ!!!!」
警備員「・・・君たち、もしかして」
4人(あ、ヤバっ)
警備員「いえ、あなた方は伝説の勇者カズとその仲間たちであられますでしょうか!?」
(麻雀漫画では)ないです




