#34 守ってみせます、最後まで
前回までのあらすじ
さらば少女たち
カズ「リタイアだと・・・、一体どういうことだ」
カーミル「言葉通りの意味さ。彼女らはお前との旅に同行させない」
カズ「何を勝手に決めてやがる!そんなこと、お前に決める権利なんか・・・」
カーミル「私ではない、これは我らが師・コーカスの決定だ」
カズ「あのオッサンが・・・!?」
カーミル「オッサンと呼ぶな、失礼だぞ!」
カズ「だ、だとしてもなんで第三者に勝手に決められなきゃいけねぇんだよ!」
カーミル「最初に言っただろう、我々三人は御師父コーカスにお前らが来ることを知らされていたと。その時、コーカスはこう言ったのだ」
カーミル「『もしも身を守る強さがなければ、旅を止めさせろ』とな。」
カズ「で、でも、あいつらは覚醒時とはいえ、強くはなったんだろ!?それで十分・・・」
カーミル「愚か者が!!!」
カズ「・・・っあ!?」
カーミル「何を甘いことを言っているのだ。貴様、この1年で丸くなったか?脳みそが溶かされでもしたか」
カーミル「覚醒しなければ実力を出せないということが、どれだけ危険なことなのか分かっているのか?」
カーミル「覚醒すれば強くなる。だがな、いつでも実力がしっかり発揮できるようでなければ、覚醒する前に命を落とすことだってあるんだぞ?」
カーミル「それに今回は、前に倒した魔王の兄とやらが世界を魔で覆い尽くそうとしている。人工凶魔なるものを仕向けてきたらしいじゃないか。1年前よりずっと凶悪になっている。お前が思っているよりも、現実は甘くないのだぞ」
カーミル「私は彼女らのためを思って言っているのだ。自分の身も守れずに、魔王と戦おうなど、愚の骨頂!命あっての物種だ。こんなところで命を落とすなど、あまりにも不憫だ」
カーミル「分かったなら、あの3人のことは忘れて、新しい仲間でも・・・」
カズ「すみませ~ん、トッピング全乗せジャンボカレーおかわりください!」
カーミル「なっ・・・!?」
カーミル「き、貴様、こんな時になにをふざけたことを・・・!」
カズ「あ~たしかにふざけすぎたな。すみません、やっぱ小盛りで!!」
カーミル「そういうことじゃない!!」
カズ「わーってるよ。要は、あいつらの無事が確保できればいいんだろ?」
カーミル「ム、それはそうだが」
カズ「じゃあ簡単な話だ。俺が3人を守ればいい」
カーミル「な、なにっ!?」
カズ「ったくよぉ、こんな簡単なことで時間取らせるなよ。話はそれだけか?じゃあさっさと3人のところに案内してく・・・」
カーミル「バカが・・・!どこまでお前は自惚れが強いのだ!」
カズ「俺にあいつらを守れないと?」
カーミル「たしかにお前は強い。ムカつくくらいにな。だが、それはあくまで敵を倒す強さであって、仲間を守る強さではない」
カーミル「これからも凶魔はこの世界に次々と放たれ、魔王討伐への道は過酷を極めるものになる。であったとしても、お前はあの3人を守れるとでもいうのか。あんな若く華麗な少女たちを、お前1人の手で・・・」
カズ「守れるよ」
カーミル「・・・!」
カズ「いや、守らなきゃいけない。なんてったって、俺はあいつらと約束しちまったんだから」
カーミル「約束、だと?」
カズ「『俺はお前らを守る』ってな」
カーミル「・・・」
カズ「あぁ、あれは旅立った日の夜だった。宿屋であいつらに作り話をしたんだが、その勢いで言っちゃったんだよ」
カズ「怠慢な作り話だったが、その言葉だけは嘘とか冗談で言ったつもりはない」
カズ「俺はふざけた人間ではあるけどさ、息を吸うように約束を破る人間じゃない。これは胸を張って言える」
カズ「守るって約束したなら、俺はあいつらを守る。それだけじゃあ不服か?」
カーミル「・・・はぁ」
カーミル「合格だ」
カズ「・・・え?」
ネロ「カズ殿ぉ~~~!!!!」
カズ「うわびっくりした!ネロ、お前どこから入ってきてんだよ!」
店員「いらっしゃいませ~」
ネロ「いいじゃないか店の窓からだとしても、入店は入店だ!あ、店員さん、トッピング全乗せジャンボカレーお願いします!」
カズ「お前も食うのかよ!あ、じゃあ店員さん、さっきのトッピング全乗せジャンボカレー小盛りキャンセルで!!」
店員「かしこまりました~ン」
カズ「・・・ていうかお前、盗み聞きしてたのか?」
ネロ「いやぁ、ジャスティス師匠から近づくなと言われていたのだが、気になってしまってな!」
カズ「ったく、恥ずかしい会話を盗み聞かれるとは・・・」
マリア「なにが恥ずかしい会話ですの?」
カズ「ふぁっ、マリアまで!?」
店員「いらっしゃいませ~」
マリア「わたくしまでって、ネロさんとは違って入口から入ってきましたけれど?あ、店員さん、水素水お1つもらえますかしら?」
店員「かしこまりました~ン」
カズ「あ、水素水ならあるぞ、ほれ」
マリア「クリスタルゲイザーではありませんの。それはただの天然水ですわよ?」
カズ「あれ、そうなの?でもさっき、水素の音したはずなのに・・・」
カズ「ていうか、お前も盗み聞きしてたのか?」
マリア「盗み聞きとは人聞きの悪い。イザベルさんには待機を命じられていましたけれど、用を足すという口実で店の外にいたのですわ。それで、たまたまカズさんの会話を耳にしただけで・・・」
カズ「それを世間では盗み聞きと言います」
カズ「ってかなんだあいつら揃いも揃ってザル警備なんだよ!ちゃんと見張ってろよ!」
カズ「おいカーミル、ユイはちゃんとここではないどこかで待機してるだろうな!?」
ユイ「あ、呼んだか?」
カズ「ぎぃゃっ!!!ユ、ユイ、いつの間に後ろの席に!?」
ユイ「いつの間にもなにも、ずっと前からこの席にいたのだが・・・」
店員「いらっしゃいませ~(水持ってくる)」
カズ「いや『いらっしゃいませ』言われとるやん。思いっきり水持ってこられとるやん。いま来たばかりですやん」
ユイ「・・・たとえば店の外にいて、ちょっと前に空間転移魔法でこの席に辿り着いたとしよう。それはずっと前からこの席にいることになるだろう」
カズ「なりません。どうしたユイさん。久しぶりに会うやいなや、言い訳がおざなりすぎる気がするんですが」
ユイ「う、うるさい!!あ、店員さん、月見うどん1つもらおうか」
店員「かしこまりました~ン」
カズ「お前喫茶店で何食おうとしてんだよ」
ユイ「喫茶店でカレー食ってるお前には言われたくねぇなぁ!」
ネロ「なんだ、喫茶店でカレーを食べてはいけないのか?」
ユイ「じゃあ月見うどんも別にいいだろうが!!!」
マリア「はいはい3人とも落ち着きなさいな。せっかくの水素水が冷めてしまいますわよ」
3人「もとから冷めてるだろ!!」
カーミル「・・・」
カーミル「フフフ、フハハハ!!」
マリア「あらいやだ、なんですの急に笑い出して」
ネロ「なんかヤバイ奴だな」
ユイ「だろ、だろ!?やっぱヤベェよな?私は会った時からずっとヤベェ奴だと思ってたんだよ!」
カーミル「まったく面白いやつらだ」
カーミル「・・・カズ、お前の約束とやら、絶対に破るんじゃないぞ」
カズ「え、あぁ・・・分かってる」
カズ「ていうかお前ら、なんか目が腫れてねぇか?」
3人「・・・!」
3人「き、気のせいです」
ものもらいかな(すっとぼけ)




