#22 目を覚ませ、泣くな笑え!ナンd
前回までのあらすじ
7秒で始末
カズ「さて、問題はここからです」
カズ「この人工凶魔、ブレイブイーターは今気絶している状態です。それはつまり、いずれは目覚めて、また我々に襲いかかってくるかもしれないことを意味します。じゃあ、みなさん、この気絶中のブレイブイーター、一体どうしたらいいでしょうか?」
3人「抹殺」
カズ「3人揃って即答とは恐れ入った。見た目が人間だからトドメを刺すのは躊躇われるかと思ったんだが、お前ら結構思い切りがいいのかなあ。」
マリア「たしかに、わたくしたちの目的はあくまでモンスター・・・凶魔を倒すこと。凶魔とはいえ人間の形をしたものを傷つけるなんて、少し、躊躇われますわ」
カズ「お前昨日、空から降ってきた大罪人マイケルを迷わず狙い撃ってたよね、マリアさん。あろうことかヘッドショットだったよね、マリアさん。どの口がそんな可憐な乙女みたいな発言してるのかな、マリアさん」
マリア「き、気安く人の名前を何度も呼ばないでいただけなくて?それにあれは、あのままだとカズさんが危なかったし、咄嗟でしたので・・・」
カズ「まぁいいや。まぁ、あとの2人も別に躊躇がないのなら、今度から人工凶魔はちゃんとトドメを刺しましょう。いいですか?」
3人「はーい」
カズ「あ、ごめん。トドメを刺すもなにも、そもそも・・・」
カズ「今のお前らでは人工凶魔を倒すのは無理なんだった。」
3人「!?」
ユイ「おいおいクソニート。聞き捨てならん台詞だなぁ」
カズ「お前にだけはニートとは呼ばれたくない」
マリア「わたくしたちは戦ってすらいないのに、どうしてそんなことが言えるのです?」
ネロ「そうだそうだ。カズ殿はあんな一瞬で倒したんだ。私たちにだって・・・」
カズ「・・・はぁ、分かってないなぁ、お前らは(呆れ顔)」
カズ「いいか、1回しか言わないからよく聞けよ」
カズ「お前らはまず、『自分を勇者カズと比べる』ことをやめろ」
ネロ「え、自分をカズと何って?」
カズ「1回しか言わないって言ったばっかりでしょうがぁ!!もうっ!とりあえず、お前らは俺と比べようとするな」
ユイ「お前が人工凶魔を瞬殺できるからといって、私たちも同じようにできると思うな、ということか」
カズ「そうだ。言ってしまうと、お前らはどうも、俺にできることなら自分たちにもできると易々と考えがちだが、それは間違いだ。俺とお前らを同レベルと考えるな」
マリア「そ、そんな言い方なさらなくても・・・」
カズ「あぁ分かってる。ちょっと厳しいようだが、それくらい言わないとお前ら自身に危害が加わるんだ。それは分かってくれ」
ネロ「し、しかし、少なくとも私の攻撃魔法全般のステータスはカズ殿とは比べものにならないほど高くて・・・」
カズ「だからなんだ?」
ネロ「え・・・」
カズ「何かのステータスが俺より優位に立っていればお前らは俺と同等、または強いことになると思っているのか?ステータスだけで強さが決まるとでも思っているのか?」
ネロ「それは・・・」
カズ「例えばネロ、たしかにお前の魔法は俺よりも強力だ。しかしお前の場合、魔力のコントロールがまるでなっていない。毎回ほぼフルパワーで放出するから、いつもすぐに魔力が切れる。どれだけ高い魔力やステータスを誇っていても、早々に魔力切れを起こされては、ただの足手まといだ」
ネロ「・・・っ!」
カズ「マリアの場合、お前はそもそも武闘家としての機能を果たしていない。基本的に飛び道具であることがおかしい。そんなものを使うより、実際に殴ったりしたほうがよっぽどお前のステータスを発揮できる。なのにお前はそれをしない。原因はこの旅に対するお前の覚悟への甘さにある。潔癖症という盾で身を守るという甘さだ」
マリア「・・・」
カズ「そしてユイだが、お前は自意識過剰すぎる」
ユイ「私が、自意識過剰だと・・・?」
カズ「お前、こう思っているだろう。『私は本当は強い。普段はやる気がないが、私はいざという時に強力な力を見せるのだ』と」
ユイ「・・・べ、別にそんなわけじゃ」
カズ「たしかにそうかもしれない。お前はいざという時に強い。しかし、いざという時にばかり力を発揮しているだけでは、その力はいずれ衰えていく。常に力を発揮しないばかりに、お前はいざという時にすら力を発揮できなっていくんだ。そうなると、お前は正真正銘の役立たずだ」
ユイ「・・・!!」
カズ「いま言ったように、お前らは力はあるのに、それを発揮できない。いや、しないんだ。言うなればお前らは出し惜しみをしているんだ。俺が言うのもなんだがそれは『怠慢』だ。それくらいは分かるだろう、お前ら」
ユイ「ううっ・・・(落涙)」
マリア「ユ、ユイさん?」
ネロ「大丈夫かユイ殿?」
カズ「・・・泣くなユイ。俺は別にお前達を責めているだけなんかじゃないぞ。俺はお前達が弱いだなんて一言も言っていない。むしろ、力がある、隠されてると言ったんだ。それを発揮できていないだけだ。お前らは素質はある。お前らに足りないものはたった1つだけ・・・」
カズ「それは『経験』だ」
3人「・・・」
カズ「その強大な力を発揮させるためには経験が何より大事。経験なしに強くなった者など存在しない。お前らはまだ冒険の初心者。経験も何もまだ旅立って2日目。そんなものは仕方の無いことだ。そこで俺はお前らに、強くなれと言っているんだ」
カズ「戦闘経験を積んで強くなれ、今の悔しさを噛みしめて強くなれ、自分を知って強くなれ・・・俺はお前達にそうあってほしいんだ」
3人「・・・」
カズ「まぁ色々言ったが、全てはお前達のことを思った上での厳しさであって、お前らをただ闇雲にディスっていたわけではないから・・・」
3人「うっ・・・(号泣)」
カズ「って3人とも泣いてる!?」
ユイ「く、悔しいんだ・・・。お前に言いたい放題言われて、何も言い返せない私の不甲斐なさに・・・」
マリア「カズさんは何も間違ったことを言っていない。全て的を射ているからこそ、わたくしたちの甘さが情けなくて・・・」
ネロ「私が間違っていた。魔力が高いだけで、マイナス面を何も考えずにいた私に無性に腹が立つのだ!」
カズ「だからぁ~それをなんとかしようぜって言ってるだけじゃんか~、泣くなよ~!」
カズ「まぁ、お前らが泣いてるってのは、まだまだ強くなれるっていう証拠だな。安心したよ」
3人「・・・」
カズ「とりあえず、ユイはそのプライドと自意識過剰の高さ。マリアは潔癖症。ネロは魔力のコントロール。これをなんとかできるように頑張っていこうぜってことで、いいな?」
3人「・・・はい!!」
カズ「おお、良い返事じゃねぇか。この旅イチのいい返事だったぞ。まぁまだ2日目なんだがな」
ユイ「ふ、ふふっ」
マリア「うふふ」
ネロ「はははは」
カズ「なんだよ、泣き止んだと思ったら今度は笑い始めるのかよ。へっ、本当わけわかんねぇなお前ら。とりあえず行くぞお前達!」
ネロ「あ、その前に腹が減ったからどこかで飯でも・・・」
カズ「お前はもうちょっと空気を読め!!!」
カズの厳しい言葉に、深く傷ついた3人。そして、カズの優しい言葉に、強く激励された3人。
魔王チョベリバの復活、新魔王チョベリグの台頭、新たなる敵・人工凶魔の出現、その旅路は当初より辛く厳しい局面への歩みを強いられることとなった。しかしユイ、マリア、ネロは決して下を向くことはしないだろう。彼女ら自身の弱さと強さを胸に、カズと共に前を向いて歩いて行く。
切ない涙は夕暮れに枯れ、そこに優しい笑顔が輝く。
Season2 ~凶魔襲来の章~
終
いい最終回だった(Season2の)




