#9 特技はプリズンブレイクです
前回までのあらすじ
勇者、追放!
勇者カズがエレクア村を離れて1時間。色々ゆえあって。
彼はダーノー王国内の牢獄の中にいた。
カズ「う~、しくったわ。完全にしくったわ」
カズ「1人でダーノー城内を制圧できると思ったが、1年のブランクと1時間ほどの過剰疲労があったことを忘れて、あっさりやられて牢獄に入れられちまったわ。にしてもあの兵士、あいつフツーあそこでスタンガン使うかなぁ。しかも後ろから。卑怯だよアレ。アレ卑怯だから、アレ実質俺の勝ちだわ。うん、勝ちだよ。いいよな、アレ俺の勝ちでいいよな?」
看守「うるせぇな、うるせぇよ!何さっきから独りでブツブツ言ってんだよ気持ち悪ぃな!」
カズ「看守さんよ~、俺が何したって言うんだよ~。俺はただこの国を制圧するために城内に侵入しただけじゃねーか」
看守「うん、牢獄に入れられるには釣りが出るくらいの十分な動機だよね」
カズ「くぁ~。で、俺はいつまでここにいればいいんだ」
看守「フン、そう簡単に出られるとは思うなよ。貴様には追って罰が下され・・・」
カズ「おーコワい。じゃあもう出るか(立ち上がる)」
看守「そうだ、もう出たほうが・・・え?」
カズ「勇穿流奥義・其の参『真空裂波』・・・!」
看守「き、貴様なにをッ!!」
カズ「・・・みたいなことできたらいいんだけどなぁ(着席)」
看守「ズコー!!」ズコー
カズ「おお、ズコーって言いながらズコーする人初めてみたわ」
看守「ったく、紛らわしいことをするんじゃない。お前なんかに構ってられるか。じゃあな、大人しくしとけよ(牢屋の前から立ち去る)」
カズ「・・・。王国の看守といえど、隙だらけだな」
看守「むっ!・・・いま何か言ったか?」
カズ「隙だらけだと言ったんだ。ホレ、見ろよこの鍵(鍵を見せつける)」
看守「そ、それはこの牢獄の鍵!?」
カズ「そう、さっきのフェイクの一瞬でお前のポケットからこの鍵を盗み取ったんだが、こうも簡単に盗めると逆に萎えるな(鍵を開ける)」
看守「き、貴様一体何者・・・」
カズ「ふん、少しの間だったが手間をかけさせちまった看守のアンタに礼として1つだけ教えておいてやる」
カズ「自分が一度勝った相手のことを『弱い』と決めつけるのは悪手なんだよ」
看守「なんだと、まさかあっさりやられたのは・・・」
カズ「ご想像の通りだァ!!というわけで死なない程度の右ストレートッ!!!(看守を殴る)」
看守「あんぎゃああああ!!!(気絶)」
カズ「・・・さて、牢獄の鍵も開け、看守も倒したところで、そろそろこの国を制圧しますかね」
カズ「今夜の寝床のためだ。流石にちょっと本気出すぜ。ちょーっとだけな・・・」
~ダーノー城内・中央管理室~
管理兵「スクランブル!各員、持ち場を離れ脱走者の確保にあたれ!」
管理長「騒々しいな。いったい何事だというのだ!」
管理兵「はっ、先ほど捕らえた王国制圧を目論む謎の男1人が、牢獄から脱走し城内を1区画ずつ制圧している模様であります!」
管理長「たった1人で、城内を制圧だと。何をバカなことを。そんなことできるわけ・・・」
管理兵「それが本当でして・・・って、なに!?もう城内の9割まで制圧されただと!?となると残る区画は王室と・・・」
カズ「この中央管理室だなァ!!!(管理兵を殴る)」
管理兵「あんびりぃばぶぃぁぁぁl!!!!(気絶)」
管理長「はっ、いつの間に!?貴様何者だ!」
カズ「う~んそうだな・・・。適当に『魔王殺しの貴公子』とでも呼んでくれ」
管理長「なんやそれダッサ!って魔王殺し・・・だと!?まさか貴様・・・」
カズ「あ〜らよっ出前一丁!!!(管理長を殴る)」
管理長「あ痛ぁぁぁぁぁぁぁ(潰瘍性大腸炎が再発する音)」
カズ「さぁて、残りは・・・」
ダーノー城、完全制圧まで 残り1区画『王室』
一方その頃、カズを追放した3人はエレクア村を離れ、カズのいるダーノー王国へと向かっていた。
マリア「村の外にもいませんし、本当にダーノー王国に行ってしまわれたのでしょうか」
ネロ「え、何のためにだ?」
マリア「ダーノー王国を潰すためではありませんの?」
ネロ「な、なんだと!?まさかエレクア村の経済的制裁を解くために・・・?」
ユイ「・・・それしかないだろう。まったく、無茶をしようとする奴だ」
マリア「あら、ユイさん起きてらしたの」
ネロ「お、じゃあ降ろすぞ」
ユイ「いや、まだ疲れてるから当分おぶっててくれ」
ネロ「私も疲れたんだがなぁ」
ユイ「・・・。」
ユイ「ほんと、バカな勇者だ」
牢屋に入ろうや