表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

『憧れのキミ』

地面いっぱいに広がる緑。それを外に出さないようにするかのように広がる青々しい空。その中で君は、笑っていた・・・。

 某県の中心部にそびえ立つ中学校、『近江中学校』。季節は秋。2学期も始まったところだ。

「暑ぃ~・・・死ぬ~」

3年5組の廊下側の前から3番目、それが今回の主人公である栗山雅紀(くりやままさき)の席だ。雅紀は残暑厳しい教室の中で一人うな垂れていた。だが、それは雅紀に限ったことではなく、全員が授業と授業の間の10分を休憩時間にしている。

「栗山、次は移動教室だよ」

雅紀は閉じていた目をあけた。目先には、雅紀の『憧れのキミ』。

「あぁ・・・。分かった」

顔が赤らめいているのを隠すかのように理科の教科書とノートを探す。

「今日は遅れちダメだよ」

「分かってるよ、いつもうっせぇんだよ」

つい、強く当たってしまう。その度に、後悔をする。だが、正直に言おうと思えば上手くいかない。

 理科室。今日は実験の日だ。よく分からないうちに号令が始まって、ノートをとり始める。

「今日の実験の後にノート提出ね」

中年の先生が黒板にチョークで文字を書きながら独り言のように呟いた。

「ゲッ・・・マジかよ・・・」

雅紀は今まで開いていなかったノートを開いてシャーペンを持つ。

「早く書かないと。先生に目つけられてるんだから」

真正面に座っている『憧れのキミ』からの声。本当だったらその台詞をチャンスに話を進めたいが、今はそんなことはムリだ。ノートをとらなければいけないのと・・・、告白を失敗した相手に向ける顔がない、ということ。

 2日前。国語の授業中。隣の席になったのをいいことに、さりげなく聞いてみた。

「お前って、好きな人いるの?」

「・・・いる」

「ふぅ~ん・・・」

自分から話しをはじめたのに、素っ気無く答える。もちろん、興味があると思われたら終わり。

「栗山は?」

まさか・・・と雅紀は耳を疑った。『憧れのキミ』が、自分の好きな人に興味をもつとは思わなかったからだ。

(どーする?素直に答えるか?)

雅紀は、本気で悩んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ