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努力は恋を裏切らない  作者: 杷木 うきは
第二部 高校2,3年生編

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最終話 努力は恋を裏切らない



共同生活中、平日は大江の家に泊まり、土日はくるみの自宅に戻るようにしていた

大江の為とはいえ、自分の親にあまり心配をかけるのも良くない


時々、大江も一緒にくるみの家に来て泊まっていったりと、ほとんど四六時中側にいた




3ヶ月もすると、大江の体調もメンタルも良くなり、冬休みに入るタイミングでもあったのでキリがいいから、と共同生活が終了した



大江は難関大学を目指しているらしく、高校2年の冬休みから本格的に受験勉強を始めると言っていた


「じゃあ、あんまり会わない方が良い?」

少し寂しいが、努力し続ける大江の事を尊敬しているので邪魔はしたくない


「いや。平日は今まで通り昼飯とかテスト勉強一緒にしよう。」


「嬉しい!...けど無理してない?」


「今までずっと勉強してきたし、早めに受験勉強始めるのも、くるみとの時間を減らさない為にだから。」


大江は大江で色々と考えてくれているようだ

くるみも出来る限り支えようと心を決めた


それと同時にくるみも進路について考える事にした





順風満帆なお付き合いをしていたある日のこと

スマホが鳴ったので画面を見ると、知らない電話番号からの着信だった


「もしもし?」

「もしもし。大江です。」


「え?!」

まさかの相手に驚愕する


「携帯電話買ったから連絡したんだけど...やり方合ってる?」

「ちょっと待ってて!明日学校で使い方教えるから!」


ケータイ初心者あるあるだが、アプリが分からないので、無料通話ではなく電話をしてきている

慌てて電話を切った




「急にスマホ買ってどうしたの?」

お昼休みに早速聞いてみる


「元々高校在学中に買おうと思ってたのと、ばーちゃん居なくなってから固定電話使わなくなったから...」

「そっか...」


使わない固定電話から携帯電話に切り替えたと聞くと、効率的ではあるが理由が理由なだけに悲しい気持ちになる



「まぁ、あと...くるみと同棲しなくなって寂しかった、ってのもある。」


少し恥ずかしそうに目を逸らす

大江の方は、もうおばあちゃんの事は気持ちに整理が出来ているようで、悲しみは感じられなかった



そんな、いじらしく可愛らしい彼氏の為に、アプリの使い方を教えたり、くるみの連絡先を登録してあげたりした

ついでにくるみの写真も大量に送りつけた


「これ見て元気出してね♡」

「..........ありがと。」



すると大江が急にくるみのスマホを取って自撮りし始めた


呆気に取られていると

「俺の写真も、って思ったけど...ごめん。撮るのすごい下手だった。」

と言って笑うのを必死で堪えている


(和くんって時々変なことするよなぁ...)


ケータイを返してもらいつつ写真を見ると、確かに写りが悪くて、つい吹き出してしまった



ーーーーーーーーーーーーーーー



高校3年生になった


大江は言ったとおり、平日はくるみの弁当を一緒に食べて、テスト前には勉強を教えてくれた

月に1回はデートに行って息抜きもする


時々、寝る前に通話もするようになったので、想像していたよりも寂しくはなかった



くるみは、自分なりに日々の生活で大江を支えられるように工夫していった


弁当は栄養バランスに加えて、頭を使う為のエネルギーが多くなるように量を調整して、デートでは運動不足を解消する為に体を動かせるデートスポットに遊びに行った






季節は巡り冬の厳しい寒さが和らいで、大学受験の後期日程が終了した



受験会場から帰っていると、手元でバイブが震えた


「もしもし、くるみ。受験お疲れ様。」

大江はすっかりケータイを使いこなしている



「和くんもお疲れ様!!結果出るまでが長いよね〜」


「まぁね。でもどうせ祈っても結果は変わらないし、くるみに今から会いたいなって思って電話した。」


大江から積極的に誘ってくるのは珍しいので意外だったが、もちろんくるみも会いたいので了承する



くるみの家の近くの公園で待ち合わせをする



「お待たせ。ごめん遅くなった。」

「ううん!会えて嬉しい!」

久しぶりに抱きつきながら、お疲れ様と言い合い、お互いを労う



しばらくぎゅっと抱きしめていたが、大江から離れた


「くるみに言いたいことがあって...」


「どうしたの?改まって」



「...大学行ったら遠距離になると思うから、これ。」

大江がくるみの手を取り指輪を付ける


「........」

思わず無言でじっと見つめてしまった



「あの。ごめん。ちゃんとした指輪は俺が働いたお金で買いたいから、安物なんだけど...」

緊張のせいか口数が増えている



「...左手じゃないの?」

大江が付けたのはくるみの右手の薬指だ



「それは...就職して安定したら改めてプロポーズさせてほしい。」


「うん!待ってる!」



嬉しくて顔が綻ぶ

先程よりも強く抱きしめた





しばらく大江がくれた指輪を眺めて悦に浸っていたが、ふと違和感を感じたことを聞いてみる



「そういえば遠距離になるってどうして?」


「え?俺は県外の大学に行くから...」



「私も同じ県に行くよ?なんなら一緒に暮らそうと思ってた」

「..........」

今度は大江が無言になってしまった


言われてみれば、大江の志望校は前から教えてもらっていたが、自分がどの大学を受験するかは伝えていなかった



「和くんが行きたいとこの近くにある、栄養学を学べる大学に行くつもり!」

合格していたら、の話ではあるが


くるみの話を聞くと、力が抜けたようで大江がしゃがみ込む



「......もっと早く言って。」

ごもっともである


くるみが言いたくないのだと思い、聞かないでくれていたらしい


申し訳ない事をしたなと思いつつ、図らずもプロポーズ(仮)をして貰えたので、儲けもんだ



「じゃあ早速!合格してたらどこに住むか、一緒に考えよっか♡」

受験勉強の息抜きに住みたい部屋を探していたので、候補は結構絞れている


大江も気持ちを切り替えたのか立ち上がる


「一緒に住むならバストイレは別がいい。」



合格発表の日まで、2人してあーでもないこーでもないと言い合いながら部屋を探す時間はとても楽しかった




ーーーーーーーーーーーーーーー




合格する事をサクラサクと言うが、合格発表の日は桜が咲いていた




くるみは震える手で急いで電話をかける



「もしもし!和くん!」


「くるみ!」













「「合格してた!!」」




2人の明るい未来を祝福するように桜が舞った











大江 和 × 國塚くるみ

高校2,3年生編 完結


まだ2人の話は少し続きます

【大学生編(R-18予定)】

 完全に別の連載で、完結後しばらく時間を空けてから毎日更新します

【番外編】

 本編の時系列順ではない小話(ハロウィンやクリスマスの2人の様子など)を不定期更新します

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