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221 毒沼の村 上

 ラディアンドを出発して6日で俺達はアメリアの男爵領に到着した。村に到着したのは夕方だったので、貴族は村内の家に泊り、それ以外は野宿する事になった。翌朝、大移動を続ける侯爵達と別れた。たった6日間だったが、もう2度とやりたくない。俺の脳内絶許リストに辺境伯の新しい罪が追加されたのは言うまでもない。政敵相手の嫌がらせにしては度が過ぎている。もっと大量の奴隷を更に長距離移動する侯爵とロドニーが黙っているので俺の怒りは内心で燻り続ける。


 200人規模の村に104人も滞在者が増えるのは決して喜ばしい事では無い。その内93人が奴隷なのも良くない。一番悪いのは中央貴族に分類される俺が地方貴族の男爵領に我が物顔で居座っている事だ。と言っても野宿は遠慮したいからアメリアには無理を言って便宜を図って貰う。それに村の近くにあるダンジョンの攻略は侯爵の許可を得てのものだから、この村全体をその目的のために徴発する正当性はある。正当性があっても実行性は無いので張子の虎だ。


 侯爵達と別れた翌日。俺は領主館でアメリアと主だった者達と今後の予定を話し合う。男爵領側からは新男爵のアメリアと代官のグイードが参加する。グイードはここを領有していた男爵だが、アメリアが来た事で玉突きで領地を失う。貴族なら戦っても領地を守るはずだが、グイードは籠城戦でアメリアの戦いを見て、姫様・・の熱烈な信望者になっている。それにアメリアがこの地を領有するのはダンジョン攻略を達成した場合の政治的メリットを考えての事だ。ダンジョンさえ攻略すればアメリアは領地替えでグイードがここの男爵に復帰するのが既定路線となっている。俺の方は俺と騎士爵のガイルズが参加する。ガイルズは宰相家から人質として派遣された三騎士の一人で俺への忠誠心が最も低い男だ。リルがここに居てくれたら最高なのだが、彼女は長期任務で離脱中だ。次点のエミールはまだ子供なので流石にこの場に参加させられない。


「まず治療の件は感謝します。滞在中は期待しても?」


「勿論だ」


 アメリアが最初に口を開く。この地はCランクダンジョン、通称毒沼のダンジョンの近くにあり、村人は毒に苦しめられる事が多い。そこで俺は所有奴隷の【光魔法】スキル持ち三人に【解毒】魔法を無償で使わせた。これで村人の俺たちへの対応が険悪から数日は我慢するに変わった。なので我慢している内に俺とアメリアが方針を決める必要がある。


「しかし聖女様を含めると四人ですか。いやはやアッシュ卿の手勢は凄まじいですな!」


 グイードがレアな【光魔法】スキル持ちを四人も囲っている事に素直に驚く。地方伯爵なら二人抱えていれば良い方だし、抱えている魔法使いもスキルレベルが2か3だ。俺の手勢ではシーナがレベル6、ハンナがレベル4、ダンとマリーメイアがレベル3だ。【解毒】魔法はレベル2から使えるので手元に居る三人は引っ張りだこだ。


「癒し手を増やすのはシーナたっての希望だったから」


 それ以上はマックスの蘇生に関する事柄なので言い辛い。ガイルズが上げ足を取って宰相家に何か吹き込むかもしれない。


「それより! どうやってダンジョンを攻略する気なのかしら?」


 アメリアが強引に話題をダンジョンに戻す。


「当初の予定では6月から9月末の4か月半を使う事になっています」


「一月半も無駄にする気は無いわよ。ねえアッシュ?」


「一月は積極的な攻略はしない。なので早めても5月中旬から攻略を開始する」


「ええ、なんでよ!?」


「一番の理由はリルの不在だ」


「代わりを務められそうな人は?」


「スキルだけなら居るが、信用性ではリルの足元にも及ばない」


「そうね。なら急ぐのは下策だと認めましょう」


 俺とアメリアはお互いの事を分かっているのでこのやり取りで十分だ。しかしグイードとガイルズが理解出来ていないので詳しく説明する。リルは高い実力を持つ斥候なのでダンジョン攻略には欠かせない。リルが本当は暗殺者なのは流石に言えないので一般には斥候と説明している。リルは宰相家の要請で王都に向かっているので合流は最短でも5月10日頃だ。王家の都合で陞爵まで一気に済ますつもりなら合流は5月下旬までずれ込む。ただ準男爵以上の陞爵はダンジョン攻略者なのが暗黙の了解だからリルが毒沼のダンジョンを攻略するまで待つ可能性はある。宰相家に誘拐・・されたシーナも同じ状況で無ければ合流は不可能だった。


「そこら辺は宰相閣下に問い合わせてみよう」


 ガイルズが聞いてくれるらしい。侯都のグリフォン便を使えば10日くらいで返事が届くだろう。となると誰かを人が溢れているだろう侯都に派遣しないといけなくなる。ロドニーに頼んでおけば良かった!


「しかしそうなると村での滞在は流石に厳しいと思います」


 代官としては一ヶ月半も居座る集団なんて悪夢でしかない。俺が【アイテムボックス】で食糧を自弁出来るから無駄飯食らいにならないのだけは救いだ。


「なので毒沼を解毒し、攻略拠点を新設する」


「「解毒!?」」


「何を驚く? 【光魔法】スキルが三人も居るんだぞ。ダンジョンからあふれ出る猛毒を解毒し、ダンジョン周辺に拠点を立てるのなんて攻略の常識だ」


 ルルブのリプレイで高レベルプレイヤーが実際にやっているので可能なはずだ。こっちの手勢はレベルが低いが、パワーレベリング出来る最高の環境が近くにある。解毒できるまで鍛える。その過程で俺の【スキル操作】で【光魔法】のスキルレベルを更に押し上げれば良い。特に欠損を再生できるレベル6までは両腕が欠損しているハンナの治療のために誰か一人だけでも上げる必要がある。そうすれば俺が押し付けられた40人以上の欠損奴隷も治療できる。


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