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第一次異世界大戦 武装神器リバティ・ギア  作者: 振木岳人
◆ 作戦名「ブギーマン」 編
49/72

49 ぶっ放す!


 突如現れた巨大なリバティ・ギア。ギリシャ神話の女神ヘラの現し身と契約したフランス王国の末裔エリーズが、レアアース基地を占領を開始すると宣言して行動に移したのが午前十時ジャスト。

 ヤクトヴィチ少将麾下のレニングラード軍管区・第138独立親衛自動化狙撃旅団七千名と、ニエストル大佐隷下の第2独立特殊任務団スペツナズの約二千名、合計で一万近くのソ連兵が基地へと降り立ち、あっという完全占領を果たした。


 時間は夕方の五時

 太陽は西に傾いてはいるものの、秋の日本海はまだ抜けるような青空を残している。

 そして佐渡ヶ島沖にあるレアアース採掘基地では、部隊展開を終えた異世界ソ連軍の占領部隊が、第二段階として接収施設の運用方法と奪取したレアアースをヘラに収納する方法を模索し始めていた時、直上に巨大な姿を構えるヘラで異変が起きた。

 ヘラの中核に何か異変が起きたのか、巨大なヘラの海が波を立ててうねったのである。


 リバティ・ギア・ヘラタイプ

 まるでサファイアのように紺碧に輝く海の“中心”にあるその本体は、街一つをパンケーキに例えてそれを何層にも積み上げたような形。

 エリーズと執事専用の居住区や操縦室や展望室以外にも、数万人規模の軍隊や兵器を輸送するための倉庫、それに伴う食糧や備品の備蓄庫など……それはもう一つの都市とも表現しても過言ではない。


 そしてその巨大な街に激震が走ったのである。

 重力を武器にするヘラ、重力で小さな水の惑星を作り、深海九千メートルクラスの水圧を受けるその本体が壮絶に揺れ始めたのだ。


 それは謎でも何でもなく、明確な理由がある。

 ヘラの下部にある軍需物資の倉庫、整然と並ぶ補給物資の一角が突如輝き、ハウリングを起こしたかのような高音域のノイズとともに巨大なロボットが現れ、そしてヘラの内部で破壊工作を行なったからだ。



「ぎいやああああ……痛ってえええ! 」


 現れたのはリバティ・ギア・スフィダンテ

 次元境界跳躍でヘラの内部に飛び込んだのだが、現れた場所が不運だったのか、両足の膝から下が保管されていた予備の戦車と「重なり」、消滅してしまったのだ。


『両足再構築、両足再構築! 御神木骨格再生に三十六秒、神聖翡翠鎧再構築に二十二秒、プレイヤー・ウィール回転率臨界点へ! 』


 スフィダンテのコクピットでのたうち回る智也

 ひざ下の両足が切断された痛覚だけが彼を襲っている。


「ポータル、同時進行で内部構造を探れ! エリーズのいる操縦室と……ヘラのプレイヤー・ウィールがある心臓部だ」


 苦悶の表情で大粒の涙をポロポロとこぼす

 両足の激痛に耐えられなく、じっとしていられないのか、両手で頭を抱えたり太ももを自分の拳で殴ったりと忙しい。


「痛いのはやだ、痛いのはやだ! ひい、ひいっ! 」


『報告、ヘラ内部の探査完了! 全八階層のフロアにて、契約者の操縦室とヘラのプレイヤー・ウィールは上層二階にあり』


「げ、現在地は? 俺たちはどこにいる? 」


『回答、現在地は下層側七階。備品庫と判断される』


 両足の再生が完了したのか、シートで暴れていた智也も次第に落ち着いて来た。


「すごいな……スフィダンテでも立ち上がれる。どれだけ広いんだ」


 身長五十メートルのスフィダンテが立ち上がっても天井は遥かに上。改めて巨大なリバティ・ギアの構造に度肝を抜かれるのだが、いつまでも呆けてはいられない。


 ーー体内に異物が飛び込んだ事に気が付かないヘラではないからだーー


「ポータル、電気設備を探せ! アレスの雷をぶっ放す」


 人間の住空間も充分に確保出来るこれほどの巨大なリバティ・ギアなら、電気設備が各フロアで独立している事は無い……どこかに発電施設があって集中管理しているはずだ。

 アレスの雷で発電施設を破壊して無力化すれば、その混乱に乗じてエリーズとプレイヤー・ウィールの元にたどり着けるはず。


 そう言えば聞こえは良いが、アレスの雷しか有効な武器が無かったとも言える。


 ポータルの探査結果でホール中心にある大エレベーターの壁面に、漏電防止装置などの入ったボックスを発見。その目の前に両手を広げたスフィダンテが立つ。


「ポータル、アレスの雷を充電! 限界まで体内に溜めるぞ」


『了解、アレスの雷充電開始。スフィダンテ中枢を絶縁化、外部神聖翡翠鎧を絶縁化、最大蓄積値まで二十七秒! 』


 コクピット内に「ヒイイイイン」と不気味な音が響く

 プレイヤー・ウィールの高速回転なのか、それともスフィダンテの身体周辺の空気がイオン化し始めた影響なのか、いずれにしても智也が怖気(おじけ)付くには充分の効果だ。


 ーー高電圧で短絡(ショート)すれば、身体が弾け飛ぶーー


 “痛いよな、痛いだろうな”

 “他に方法は無いけど、でも嫌だ、痛いのはヤダ”


 真っ青な顔で躊躇するも、ポータルはそんな事御構い無しに充電完了を告げて来た


「クソ、クソ! やってやる……いくぞスフィダンテ! 」


 右手の操縦桿を前に倒し、その外側にある小さなレバーを触る。人差し指と中指でその小さなレバーを内側へ倒した瞬間、智也は完全に気絶した。目の前が真っ暗に白目を向いたのだ。


 ……ドンッ


 最初にヘラの全身を駆け抜けた音は、間違いなくアレスの雷が落ちた音だった。

 だが、その音に続くようにヘラの最下部層が突然ドンドドンと爆発を始めたのである。


 『ヘラに異変が起きた原因とはこれ』

 ヘラ体内で電気系統がショートした際、火薬庫に保管してあった弾薬周辺で電気火災が始まり、大量の弾薬が誘爆を始めたのだ。



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