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第一次異世界大戦 武装神器リバティ・ギア  作者: 振木岳人
◆ 驚愕!要塞「ヘラ」襲来 編
35/72

35 作戦開始!


 航空自衛隊岐阜基地を飛び立った巡空艦神州は、石川県の小松基地で補給を済ませ、いよいよ日本海へとその帆先を向ける。

 目的地は日本海の新潟県佐渡ヶ島沖。レアアース採掘基地の上空に浮遊するソ連軍のリバティ・ギア、ヘラタイプの強行偵察に赴くためだ。


 強行偵察とは軍事行動における偵察任務の一種であり、敵に遭遇して交戦するのを目的とした偵察作戦の事を示している。そして何故にわざわざ敵と交戦しなければならないのかには理由がある。


 まず、偵察任務の種類は大きく二種類に分かれる。

 『隠密偵察』と『強行偵察』と言う名称がそれである。


 隠密偵察とは敵に発見されずに敵陣や未制圧地域へと侵入し、敵の編成や地形・陣地構築の内容を把握する作戦行動の事を言う。

 そして強行偵察とは、敵に発見される事を想定して敵陣や未制圧地域に侵入して、小規模戦闘を行う事を主旨としてしている。


 強行偵察とは小規模戦闘を行った際の敵部隊の編成や装備火力はもとより、陣地展開ならびに敵増援部隊の規模や到達時間を測るための戦闘偵察なのである。

 つまりは遭遇戦を既定路線として、尚且つ戦闘後に膨大な情報と共に無事に味方陣地へと戻って来る事が求められた作戦。ーー巡空艦神州には今、それが課されていたのである。



 小松基地で補給を受けた神州が再び大空に上がると、榎本艦長はCICに詰めっ放しになってしまった。

 強行偵察……自衛隊用語で言うところの「威力偵察」の実行を前に入念な打ち合わせを重ねているのだが、なかなかに結論が出ないのか、日本海に達した今も艦内クルーに向けての作戦概要は発表されていない。


 能登半島を西から横断して富山湾に抜けるルートで敵リバティ・ギアの制空権に侵入すると、ルートを逆算され神州の係留基地がバレてしまう理由と、神州の侵入ルート上に敵の迎撃作戦が始まってしまうと富山県民の生活を脅かしてしまうため、神州は今迂回ルートで日本海佐渡ヶ島沖を目指している。


 その迂回ルートとは、小松基地から西の海上へと一度出て日本海洋上を北進。能登半島最北端よりも北へ向かう。

 沿岸部や漁船などの人的被害が出ないように能登半島北端より更に五十キロほど北上して東へ転進後に敵リバティ・ギアに接近する。

 ……この大まかなシナリオは出来ているのだが、具体的に神州を使ってどのような行動を取れば安全且つ有意義な強行偵察になるのか、まだ乗組員たちに発表されていないのだ。



 時刻は深夜零時を回った頃

 夕方岐阜基地を出発し途中で小松基地で補給。その後日本海に出て北進を始めており、あと数時間で東に転進するタイミングがやって来るのだが、ようやく榎本艦長は決断したようである。

 キュイキュイキュイ! と艦内放送がサイレンを鳴らし、徳永戦術長の声が轟いたからだ。


『こちらCIC、戦術長の徳永より全乗組員に達する。ただ今より榎本艦長から本作戦についての概要説明がある。総員傾聴せよ! 』


 この放送を機に、神州の乗組員たちの動きはピタリと止まる。そして全員がそれぞれの部所に据えられたスピーカーを見上げて艦長の言葉を待つーー別にスピーカーを凝視したからと言って、艦長の姿が見える訳ではないのだが


『榎本から神州の全乗組員に達する、あと一時間ほどで神州は予定空路の最北進点に到達する。東に転舵して佐渡ヶ島沖に向かう段階をもって強行偵察作戦の開始とする 』


 決して怒声であったり張り上げた大声ではないのだが、榎本艦長の低くて落ち着いた声は艦内の隅々にまで浸透し、緊張感に包まれる。


『偵察目標はヘラタイプと思わしき敵の巨大なリバティ・ギア。当艦のデータアーカイブに一切該当しないタイプであり未知の応戦行動が予想されるため、各員より一層の奮闘を期待する。作戦詳細は戦術長より通達、以上だ』


『……こちらCIC、戦術長の徳永だ。現在当艦は能登半島輪島から北に五十キロ地点にいる。今より五分後のマルマルサンマル時に時計合わせ、マルマルヨンマル時に東に転進、強行偵察作戦を開始させる』


 榎本艦長よりも幾分強い戦術長の声。乗組員たちは神経を尖らせながら無言でそれに聞き入っている。もちろん各担当部所の責任者から詳細な説明はあるのだが、これも軍隊。部隊の共有認識を深めるためにも、節目節目で必要になる儀式である。


『新潟県佐渡ヶ島沖、敵リバティ・ギアの制空圏まで百三十キロの距離がある。当艦の最大戦速で進めば四時間半で到達するがこの行程を第一戦速で進行させる。微速前進で十時間! 遅滞行動をもって敵の我慢の限界と迎撃能力を探る。 敵の攻撃によりダメージコントロールの可能性がある事から、各部集団行動を厳となせ!』



 いよいよ作戦が始まる

 神州が情報収集船として宝の山を持ち帰り、後に続く海上自衛隊の護衛艦隊と航空自衛隊の航空部隊に攻略の糸口をもたらすのである。


 そして最後に、徳永少佐はこう付け加えたーー本作戦は情報収集を機に敵制空圏を即時離脱する性質から、スフィダンテの出撃は無しとする と。


 今回、智也のやるべき事は無くなってしまったのだ。



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