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11-1

 ヴァリアスの屋敷に通いだして十日以上が経過していた。最近やっと新しい生活サイクルになれてきたシシリー兄妹は、長男と一緒に食事をしようと少し早くに起きて朝食を兄妹一緒にとるようになっていた。


 ランカはすっきりとした顔で身支度も済んだ姿で眠気は一切感じられない。一番早くあらかた朝食を取り終わっていた。


 レンとライの双子は多分眠気は無いといえるかもしれないかも、と首を傾げたくなるほど無表情に二人そろった動作で黙々とパンをそのまま口に運び食いちぎって咀嚼している。


 シドはというと、三つ子の間に入って忙しなく腕を動かしていた。

「ほら、リズ、クラン、アレン、口を開けて」

 シドの言葉に、三つ子はひな鳥のように口を開けてそのまま暫く動かなかった。その隙にシドはささっとそれぞれの口の中に食べ物を運んで入れた。


「んぐー」

 シドの直ぐ右にいるのは目を瞑ったまま口だけを開けているクランだ。スプーンですくったスープをさっと口の中に入れると、寝ぼけているのか、料理に対して批評しているのか口の中でもごもご言いながらクランはごくんと飲み込んだ。


「んまー」

 次にクランの隣にいるリズにシドは少し身体を卓に乗り出すようにしながらパンを小さくちぎってやり口の中にそっと入れると、リズは可愛らしく、んぐんぐと口を動かし飲み込んだ後に声を出しながらまた口を開けた。その目はとろんとしていて、夢の世界で食事の夢を見ているようだ。


「……ん」

 シドの左側に座ってゆらゆら身体を揺らしているアレンは半分目が閉じた状態でサラダの葉っぱを食べさせると、ウサギのように一寸づつ葉を口の中に入れて食べている。その間にシドは自分のパンを半分近く一気に齧って咀嚼した。そしてまた口を開けている三つ子にそれぞれ食事を与える。何度か繰り返していると、食後のお茶を飲んでいたランカが茶器を置いた。

「……兄さん。俺がやろうか?」

「ん?」

 スプーンでスープを掬って飲むのが面倒だったので、自分の分のスープはマグカップに入れておいた。そのマグを口に持っていきごくごく飲みながらアレンにちぎったパンを与えていると、兄の食べ方に見かねたランカが声を出した。


「ランカ、食事は?」

 シドがマグから口を離して向かいに座っている弟に聞いた。

「もう、食べ終わったよ。兄さん、その状態じゃ食べづらいでしょ。俺がクランとリズの面倒を見るよ」

「ん、悪いな。じゃあ頼むよ」

「了解」

 一つ頷いてランカは席を立って向かいに歩き、シドの後ろを通ってクランとリズの二人の丁度間で止まって腰を屈める。むごむごと意味のなさない言葉を発しながらもしっかりと口を開けて食事を待っている二人に苦笑を零しながら、ランカは少しぎこちない手つきでパンやスープを食べさせ始めた。


 次男の世話焼きを横目で見ながら、シドはパンを口に入れ、しっかりと咀嚼してから、手はアレンの開いた口にサラダに入れていた輪切りにした胡瓜を食べさせながら、ぼうっとしているのかいつもの無表情なのかわからない双子に声をかけた。

「ライ、レン。学校には遅れないようにするんだぞ? ランカもリズとクランの分を食べさせ終えたら、食器は流し台に置いておけばいいからな」

「大丈夫だよ兄さん。最近は早起きのおかげで時間の余裕があるから、皿洗いくらい出来るよ」

 双子から視線を動かして、ランカを仰ぎ見るように見る兄に、次男は安心させるようににっこり笑って返した。

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