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【新装版】枯れたおっさん、何もしないで異世界を救う  作者: アズマユージ
第三部 文明発展編

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158/206

第157話 伝説の英雄?

 王国。


 魔王国。


 聖王国。


 ネバランド帝国。


 それぞれの国から選ばれた四人の若者は、ユージア国の会議室へ案内されていた。


 皆、緊張した面持ちで椅子に座っている。


 しばらく沈黙が続いた後、ジンが口を開いた。


「なあ。」


「ユージって、どんな人なんだ?」


 ガイルが真っ先に答えた。


「王国では、建国の英雄として有名だよ。」


「わずか数年で、このユージア国を築き上げた人だって。」


 リリスも目を輝かせる。


「魔王国では、ものすごく強い人って聞いた!」


「少ない戦力で魔王国と互角に渡り合った豪傑だって!」


「しかも……。」


「ロクローマルさまでも歯が立たなかったんだって!」


 ガイルとセシルが思わず息を呑む。


「そんなに……。」


 リリスは何度も頷いた。


「うん!」


「魔王国じゃ、知らない人はいないくらい有名だよ!」


 セシルは静かに続ける。


「聖王国では、神託制度に風穴を開けた頭脳派として知られています。」


「教団の常識を覆した方だと。」


 ジンは腕を組んだ。


「へぇ。」


「ペーター陛下は、『面白ぇ男だ』って笑ってたけどな。」


「どんな化け物が出てくるんだろ。」


 四人は思わず姿勢を正した。


 各国で語られる伝説。


 誰もが一目置く英雄。


 きっと威厳に満ち、近寄り難い人物なのだろう。


 重厚な扉が、ゆっくりと開く。


 ガラリ。


 入ってきたのは、一人の男だった。


 作業着。


 少し伸びた髪。


 寝癖をぽりぽりと掻きながら、気の抜けた笑顔を浮かべている。


「あ、おはよう!」


「どもども!」


「いやぁ、遠いところ、ご苦労さんだったね!」


 四人は固まった。


(……え?)


 男はそんな様子など気にも留めず笑う。


「まあ、そんなに構えなくていいよ。」


「気楽にいこうや!」


「長旅で疲れただろ?」


 そう言うと、自分の椅子へどかっと腰を下ろした。


「で、何か分からないことがあったら、遠慮なく聞いてくれ!」


 四人は反射的に返事をする。


「「「「はい!」」」」


 男は親指で隣を指差した。


「俺じゃなくて、ナーチャンにな!」


「よろしくぅ!」


 一瞬、部屋の空気が止まる。


 ナーチャンは深いため息をついた。


「……また始まりましたね。」


「ユージさま。」


「あなたが教師でしょう。」


「え?」


 ユージは心底不思議そうな顔をする。


「いやいや。」


「先生は愛ちゃんとナーチャン。」


「俺は雑用係だから。」


 ナーチャンは額に手を当てた。


「本当に、この人は……。」


 四人は顔を見合わせる。


 ジンが小声で囁いた。


「……人、間違ってないよな?」


 リリスも小声で返す。


「た、多分……。」


 セシルは首を傾げる。


「私たち、部屋を間違えたのでしょうか……。」


 ガイルだけは真剣な表情でユージを見つめていた。


「いや……。」


「この人だ。」


「分からないけど……。」


「この人が、ユージさんなんだ。」


 その時だった。


 ユージは四人をゆっくりと見渡した。


 さっきまでの気の抜けた笑顔が、すっと消える。


 空気が一変した。


「さて。」


「まず一つだけ約束してもらう。」


 四人の背筋が自然と伸びる。


「ここでは。」


「国も。」


「身分も。」


「これまでの実績も。」


「全部忘れろ。」


 静かな声だった。


 だが、その一言には、不思議な重みがあった。


「俺が見るのは一つだけ。」


「本気で学ぶ気があるか。」


「それだけだ。」


 四人は息を呑む。


 ユージは再び笑顔に戻った。


「ま。」


「本気なら、こっちも本気で付き合う。」


「楽しくやろうや。」


 四人は、まだ信じられなかった。


 この寝癖だらけのおっさんが。


 噂に名高い、あの英雄ユージ、その人であることを。

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