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【完結】【新装版】枯れたおっさん、何もしないで異世界を救う  作者: アズマユージ
第一部 ユージア国誕生編

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第12話 監視付き国外追放って何?

おはようございます!

いつも読んでいただいて、ありがとうございます♪

今日から、1日1話投稿に戻します。

よろしくお願いします!

翌朝。


ユージは、見覚えのない部屋で目を覚ました。


天蓋付きのベッド。

柔らかすぎるシーツ。

窓の外には、整然とした王都の街並み。


「……ここ、どこだ?」


記憶を辿る。


歓迎会。

視線。

品定め。

そして、余計なことを言った自覚。


「うん、やらかしたな」


独りごちた瞬間――


コンコン、と控えめなノックが響いた。


「ユージさま。お目覚めですか?」


ナーチャンの声だった。


「起きてる起きてる。どうぞー」


扉が開き、いつも通りの冷静な彼女が入ってくる。


ただし――

手に持っている書類の束が、やけに多い。


⸻


「まず、結論から申し上げます」


ナーチャンは、淡々と言った。


「ユージさまは、本日この城を出ていただきます」


「……え?」


一瞬、頭がフリーズした。


「追放?」


「正確には、“自主的長期視察”です」


「それ追放だよね!?」


「形式上は違います」


またその言葉か。


⸻


ナーチャンは書類を一枚取り出す。


「王国上層部の評価は、昨晩の時点でこうです」


・戦力としては不確定

・政治的に扱いづらい

・しかし切るには惜しい

・囲うと危険


「……めんどくさい男扱いだな、俺」


「その通りです」


即答だった。


「ただし」


ナーチャンは、わずかに口調を変えた。


「一部の者は、こうも考えています」


「ほう?」


「“この勇者を、王都の外に出した方が価値が測れる”と」


ユージは、ゆっくり理解した。


「なるほど……

 隔離という名の、実地テストか」


「はい」


⸻


「行き先は?」


「名目上は、“世界理解のための自由行動”です」


「名目上ね」


「実際には――」


ナーチャンは少しだけ声を落とした。


「王国の影響が及びにくい地域を中心に、です」


「……魔族領、近くない?」


「とても」


ユージは吹き出した。


「はは。雑すぎるだろ」


「ですが、理にかなっています」


「まあ、俺も同意だけど」


⸻


準備はすでに整っていた。


装備一式。

最低限の資金。

身分を示す証文。


そして――


「これ、何?」


ユージは、首輪のような魔道具を指差した。


「位置把握用です」


「やっぱりな!」


「安心してください。監視用ではありません」


「それを監視と言うんだろ」


「“完全な消息不明になると困る”という意味です」


「やっぱり監視じゃないか」


⸻


城門前。


送りに来たのは、ナーチャン一人だけだった。


「王様は?」


「公式には、“勇者の自由を尊重する”とのことです」


「本音は?」


「“どう転ぶか、外から見たい”でしょうね」


ユージは、門の外に広がる街道を見た。


王都の外。

未知の世界。


「……まあ、いいや」


「よろしいのですか?」


「むしろ好都合」


ユージは笑った。


「城の中じゃ、息が詰まる」


⸻


一歩、城門を越える。


不思議と、胸が軽くなった。


「なあ、ナーチャン」


「はい」


「俺、思ったんだけどさ」


少し考えてから、言う。


「この世界って、案外“人間くさい”な」


ナーチャンは、目を細めた。


「ええ。だからこそ、厄介です」


「だよね」


「ですが」


彼女は、はっきりと続けた。


「ユージさまは、その厄介さを“面白がれる”」


「褒めてる?」


「最大級に」


⸻


しばしの沈黙。


やがて、ナーチャンが一礼した。


「では。ここからは、自己責任です」


「おう」


「無理はなさらず」


「それ、今の俺に言う?」


「……できる範囲で」


二人は、少しだけ笑った。


⸻


ユージは歩き出す。


背後で、城門がゆっくりと閉まる音がした。


「――国外追放、か」


呟いて、空を見上げる。


青い。


やけに、自由だ。


「まあいい」


肩を回し、前を見る。


「ここからが本番だな」


王国の外。

管理の外。

期待と恐れの外。


勇者ユージの、本当の物語は――

ここから始まる。

しばらくは【毎日1話更新】で進めていく予定です。

もし読みづらい点やご要望があれば、感想などで教えていただけると嬉しいです。

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