グミ撃ちって効かないイメージ強い
放った魔法弾は結界に衝突して爆発した。轟音が洞窟内に響き渡り爆発で巻き起こった爆風で土埃が舞い上がる。結界内に爆風が襲い掛かることはないが、結界の周囲に舞い上がった土埃で中にいる老紳士から私の姿は見ることが出来なくなった。視覚強化や透視魔法で土埃の向こうから私の姿をすぐに見つけてくるだろうけど、それでも一瞬老紳士の視界から消えることが出来る。それだけの時間があれば十分だ。
「土埃で姿を消してどうするおつもりですか? 私にはこの状況でも女神様、あなたがどこにいるかはっきりと見えていますよ」
「姿を消すのが目的じゃないわ。ちょっとタメが必要だったから余計な邪魔をされるのが不安だったの」
土埃が晴れていき私の視界に再び結界内の老紳士と清隆君が現れる。だけど、老紳士と清隆君の視界に現れたのは私だけじゃない。
「なんとっ」
老紳士の驚く視線の先、私の周囲には魔力で形成された弓が魔力矢をつがえて無数に並んでいた。
「いくつ作ったかなんて数えてないわよ。全弓、一点集中で貫き破る!」
私の号令で魔力矢が放たれて結界上部の一点へと打ち込まれていく。一つの矢が結界に当たり折れてもまた次の矢が結界の同じ個所に当たっていく。何回、何十、何百と。
「女神様にしてはいささか力技すぎませんか」
老紳士の顔に焦りが見えたので私は得意げに笑い返す。
「私、基本的に頭使うの苦手なの!」
矢が当たった箇所を中心に結界が歪み始める。歪みは全体へと伝達していき、結界にガラスのようなヒビが入った。
「や、やめなさい。中にはお仲間がいるのですよ。無理に結界を壊せばどうなるか」
老紳士の静止の声には当然反発して攻撃を続けて結界のヒビは大きく広げていく。
「気絶している時なら不安だったけど目が覚めているなら本人に何とかしてもらうわ」
「お任せください。自分の不祥事自分で乗り越えてみせます」
「よく言ったわ、さすが勇者!」
最後の一撃とばかりに一段と魔力を込めた矢をつがえて放つ。矢はこれまでと同じ個所に衝突した。
「やめなさい!」
矢は結界のヒビの隙間から中へと矢じりを侵入させていく。
「どうせ無駄なのですから」
矢が結界内に侵入した瞬間、結界内部から新たな結界が再展開されて矢を弾き飛ばされた。
「っ!?」
「結界が壊れたのならもう一度張ればよいだけです。何度でもね」
再展開された結界には当然先ほどまで矢で与えていたダメージはなく、最初に見た時と同じ、いや、最初以上の力が込められていた。
「とはいえ何度も壊されるのは面倒ですから今度は少し強めに作りました。また再チャレンジしても構いませんよ。壊れたのならまた作ります。ですが、ご注意を。結界を作る力の元はお仲間の生気ですので。何度も再作成すると生気を取られすぎて亡くなってしまうかもしれません」
清隆君を見ると顔に汗がにじんでいた。清隆君本人は何も言わないがかなりの疲労に襲われているのは見て分かった。
「壊そうとすれば作り直されて。加えて作り直す力の元は人質の生気って……だいぶ質の悪い結界ね」
「お褒めいただいて嬉しく思います」
「外からは無理ね、やっぱり」
「やっぱり? この展開を分かっていたと?」
「ええ、想像の範囲内。だからさっき私は言ったでしょ。目が覚めているなら本人に何とかしてもらうって」
私の言葉の意味が分からず首を傾げる老紳士の背後、清隆君を拘束していた石柱がヒビが入る。その音に反応して振り返った老紳士の目の前で石柱が砕け、拘束されていた清隆君が解放された。
「まずは一殴り!」
清隆君は驚きで動きを止めていた老紳士を力の限り殴りつけた。
次の話、清隆君の名誉挽回




