関東では大富豪、関西では大貧民?
市役所から帰ってソファに身を投げる。私のせいで今後、話し合いそのものがなくなるということがないようでひとまず安心したが、迷惑をかけたことへ反省は私の中で続いている。
これから香織の母親である紀乃との話し合いは私抜きで続けられることになったが今まで以上に前途多難になってしまっただろう。
「早く解決したいって焦ってたのかしら」
大きな心配事があるだけに解決できるモノは早めに解決したいと気持ちが前のめりだったと終わった今だからこそ分かる。香織からの話で大まかな紀乃さんの人となりは聞いていたのだからもっと気を付けることが出来た。
「これじゃ偉そうに進言とか出来ないわ」
今まで落ち込んでいて確認していなかったスマホを見ると香織からSMSでメッセージが着ていた。
「今日、うちの母親と会ったんでしょ。どうだった?」
「怒らせてしまったわ」
頭を下げているスタンプと同時返信する。
「気にしないで。どうせいつも怒ってるから。それに先にうちの母親がステラを怒らせるようなこと言ったんでしょ」
「良いことは言ってなかったわね」
「やっぱりね!」
さすがに香織の事を言っていたと書けないので話題を変えることにした。
「香織は今日何してたの?」
「学校終わった後はすぐにシェルターに帰った。遊ぶ友達もいないしね。で、シェルターにいる子とトランプ。最近よくやってるんだけど、結構熱くなるんだよね」
「ジョーカーゲームをしてたの?」
「じょーがーげーむ? ああ、ババ抜きのこと? やってたのは大貧民だよ」
「大貧民? ごめん、私それ知らない」
「マジで。外国だと別の呼び方なのかな……分からんし。まあ興味があるなら今度ルール教えてあげる。二人でやるようなゲームじゃないんだけどね」
「お願いするわ。人数はその時に考えましょう」
「他には神経衰弱とか。これは分かる?」
「絵柄を揃えるゲームよね、分かるわ。私の地元にも似たようなゲーム在ったから」
「正直、神経衰弱とかの覚える系苦手でさ。私はだいたい負け」
「記憶力は鍛えられるって聞いたことあるわ。鍛えてみたら?」
「鍛えている間に知恵熱出て倒れる自分の姿が想像できたんだけど」
「ステラも出来たわ」
香織から怒った姿の動物のスタンプが送られてきたので私はニヤついているスタンプと謝罪のスタンプを送る。
「今度いつ遊べる?」
返信を少し止めて考える。明後日くらいには最近起こっていた騒動に一段落を付けられる予定だ。それまでは騒動に対して集中したいし、私の世界から持ってくる力についてちゃんと受け入れる準備もしておかないといけない。なので少し余裕を持った期間で返信することにした。
「五日後かな」
「ええー、そんなに先? 忙しいの?」
「忙しいわよ。今年一番」
「休暇中なのに?」
「私も本心は忙しくしたくないんだけど、放っておけないことが多くてね」
「まあ、ステラはそうだよね。いろいろと首突っ込んでいるみたいだしさ。私もそれで助けられているし」
「別に見境がないわけじゃないのよ。本当に必要そうなものに必要なことをしているだけ」
「私も必要そうだったってこと?」
「ええ、ステラは必要だったでしょ」
香織からの返信が止まった。数十秒経っても帰ってこないので一度スマホを置こうかと思った時に返信が返ってきた。
「必要だった」
スタンプも絵文字もなくただの文字だけだったが、香織からの感謝が込められているような気がして嬉しかった。
だ、だんだん文字数が短くなるような




