表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/166

81話 真打登場 その二  (アリーシャ視点


「逃げて!!!」


 のどがつぶれるのではないかと思うほどの声を上げた。しかし、その言葉言い終えるころには男のナイフがその男性に到達しようとしていた。


 私は思わず目をつぶり、顔を伏せる。


 しかし、しばらくして怖いものみたさからかはわからないが、私は再度、視線を戻した。


 そこには信じられない光景が広がっていた。なぜか、襲い掛かったはずの男が白目をむいて、無様にお尻を突き出すようにして地面に倒れこんでいたのだ。


 いったい何が起こったというのか、私には全くもって理解が及ばなかった。そういえば王子に最初に助けてもらったあの日もこんな感じだった。


「ひー、ふー、みー、よー……うわ、何人いんのさ。そろいもそろって暇人か」


 男性はずいぶんと嫌気がさしたようにそう言った。間違いなく私たちを助けに来てくれたのだろが、彼からはまるで緊張感が感じられない。いったい何者なのだろうか。


 ここには十人以上の大男がいる。とても彼一人でどうにかなるとは思えないのだが。


「その二人を離せ。そうすれば命くらいは助けてやる」


「ああ? なめてんのか? こっちには十三人もいるんだぞ。てめぇは確かにそれなりに強いみたいだが、たかが一人でどうこうできるわきゃねぇだろう」


 嘲笑交じりに王子を足蹴にする男がそう言った。


「あっそ。それじゃどうなっても文句は言うなよ」


 そう言って男性は一歩、また一歩とゆっくりと歩みを進めた。


 さすがにこれにはその場の全員が動揺した。


「おお? 武力行使か? でも、この二人はどうすんだよ。俺たちゃ別にここでこいつらを殺しちまってもいいんだぜ?」


 男の言うとおりである。彼は私たちを助けに来たのではないのか?


 このままでは逆上して私たちを殺しかねない。私はともかく、王子がその対象に含まれているのは非常にまずい。


 しかし、男性の答えは意外なものだった。


「お好きにどうぞ」

「「え?」」


 思わず私は声を漏らした。同時に周囲の男たちも声を漏らす。


「お、お前、自分が何を言ってるかわかってんのか? お前はこいつらを助けに来たんじゃねぇのか?」


「……まあ、助けられるに越したことはないけど、僕自身はそこの二人とは面識もないし、別に死んだところで特に何も問題はないんだ。むしろ、その二人には悪いけど、この先の未来でお前たちが危害を加える人数を鑑みたとき、お前らを豚箱にぶちめれば十分におつりがくる。だからお好きにどうぞ。多分、今日がシャバの空気を吸える最後の日になるだろうから好きにするといい」


 特に表情を変えることなく男性はそういった。そして、もしかしたら助かるかもしれないなどと思った自分が浅はかだったことにいやが応にも気づく。


 少し考えれば当たり前のことだ。男性一人で大人数を相手に二人の人間を救い出すなどできるはずがないではないか。


 その事実に私は黙り込み、絶望するとともに力なくうつむいた。


 しかしその時だった。私を羽交い絞めにしていた男は乱暴に私を投げ捨て、腰のナイフを手に取った。


「全員でかかれ! こいつは生かして返すな!」


 王子を足蹴にする男が勢いよくそう口にするとともに、男たちは王子を足蹴にする男を除いて、いっせいに私たちを助けに来た(?)男性に襲い掛かった。


 一方、放置された私は訳も分からず男性を凝視していた。


「死ねやぁ!!」


 勢いよくそう叫んだ男は直剣を突き立てる。しかし、接触するというその瞬間、男性は身をひるがえし、男の手首をひねって続けざまに顎を殴りつけた。


 そしてあっけなく気絶したその男の腕をつかんだまま、まるでこん棒でも扱うかのように男を縦横無尽に振り回した。


 あまりにも現実離れしたその光景に私は息をのみ、絶句した。見た目から確実に男性よりも体重が重いであろう相手をあろうことか武器のように扱っているのだ。


 それも、まるで重量を感じさせない軽々とした動きで。


 ほかの男たちもこれには面食らったらしく、また自分たちの仲間を傷つけることをためらっているのか、男性に近づくことができなかった。


 そんな風にもたもたしているうちに一人、また一人と地面に伏していく。


「く、クソッタレ!」


 意を決したように一人がそう言って刃物を突き立てた。武器にされた仲間が傷つくことを覚悟したのだ。


 しかし、幸運なことに刃が仲間にあたることはなかった。しかし、その刃が男性にあたったわけでもなかった。


 男性は突撃してくる男を見るや否や、武器にした男を投げ捨てた。そして、本当に一瞬のことなのだが、その瞬間、男性が私の視界、ひいては男たちの視界から消えた。


 そして次の瞬間には刃を構えた男は地に伏していた。


 それに気が付いた時にはすでに次の男に男性は殴り掛かっており、この男も一撃でノックアウト。


 その次に標的にされた男も、訳も分からず顔面を正面から殴りつけられ、気絶する。多分、鼻が陥没しているのではないだろうか。想像するだけで痛い。



ここまで読んでいただきありがとうございます!


ブックマークや、評価していただけると作者のモチベーションにつながります!


よろしくおねがいいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ