一本道
なし
尾根について
ますますの偏頭痛に襲われた
足元がふらつく
すごい霧が立ち込める道は
一本道
ゆっくりと前に進んでいく
少し霧が晴れてきた
驚いた
片方は遥かふもとまでの
絶壁のがけ
ここを転がり落ちれば
まずたすかるまい
そんなことを当たり前に
さらに
山は試すかのように
ときおり急に突風が吹く
偏頭痛でよろめきながらも
持ちこたえる
こんなところで
死んではならない
よろめきながら一歩一歩
ゆっくりすすむ
しばらくして足元の赤ペンキが
矢印にかわり
賽の河原に
たどりついた
石が積み重なっている
いやがおうにも
あの世の入り口を意識する
こわい
思わず人の声をもとめて
ラジオに手がのびた
しかしラジオは
うんともすんともいわない
さらにそんな私を歓迎するかのように
突風がふく
かぶっていた帽子が飛ばされそうになる
すごい風だ
だれかの叫びのような気もして
ますます背筋がさむくなる
体感温度が急激に
下がっているのだろう
あわてて背中のDパックから
ゴアテックを出して着る
霧はますます深くなる
なにか私を追い詰めるかのように
霧は深くなる
こんなもの
山の天候がくずれれば
あっという間
人間などひとたまりもない
自然のすごさか
やはり洋子に電話して
助けを求めるしかない
携帯で電話をかける
山の尾根だけあって
感度は登っている先ほどより
格段によい
数回のコールで
すぐに
つながった
なぜか
私は口走った
「あなたのお姉さん
自殺したわね」
なぜ、このタイミングで
この言葉
何を言っているのか
自分がわからない
しかし言ってみて
なにかが
つながった気がした
電話は何も言わずに切れた
そう思うと
液晶が光り
コールもすぐにつづく
メール着信
洋子からで
タイトル
「さようなら」
そして
目の前に白装束
洋子の携帯が落ちる
思わずその手をつかもうとしたが
みえるだけで実態がない
つかめなくて
手をすりぬけてしまった
「洋子、あなたはいったい」
突然の大音量
ラジオがかかりだす
けたたましい
チャイムの音とともに
「道路情報。道路情報。
関越道
霧による多重衝突。
先頭車両、トンネル壁面にぶつかり大破
現在、関越自動車道は、事故車両の・・・・」
あっけにとられている間に
白装束が
にやりと笑って
私をつきとばす
後ろに倒れるかとおもいきや
そこに大地はなかった
もしかして
私もよばれるのか
谷底から
私を落下させる風が
悪魔のようにうなりをあげてきた
前作 「 セールスレディ 宮沢 朋子 」との
時間を超えての競演です。
今回の作品も、謎が多く
前作も併せて読んでいただけると
より作品がご理解いただけると思います。




