偏頭痛
なし
構内の暗い階段
この駅は地下の
トンネルの中にホームがある
水滴が天井から
階段にポタポタと落ちる
肩に水滴を受けながらも
階段の遥か向こうの
地上を目指す
洋子は待ち合わせに
現れなかった
駅を出て
私は歩き始めた
今の私には
T岳に向かって
歩くしかなかった
アスファルトの
道路を苦々しく思いながら
何度も洋子を電話で呼び出すも
無機質な女性のアナウンスが
ながれ
留守番電話に何度かけても
すぐに切り替わる
しかたなくアスファルトの道をのぼる
やはり訓練をしない私に
この急登はつらい
そういえばロープウエイがあると
先輩は言っていたが
まったくひらけた場所もなく
山に田んぼに木々と
さらに
ますますひとけもなくなる
どこにロープウエイが
あるというのだろうか
そして今朝から
特にひどいこの偏頭痛
高校時代によくこの偏頭痛に悩まされたが
ここ数日の異常な暑さか
最近偏頭痛が始まった
さっき
薬を駅で飲んだものの
今日はいつも異常に偏頭痛がひどい
山を登るたびに頭ががんがんする
山にとりつき
登り始めて
あまりの偏頭痛に
ついにへたりこむ
登り始めて数時間
あと少しで尾根にでるのだが
こんなに長く休むのは
ペース配分上悪いと知りながらも
しかし、どこかで
洋子が私に追いついて
笑顔を見せてくれるのではないか
そう期待して長く休んでしまう
洋子に甘えているのだろうか
待ち人は来ず
疲れた体にむちをうって
歩み始め
やっとこ尾根にたどりついた
なし




