4_第四話【驕慢さという盾をかざして】
「あはぁ? 嘘でしょ? 何を生きているのよ、この混血児? それは、あってはならないこと。……なのにさぁ♡」
……。ヤベエな、こいつ。
俺が、一応は自分がイオシスの民であることを実感した、たった今この貴族娘が放った地圧電撃魔法に対して堪えることが出来たこと。『魔力もつ民が強弱はあれど必ず持っている、自己防衛領域』外部からの魔力攻撃を減衰させる『レジストフィールド』による、ギリギリのダメージ緩和によって、辛くも即死しなかった事そのモノにダメ出しをして。
その娘は、俺と銀髪女のシンの前に姿を表し、とんでもなく性質がくさっていそうな笑顔で何やら口上を述べ始めやがった。
「ねえ? 貴方わかっていないね? に・ん・げ・ん!! のよ? ソサエティな統制秩序のことをなのよ♡」
あ? 何言ってやがるか、このハピネスドーターは? まあ同調圧力用の圧力リソース保持者のコイツら『魔導貴族』を。俺のような混血貧民が理解しようとしたら。たとえ知性で理解に触れても、ソサエティギャップで脳が砕けるのはわかるがよ……。
そんなことが脳裏を走った俺が、声の主の貴族娘の……顔を見た。
「……罪過発生。罪名、卑賎の者による貴種の直視。この不明文法を乱した罪により」
「赤毛の混血児!! 貴様の身柄は既に罪者と確定! この、イオシス魔導王国、デキルギシュ伯爵家令嬢! マドールの恣意による処刑の霊的認可が決定した!!」
?!なん?! 魔導術の発動呪文も斯くやという、長台詞の高速発音の中で。俺がようやく聞き取れたワンフレーズ……だが!!
本来、明文化されて公開の手筈を踏んだ上で民衆認知の信用性が裏付けになって初めて執行力を持つ『法体系』である筈の法律に『不明文化法』なるつまるところ『自分ルールのアドリブ』の『即時に公的法率の威力を付加』という行動になる筈の『でたらめ主張』をして。そんなものが通るわけないという、庶民の愚考を嘲笑うように……。
その貴族娘、マドール=デキルギシュは
『今までもそうやって来たし、これからもずっと通じて行く』との、強烈な自信の迸る、若々しくてキュートな……。冷静極まる態度で言いはなちやがったぞ!! ちょっと考えりゃわかるがこれは!
背筋が即座に凍りつくような宣言のものだぞ!!
デキルギシュ伯爵邸、前庭に……。なにやら妖艶な風が流れる……!!
「ウェイクン! バイ!! バトルゴーレム!! ウェルキッシュ&ヴァンデキリス!! 動きなさい!! 出番よ!!」
!! なん?! 貴族娘の奴……!! 腰からレイピアを抜き払って、右手で握って振り上げて!! 何やら高らかに! 呪文を切り始めた、ぞ!!
すると!! 中庭に飾られていた石像の群れのうちの二体が稼働開始!! くっそ! あれ土操兵だったのかよ!!
「ふっふん♬ うっふん!! 二段土魔導士のこの私はね♡ 実は魔導術よりゴーレム創作と操演に長けているわけでしてぇ♡ 混血児と銀髪をミートスクラップにするのなんて、全くもって造作もないわけなのよね♡ わ・か・る・かしら? うふふふ!!」
そんな様子のマドールを見て。シンが先程の魔導銃とかいう危なそうなもんを構えなおした。
「さがっていろ、盗賊!! お前では、この先の戦いに巻き込まれたら即死はお約束のようなものだぞ!!」
おお、わかっているぜ。冗談じゃない、あんなやばい娘と巨大ゴーレムに襲われたら、本当にミートスクラップになっちまうからな!!
「さて、貴族娘。マドール=デキルギシュとか言ったな? 構わんぞ? どこからでも、いつでも勝負をはじめようじゃないか!!」
挑発の言葉をマドールに撃ち込むシン! あんな若い癇癪娘にそんなこと言ったら!!
「……罪科摘発!! 害獣民族である銀髪の民による、我ら貴種への失言!! 罪状万死に値する!!」
マドールが!! 振り上げたレイピアを振り下ろす!! するとゴーレムが灰色から真っ赤色に変わって!
二体が一斉にシンに襲い掛かった!!
4話 END




