第5話 私だって働きに出たことぐらいあります!(1)
ああ~、どうしよう? どうしたら良いの~?
私は今日もお城の窓から雲一つない澄み切った天空を眺めつつ嘆くのだ。
我が一族の今後の逝く末がどうなるのか? と。どうするのか? を私は天を仰ぎつつ今日も一人で、迷走する我が家の今後を憂いながら思案を続けるのだが。
私が今日も一人我が家の逝く末を色々と思案をしても、やはり破たん寸前の我が家の財性を立て直すのは不可能……。
ならば長女である私もお母様のように……。
そうお母様は私達姉妹には心配や気苦労をさせまいと内緒にはしていますが。
お母様は町へとできあいもの物のお惣菜や食材を購入いかれると何故か午前中から夕刻までの長時間お城へと帰宅をされないのと。お母様の身体からいつも亜人の雄の臭い匂いがする。
またその悪臭をお母様は消そうとしたいのか? 帰宅をされれば慌てて湯殿へと向かい水浴びをされ、当分の間湯殿から出てきません。
だから私は何度かお母様に悟られぬように忍び足で湯殿へと近づき扉へと耳を当て──。お母様の御様子を確認した事があるのですが。
その都度扉の向こうからお母様の啜り泣き……。
時には「陛下……。お許しください……。わらわ達はもうこうでもしないと生きてはいけないのです……。本当に申し訳ございません……」と、若くして他界をしたお父様へと泣きながら詫びてい悲しい声も何度も聞いているのです……。
まあ、そんな事情があるので私は妹のリムへと我慢をしなさいと諫め。お母様には町へと出掛けないでくださいと嘆願をするのだが。
皆さんも知っての通りで妹のリムもお母様も私の言葉に耳を傾ける事もなく月日だけ経っていますから。
私はリムの我儘にも頭にきますが、お母様は本当にどうする気でいるのやら……。
このままダラダラと亜人のオス達と逢引きを繰り返し、妃のような勤めをして養って貰っていれば。
お母様は遅かれ早かれ亜人とのハーフの子を身籠り、出産をする羽目に私はなると思うから、本当に不安で仕方がないのだと。私が嘆きながら幸先不安だと申せば。
皆さんは貴女が城下の町へと行き、日雇でもいでもいいから働けば良いのでは? と思うかも知れないけれど。
実は私はもう既に何度も城下の町へと働きに出ている。
でもね、私達家族は女性ばかりの三人家族だから。私が職を探しに町へと出ても「貴女は女性だから」と、「貴女は少女だから無理だな」と大工等の親方達から事ある毎に告げられ。高い給金がもらえるような日雇いの力仕事には、私は女性だからと言った理由だけで絶対に就くことができない。
だから私のような女性は、日雇いでも給金のお安い、お食事や酒を出す宿屋での飲食関連のお仕事か? 女性であるこの身を売り、対価にお金を頂くような夜の春を売る仕事の募集ぐらいしかない。
でも私はこの身を売るような仕事は絶対に嫌なので。いつも低給金であろうとも飲食関連の仕事……。
もうそれこそ? 日雇い募集があれば次から次へと色々なお店に積極的に、勤めに出たのですが。




