会長トラーヌ・タヌキノ
ザドス王国の王都にて奴隷商を営む『タヌキノ商会』の店舗から、
高そうな衣装を着た人物が出て来た。
「うん?地べたに転がって何をしとるんだ、お前達」
「か、会長、こいつが行き成り襲い掛かってきやがってんでさ」
「そ、そうです。何も言わずに魔法を、ぶっぱなして来る危ないヤツなんすよ!」
「俺達は、囲んだりなんかしてませんよ」
「バ、バカ、余計な事を言うんじゃねぇよ!」
「ふ~む、なる程、そう言う事か・・・
そこの君、見た所新人の冒険者の様なカッコをしとるが、
一応、確認をさせて貰えるかね?
ウチの連中が、君が行き成り襲い掛かったと言っとるが、
それは事実かね?」
「始めまして、ご予想の通りに新人冒険者のロックと申します。
ただ今の質問に対する答えですが、
それは、事実に反して居りまして、
実際には、街中で彼女達を保護しまして、ご相談があって伺ったのですが、
そちらの警備の方々が、彼女達を強引に連れ去ろうとしたので、
已む無く撃退させていただいたという次第であります。」
「事実無根っす!」
「やはり、そんな所であったか・・・
それで、君が連れてるのはウチの店から逃げ出した奴隷の様だが、
彼女達の事で相談があるというのは何かね?」
「はい、彼女達を、俺に売って貰えないかと思いまして伺ったんです。」
「初めての奴隷購入っす!」
「ふむ、こう見えてもウチの警備の連中は、
それなりに腕の立つ者達を集めていてね、
それを、傷一つ負う事無く無力化した腕前からして、
ロック君は、新人冒険者にしては腕が立つ様だが、
果たして彼女達を買える程の資金があるのかな?」
「彼女達が売られた時の金額は1500万ギルって聞いたんですけど、
買いたい場合は幾ら払えば良いんでしょう?」
「プライスレスっすか?」
「そうだな・・・2000万ギルと言っても払えるのかね?」
「はい、払えます。」
「持ってけ泥棒っす!」
「あっ!」
その時まで黙ってロック達の後ろに居たカネーが声を上げた。
「どうかしたの?カネーちゃん」
「ホワッツっす!」
「う、ううん、取り敢えずは良いわ」
「そう?」
「気になるっす!」
「では、資金の方の心配は御座いません様ですので、
商談の方へと入らせて頂こうかと思います。
どうぞ、商談室へとご案内致しますので、
店の中へとお進み下さい。」
タヌキノ商会の会長であるタヌキノが、
店の入り口のドアを開けて、ロック達を促した。
「あの~、会長、俺達の事の方は・・・」
「今の話を聞いていたんだろう?
この方々は、歴としたお客様方だ
くれぐれも失礼の無い様にな!」
「は、はい!申し訳御座いませんでした!」
「「「「失礼しま~す!」」」」




