臨時収入
ロックとウィルとで『シャッキーン・バード』を討伐してからの旅路は順調に進み、
王都まで、残り1日といった所で、お約束の盗賊団の襲撃もあったが、
ロックの兄レックのパーティー仲間であるコギクが、
斥候役としての能力を発揮して、襲撃前に察知出来ていた為、
今回は、ロックとウィルは商隊の護衛に専念して、
時折、馬車を奇襲しようと回り込んで来る盗賊を、
ロックの投擲や、ウィルの水魔法で遠距離から狙撃するのみで、
盗賊団の本隊は、残りの面々で壊滅させたのであった。
「普通、盗賊団といったら、
洞穴とかに、秘密のアジトを作って置いて、
盗んだお宝とかを溜めこんで置くもんなんだが、
首領が、高価な魔導具の『収納カバン』に、
お宝を入れて持ち歩いていたのは意外だったな」
盗賊団を討伐した日の晩、その日の宿泊地であるズベラ村の宿にて、
冒険者パーティー『フケヅラーズ』のリーダーである、
ブルースが、そう言った。
ちなみに、集まっているのは各パーティーのリーダーと、
ロックとウィルのみで、他のメンツは各々の時間を楽しんでいる
「きっと、仲間も信用出来ない様な首領だったのね、
私達からすれば、護衛クエストが終わってから、
アジトを探しに行く手間が省けて良かったわよね」
同じく『ヅカージョ過激団』のリーダー、オス☆カルが返事を返す。
「今回の盗賊団は、随分と溜めこんでいたから、
収納カバンから押収した宝を、
『シャッキーン・バード』から回収した現金に加えると、
一人一人の取り分は1千万ギルを超えるな」
ロックの兄である、冒険者パーティー『レックとゆかいな仲間たち』のリーダー、
レックも、そう続けた。
「冒険者って儲かるんだね」
「そうっすね!ロック先輩」
「「「「「いやいやいやいや」」」」」
他の面々からツッコミが入る
「ロック、普通、護衛クエストっていったら、
クエスト報酬の他は、安い魔獣の素材とか、
しょぼい盗賊団の稼ぎを押収するだけで終わるんだぞ」
「そうよね、今回も普通だったら、
5日間の護衛報酬のみで、一人頭10万ギルって所ね」
「そうだな、運が良ければ魔獣や盗賊からの稼ぎが、
5~6万プラスされるって所だな」
「ふ~ん、じゃあ今回は運が良かったんだね」
「超ラッキーっす!」
「運が良いなんてもんじゃ無いわよ、
ハッキリ言って今回の収入の多さは異常だわ、
こんな事は初めてだから、ロック君達の強運が働いたとしか考えられないわね」
「ああ、ベテランの冒険者パーティーの人達でも、
一回のクエストで、こんなに稼いだなんて聞いた事が無いぜ、
ましてや俺達みたいな、ルーキーじゃ初の快挙だろうな」
「そうだな、金額だけみると、A級とかS級パーティー並みの稼ぎだろうからな」
「俺達の運が良いかは兎も角、
S級並みって聞くと凄い感じがするね」
「一流の稼ぎっすね!」
「まあ、折角の稼ぎなんだし、
あと一日のクエストを無事に終了させようぜ」
「そうね、最後の日に失敗して、
稼ぎが、みんなパァとか言ったら泣くに泣けないからね」
「王都に近付けば、魔獣や盗賊は出なくなるから、
油断さえしなければ大丈夫だろ、
ロック、明日も商隊の殿を頼むぞ」
「うん、分かったよレック兄ィ」
「自分も頑張るっす!」




