張り込み
「ところで、ロックの指示に従って、
落とし穴を掘るのは良いんだが、
俺の魔力量で掘れる穴の大きさなんて、
高が知れてるぞ」
「ええ、その辺は、ちゃんと考えてありますよ、
これを使って、魔力量の底上げをします。」
ロックは、アイテムボックスから腕輪の様な物をだしながら、
そう言った。
「それは、何かの魔導具なのか?」
「ええ、ヒデブの街では、知る人ぞ知る、
知らない人は全然知らない、魔導具職人が造った
魔力増幅用の魔導具です。」
「ちなみに、自分は全然知らなかったっす!」
「へ~、そんな便利なもんがあったなんて、
初耳だぜ」
「ええ、これはプロトタイプを元にした
初号機だそうですから、
市場にはマダマダ出回っていませんね」
「一品物っすね!」
「おいおい、そんなもん、ホントに使って大丈夫なのかよ」
「はい、副作用は、ほぼ解消されてるそうです。」
「まあまあ安心っす」
「『ほぼ』ってなんだ!『ほぼ』って!」
「何でも、プロトタイプがケモミミ『しか』愛せなくなるのに対して、
初号機はケモミミ『も』好きになるそうです。」
「なあ~んだ、そんな事か、
それなら、元々ケモミミは大好きだから無問題(モ~マンタイ)だぜ!」
「ですよね~!」
「「「ワハハハハハッ!!」」」
「という訳で、今、ワナを仕掛ける場所を見付けるので、
ちょっと待って下さいね」
ロックは、地面にヒザを付くとジックリと観察し始めた。
「おう」
「了解っす!」
「う~む、こっちが・・・いや、
それなら、まだ、こっちの方が・・・よし、ここですね!
この場所が、何度も重複して通ってる様子なんで、
ここに、落とし穴を掘りましょう。」
「よっしゃ!
じゃあ、さっそく掘るぜ!『掘削』×10
ふ~、俺の魔力量だけじゃ、こんなもんだな」
ロックが指定した場所に、縦・横・深さ3メートル程の穴が出来上がった。
「じゃあ、次は、この腕輪を付けてから、
続きを掘ってくれますか」
「パワーチャージっす!」
「オッケ~、パワーユニット装着っと、
じゃ行くぞ『掘削』×30
おお~、こんなに魔法を使える回数が増えたぜ、
この魔導具スゲェな!?」
先程の穴が縦・横・深さ20メートル程に広がった。
「落とし穴の大きさは、こんなもんで十分ですね、
ドボルさんの方は、何か副作用的なもんは感じませんか?」
「ああ、俺的には何も感じないぞ」
「では、検査をしますよ、
ピチピチの人族のギャルと、
モフモフのケモミミギャルだったら、
どちらが好きですか?」
「どっちも大好物だな!」
「どうやら正常の様ですね」
「そうっすね!」
「「「ワハハハハハッ!!」」」
「という訳で、次に、落とし穴の上に、
俺が、土魔法で薄く蓋を造ってカモフラージュしたら、
後は獲物が掛かるのを待つだけです。」
「張り込みっすね!」
「何か知らんが、コウガ王国で流行ってるアンパンと、
マッドパイソンのミルクが、無性に飲みたくなって来たぜ」
「そう言えば、ドボルさんは畑仕事に行かなくても良いんですか?」
「今は、村の一大事の時だからな、
一日ぐらいなら何とかなるってもんだぜ」
「そうですか、今回の作戦が上手く行けば、
ドボルさんの土魔法のレベルが上がって、畑仕事も楽になるだろうし、
俺やウィルも、お手伝いしますよ」
「任せて欲しいっす!」
「そりゃ助かるぜ、
お礼に何か美味いもんでも、ご馳走するからな」
「はい、ご馳走になります。」
「ゴチっす!」
3人が、ロックのアイテムボックスに入れてあった
お弁当や、お菓子、お茶などを飲みながら、
張り込みを続けていると、
『もう、今日は現れないのかな?』と思い始めた
夕方近くになって、森に変化が現われた。
その変化に、最初に気が付いたのは、
やはり狩猟感覚に優れたロックであった。
「うん?」
「どうかしたか?ロック」
「何かあったっすか?」
「微かなんだけど、
地面が一定のリズムで振動してるんだよ」
「そうか?俺は何も感じんがな」
「自分も確かめてみるっす!」
ウィルは、地表に降り立つと、
両手を地面に付けて、地下水脈の流れを探ってみる
「どうだ?ウィルにも分かるか?」
「はい、この森の下を流れている地下水脈に、
かなりの重量が掛かってるのを感じたっす!」
「ロックとウィルが、そう言うなら間違い無さそうだな」
「ええ、順調に、こちらへと近づいている様ですね」
ロックは、地面に片耳を当てて、
魔獣との距離を測りながら、そう告げた。
少しすると、ドボルでも十分に感じ取れる程に、
地面が振動したり、森の木々がワサワサと騒ぎ始める
「おいおい、まだ姿も見えないのに、
こんなに地面が揺れるなんて、
一体、どんな魔獣が現われるんだ?」
「しかも、地面から伝わってくる音からして、
魔獣は一頭のみの様ですね」
「自分も、そう思うっす!」
「一頭で、この振動って、
まさかドラゴンじゃねぇだろうな・・・」
「あっ、言っちゃいましたねドボルさん、
こう言う時に、そういう事を言うと現実になるんですよ」
「フラグっすね!」
「ええ~っ!これで、もしホントに出て来たら、
俺の所為になるのかよ!?」
「そうかも知れませんね~」
「今回の騒動が終わったら、
結婚する予定とか言わない方が良いっすよ」




