兎は1羽、ではグレートラビッツは?
カランカラン♪
「あれ?誰も居ないのかな?
こんにちは~!」
ロックは、アンラックが経営する『アンラク食堂』の、
入り口のドアを潜って中へと入ると、
店の人が誰も居なかった為、
厨房の奥へと向かって声を掛けた。
「は~い!ただ今、参りま~す!」
厨房の奥から、アンラックの声が聞こえて来た。
少しすると、奥からアンラックがやって来た。
「すいません、大変、お待たせ・・・ああ、ロックさんじゃないですか!
お久し振りですね」
「はい、御無沙汰してます。
今日は、お約束の、お肉の納品で伺いました。」
「それは、助かりました。
ロックさんのお蔭で、安定して、
お客様へ肉料理の、ご提供が出来る様になったので、
客足が増えまして、在庫の肉の残りが心許無かったんですよ」
「それは、嬉しい悲鳴ですね、
じゃあ、早速ですが、お肉を確認して戴けますか?」
「ええ、それは勿論、宜しいのですが、
え~と、そちらは・・・?」
「ああ、彼は俺の相棒でウィルっていうんですよ、
ご覧の通り水妖精です。」
「ちぃ~っす!自分はウィルっす!」
「そうなんですか、宜しくお願いしますねウィルさん、
私は、当食堂のオーナー兼シェフでアンラックと申します。」
「しゃ~っす!アンラックさん、しゃ~っす!」
「じゃあ、お互いの挨拶も済んだ事だし、
仕事の方を済ませてしまいたいのですが、
アンラックさん、お肉は前の様に、
厨房の作業台の上に乗せれば良いですか?」
「ええ、そちらの方に、お願いします。」
ロックは、厨房へと移動すると、
アイテムボックスの中から、
クエストのついでに集めたグレートラビッツとボタンボアの他に、
モミジディアやホロホロ鳥の肉を取り出して乗せた。
「ほう・・・相変わらず、
ロックさんが、お持ちになる肉は品質が良いですね、
普通、新鮮な肉は、何日か、日にちを置く様にして、
お客様に、ご提供出来る最高の状態を、
見極めなければならないのですが、
これらの肉は、直ぐにでも調理出来る状態なので、
このまま、魔導冷凍庫に入れて保存すれば良いから、
とても助かりますよ」
「そ、そうですか、それは良かったです。」
(アイテムボックスの品質向上が、自動で良い働きをしてる、
だけなんだけどね・・・)
「じゃあ、品質の方は確認しましたから、
残りの肉は、魔導冷凍庫の方へとお願い出来ますか」
「えっ?納品分を全部、見なくても良いんですか」
「ええ、これらの肉を見れば、
ロックさんが納める肉に問題が無いのは、一目瞭然なので、
そのまま、詰め込んで頂いても結構です。」
「分かりました。
ご信頼を頂きまして、ありがとう御座います。」
ロックは、アイテムボックスから他の肉を取り出しては、
魔導冷凍庫の中へと詰め込んで行った。
「え~と、グレートラビッツの肉が一頭5000ギルで5頭、
ボタンボアの肉が一頭15000ギルで5頭、
モミジディアの肉が一頭15000ギルで5頭、
ホロホロ鳥の肉が一羽3000ギルで20羽ですから、
合計で、235000ギルですね、
はい、丁度あると思うので、お確かめ下さい」
「分かりました。
ひ~ふ~み~よ~・・・はい!丁度ですね、確認しました。」
「毎度あり~っす!」
「ありがとう御座います。
ロックさん、また、お願いしますね」
「はい、クエストの有無に関わらず、
狩りは、いつもして居りますから、
また、お持ちします。」
「自分もガンガン狩るっす!」
「助かります。
今日は、お二人とも、
この村で、ご滞在されるんですよね?」
「ええ、また隣の宿の方に泊まらせて頂きますので、
宜しく、お願いします。」
「そうですか、では夕食の方は、
腕に縒りを掛けて、お持て成しいたしますので、
ご期待下さいませ」
「ええ、それはもう・・・そうだ!
メニューの方なんですが、ドボルさんが美味しいと仰ってたんで、
『グレートラビッツの香草焼き』で、お願い出来ますか?」
「はい、私の得意な料理なので、
材料は、いつも揃って居りますので、
お出しする事が出来ますよ」
「じゃあ、後からドボルさんも来るって仰ってたんで、
3人前をキープして置いて下さい」
「畏まりました。」
「じゃあ、俺達は宿のチェック・インを済ませてから、
また夕方頃になったら、食堂に、お伺いしますね、
よし、ウィル行こうか」
「ロック先輩、アンラックさんにアレを渡さなくて良いんっすか?」
「あっ!そうだった!
サンキュ~、ウィル、忘れるとこだったよ」
「いえ、自分の仕事は、ロック先輩のフォローっすから、
全然、問題無いっす!」
「ハハハ、いつも助かるよ、
それで、アンラックさん、これなんですけど見た事がありますか?」




