Intermission ???
視点は誰かわかりませんが途中で一応はわかるはずです。
光を照らす二つある月。
その光は太陽のように光っている。
時間で言うなら今は正午。ヒスティマは太陽の代わりに月が光りを放ち、月の変わりに太陽が淡い光を漏らす。
真っ青に映える波打つ海岸。
海独自の曲を奏でているその海岸を歩く人影。
それは少女。黄色のセミロングの髪の上に大きなリボンが乗っているように見える。服は誰がどう見てもバトルドレス。白い布地を着た上に黄色の鎧が肩、胸、肘、手、膝、足にそれぞれ装着されている。
お腹や腕は露出はしているものの、熟練者ならばその歩き方で相当な実力者である事を実感できるだろう。
「ふ~~ふふ~ん♪」
鼻歌を歌いながら海岸を歩く少女は何やら御機嫌のようで、鼻歌で歌いながら歩いて行く。
それからふと、その足を立ち止まらせた。鼻歌も止めた。
「何だろ、今の……」
何を感じたのか、少女は森のずっと向こうにある何かを見つめた。
その何かとは、巨大な魂の波長。一瞬だけ、強い魂の力を感じたのだ。少女は魂に敏感だ。なぜなら、少女が魂を扱う魔法を主とするからである。
そのために多くの人は少女の事をこう言う。
『霊魂神姫』
どこかの国の姫でも、神でもないがそう呼ばれるのだ。
しかし、少女の親友を知っている者ならば納得できる。
それと少女はそう呼ばれる事を快く思っていない。魂の魔法を主に使うのは確かだが、それによって根暗、もしくは狂気の二文字を連想する人が必ずいるのだ。
「言ってみようかな? あ。それだったらユミちゃんでも誘おうかな?」
呟く少女。
足を反対側へと向けて歩きだした。
目指すは電光王国。
王国の割には自由すぎる国。それでも治められていられるのは王女……いや、姫様である彼女のカリスマ性と驚異的な実力だ。
驚異的な実力は時に悪い人に目をつけられる。
素直で優しい彼女は簡単に騙される事が多い。
最近ようやく様になって来たがまだ王女としての自覚が無いために姫様止まり。だが彼女はそれでいいのかもしれない。そのために少女が居るのだから。
「……っと。邪魔者発見?」
森を通ろうとしたら次々と出てくる何者か。
「いっひっひっひ。これまたどこの令嬢だ?」
「全部脱げよ。じゃねぇと脱がせちまうぞ?」
汚い笑い方をしながら出てきたのはどうやら盗賊らしい。それも少女一人に比べて五十はくだらない。
ただ、少女は盗賊を相手するといつも親友と初めて会った事を思い出す。
「初めは盗賊に襲われていて、それを私が助けたんだったなぁ。人を殺したのに慣れろってあの時言ったけど結局誰も殺さないで、死にそうな相手を治してたりするんだもん。しかもそれでやっていけるとか、メチャクチャよ。ってか奇跡かな」
「あぁ? 何言ってやがるこいつ」
「おい、ぬがねぇンなら俺が脱がしてやるぜ? ひひひ」
殺す事は簡単だが、それを親友が許さない。
ならどうするか? 少女にとっては簡単な事だった。
「あなた達の魂。改変しちゃえ」
右手の親指と人差し指でVを作り、盗賊達へ向けてひっくり返した。
それから何事も無かったかの様に歩きだした。
盗賊達は全員追おうとはしない。
段々と崩れていき、全ての盗賊が倒れてしまった。
「これからは市民のため、弱い者のために尽力を尽くしなさい」
それだけを残してその場を立ち去る少女。
決着をつけられた盗賊達が弱いのではない。少女の実力が強すぎるのだ。
だけど、それだけの実力を持っていなければ片手で数えられる人数しか参加しない戦争で勝ち続ける事はできない。
もちろん他の国が片手で数えられる人数では無い。電光王国だけが片手で数えられるのだ。
ほんの少しだが盗賊に時間をとられてしまった。
そのために歩くのではなく走って行く事にした少女。
タンッと二歩、三歩と地面を蹴ると、ようやく森を抜ける。そして見えるは電光王国。その中央へとそびえる塔のような城へと向かって走って行く。
「お疲れ様です、ミユ様」
門に居た兵士の一人が話しかけてきた。
足を止めてその兵士に労いの言葉をかける。
「お疲れっ。ユミちゃんはどこ?」
ついでに親友の場所を聞く。
「エクト様より逃げるためにお城で準備中らしいです」
「相変わらずね、ユミちゃん。ありがとっ」
礼を言ってその場にある転移魔法陣を使って繋がっている塔の内部へと飛ぶ。
塔は三十階まであり、親友の部屋は二階だ。
二階内にある一部屋、では無く二階だ。
少女は塔の中に入ると中心にある魔法陣の上に移動した。
「転移・二階」
少女は呟くと、光が放たれ二階へと転送された。次に目を開いた時には目の前にすでに扉がある。
少女はノックもせずに開けると、中で向こう側を向いて頭の上にあるくせ毛と、肩を大きく揺らしたショートボブの白銀の少女が居た。
こちらをなかなか向こうとしない。どうやら従者のエクトと間違われているようだ。
面白いので黙っていると、白銀の少女も疑問に思ったのか、恐る恐ると言った風に振り向いた。
こちらの顔を見ると、その表情をぱっと明るくさせた。
「ミユちゃん! よかったぁ。エクトかと思った……」
「エクトは見て無いなぁ。ねぇ。さっき大きな魂の波長を感じたんだけど一緒に行かない?」
「もちろん! ぼ……じゃなくて私も一緒に行く!」
すでに準備万端の彼女はぴょこんとくせ毛を立てさせて満面の笑みで答えた。
(あぁ……この一瞬のために私は生きてるような物だよ……。可愛いぃ……ってダメだってば!)
その満面の笑みはつい抱きしめてしまいたいほどに可愛いのだが、少女は理性を何とか振りしぼってその手を取った。
「それじゃあ!」
「抜けだそっか♪」
「どこに?」
次の瞬間。割と本気で窓から抜け出して電光王国の外に逃げてダミーを置いたり隠れたり気絶させようと攻撃してみたりしてどうにか逃げ切る事に成功した。




