Intermission 忍び寄る影
視点は例の人です←例の人って誰やねん(==;
とても暗い。明かりの無い道を進む。
今現在此処に私の目的は無く、ただ暇をもてあましているのだ。
夜の散歩はとても風と静けさが心地よく、いつまでも歩いていたいなどと思ってしまう。
不意に足を止める。
「…………。何の用?」
私は虚空に向かって問いかけた。
虚空は何もなく、誰に向かって話しかけたのかなんて他の人が見ればわからないだろう。
だけども、私は違った。目の前に咲いている一輪の花が腐敗していくのを見ながら、相手の返事を待った。
「黒騎士と白騎士が言うには、聖地達はショウの船に乗っ――」
「それ以上はいい。それで? 報告はいいから、私に何をしてほしい? 今はあなたと同じ、監視の任務についてるのに」
目の前に出てくる黒いフードに驚きもせず、淡々と報告してくるそいつに本件は何と伝えると、その黒いフードは懐から一通の文を受け取る。
私はその文を広げると、中にはこう書かれてあった。
[監視兼潜入の任務御苦労さまである。さて、本件は以下の通りだ]
さっそく次の指示が書かれてある。
どうやら監視兼潜入任務から、敵戦力殲滅と聖地の回収。それによりライコウの外へと構えている兵士や騎士たちのいっせい攻撃開始等々が書かれてあった。どうやら本気でライコウを潰しに掛かるらしい。
この任務。どうやら私達が戦争の始まりを開幕させる重要な役割らしい。
聖地を回収しなければ一斉攻撃ができないと言うのか。そんな事は無いだろう。あの男ならそんなのはお構いなしにいくらでも攻撃しそうだ。
ただ、聖地が邪魔なだけか。それとも聖地を初めに捕まえてしまって戦争中という戦場と駆け抜けて世界の中心へと向かうつもりなのか……。
どの道、聖地を回収しろと書いてある事には違いない。
[他にも、邪魔である【自由な白銀】の抹殺或いは捕縛。世界より選ばれた守り人どもは生け捕りにせよ。他は殺してかまわない]
あのフリーダムな人を捕まえてみろとは、大きく出たものだヘレスティア王。私があの【邪神殺しの夢幻少女】と戦わなければいけないだなんて、面倒くさくて話にならない。
一応力では私の方が上だろう。時を使えるとはいえ、それすらも破壊してしまえばいい話なのだから。
「……所で『腐敗花』。囮はできる?」
私は目の前にたたずむ黒いフードを見る。
「世界より選ばれた守り人以外ならばいつでも殺す覚悟はできて――」
「もういい。それより、アキの前に出たら激怒されると思うけど」
「それは両親を殺したか――」
「そう」
先程から私が全部最後まで言わせない為か、『腐敗花』に苛立ちが見えてくる。
でも、そんなのとは関係なしに私はさっさと実家へと帰って行く。
『腐敗花』は追ってこない。私を無視して家へと帰って行っているのだろう。
どの道二人とも家はこのライコウにある。『腐敗花』は元々この国に住んでいなかったが、私は元々住んでいたのだから当然の事だ。
昔から……か。
私はそんなことを思い浮かべながら遠い月を見て、今ごろ空を飛んでいるだろうリクを思い浮かべていた。
ただ、リクの姿を思い浮かべるといつの間にかその姿は月に照らされた天女の姿になってしまう。刀を二刀ふるい、月の光が刀の軌跡をなぞっている。
でも、想像の中で私はその綺麗な軌跡をすべて断ち切り、リクの首筋へと刃を突き立てる。
このまま私とリクが衝突しあえば、必ずと言っていいほど私に軍配が上がる。
リクは弱い。神には勝てない。特に私は最高神の一人なのだから。
私はそのまま自宅へと入る。中には誰もいない。だれもいないハズ……だったのだが……。
「久しい。何をしにここへ? 魔導士」
なぜか私のソファで勝手にお茶をしているローブ姿の少年。少年だってわかるのは彼を知っているから。ただそれだけだ。
「今回聖地を捕まえる作戦についてお手伝いしに来た方がいいかなって」
「こなくていい。邪魔だから帰って」
お手厳しいとばかりに手を挙げる魔導士。ローブを着ているからその表情は見えないけど明らかに遊んでいる。
「それで、何の用?」
「いんや。何にもないみたいだから、自分はこのまま帰るよ。それじゃあね」
魔導士はそう言うと、ソファから立ち上がり〈テレポート・陰〉で消えて行った。
……一体何をしに来たのだろうという疑問が私の中で残ってしまった……。
次回次章になります。
おそらくⅣの最終章です。
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
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