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ヒスティマ Ⅳ  作者: 長谷川 レン
第四章 森の中の小屋
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強制的に?


「アキさん。知っているんですか?」

「顔は実際は見た事ないけど……でも、炎を司るとは聞いていたから、間違いないと思う」


 どうやらアキが前にあった事があり、石を貰ったと言ったその守護十二剣士が、目の前に居るこの男らしい。

 だが、どうして昨日ボク達を傍らに居る狼たちに襲わせたのかがまったくわからなかった。


「ヘル。お前がこの場所に連れてきたのか」

「そ、う。こん、な森に、来ない、と、会え、ない、人、だから」


 ヘルが男に目を向けたまま答えた。男はため息をついたかのように肩を揺らした。


「して、我にあって何を知る。世界軸ならば、すでに闇と知を失っている。そして先日、土も失った。残るは九」


 九!? ボク達がヘレスティアに言っている間に更に一人減らされるなんて!?

 これ以上またライコウから離れているとマズイだろう。よくわかっていないが、守護十二剣士が倒されてはいけないと夢の女の人が言うのだから。


「違、う」

「ならば、何の用か聞こう」

「あな、たが、教え、てあげ、て。聖地、はまだ、あな、た達、の試練、を受け、よう、とし、てない」

「ほぅ。試練の事を知らないのか」

「そ、う。それ、だけじゃ、ない。聖地、はまだ、弱い。神、も、三体、しか、いない」


 何やら勝手に話が進んでいる。試練やらボクがまだ弱いやら……。

 確かにボクはまだ弱いけど、そのうち強くなるつもりだ。それに、神様との契約を三体としかしていないってあまり関係ないじゃないか。

 などと思っても、やはり多くの神と契約した方が強くなるのかなと思う。


「聖地、お前はこの世界の事をどれくらい知っている」


 急に振られ、ボクは少し戸惑いながらも考える。


「えっと、ヒスティマには魔法が合って……悪魔や神様がいて……」


 他に何か知っているかと訊かれても、あまり知らないと言うほかあるまい。

 ボクが言葉に詰まると、男が何も言わずにその場に立つ。


「では、重要な事と、そして我への挑戦だけを受けてやろう。〈防衛の森〉」


 男がそう言うと――。



 ――突然周りが日の差す森の中へと移ってしまった。



「これ……ッ!?」

「フィールド魔法!? でも、魔力なんて込めてなかったのに!?」

「そんなことよりもここ、昼間通ったような森に似ていない?」


 アキにそう言われ、ボクとユウは周りを見渡す。すると、昼間にみたような木々があり、ヤナギも見て取れる。


「ここは我が最もよく居た場所だ」


 そう言われ、ボクはハッと思いだした。

 その手に持つ本に書いてあった、四番目の炎の項目。防衛任務専門、と。つまりこの森こそがこの人の防衛ライン?

 炎を司るのに森に居るのはいかがなものだろうか。森を燃やしてしまいそうだ。


「あの、どうして魔法を発動するんですか? それに、貴方は八千年前の人で、確か世界の柱になったって言う……」

「そこまでは知っているか。()が今発動したこの魔法は追憶の記憶を呼び覚ます魔法。そして、試練をする上で大事な事だ。後は……」


 そう言うと、男は背を向けて歩きだした。


「今さっきまで居た小屋まで来い。試練について、一通り教えてやろう。未熟者には少々きつい道だがな」


 そう言った男は次には木々の奥へと消えてしまった。

 小屋まで来いと言われたが、どこに小屋があるかなんてわからない。なのにどうやって行けと言うのか……。


「どうしよっか?」

「ヘルちゃん、案内頼める?」


 アキがもっともな提案を出して、ボクとユウはヘルを見る。

 だけどヘルは首を横に振った。


「ヘル、は手を、貸しちゃ、ダメ。アキ、がヘル、と契約、しない、かぎり」

「契約? でも、それってどうするの?」


 アキが尋ねると、ヘルはス――ッと目を閉じて口を開いた。



「ヘル、に実力、で勝つ、か。あなた、の覚悟、を見せて。狂わ、ない、覚悟。残酷、な、あなた、の過去。復讐、には、とら、われない、で」



 それだけ言うと、また目を開く。


「私には、まだ覚悟が無いの?」

「な、い。今、契約、したら、必ず、アキは、狂う」


 ヘルが真剣になって言う。その瞳にはまだあの文字が。アキはヘルの言葉を聞くと、先程、男が消えた方へと歩き始めた。

 あんまりにも暗い表情だったように見えて、ボクとユウはそれぞれ見合わせて、何も言わずにその後について行く……と。ドドドドッという地鳴りが聞こえた。


「何?」

「アキさん、下がってください。ボクとユウが前に出ます」

「う、うん」


 いつものような強みが無い。アキはどこか動揺しているような顔をしていた。まるで、前見たマナのような顔だ。どこか迷っていて、見つけられていない。レナのような顔でもあるかもしれない。

 レナは元々強い性格で、そこまで表情には顔に出さなかったのだから。


 と、いつまでも考えてはいられなさそうだ。

 前を見ると、奥から物凄いスピードで走ってくるイノシシの大群。一頭一頭がバカみたいな大きさで、クマと比べて丁度いいぐらいの大きさだ。


「お兄ちゃん! まずは滑らせて倒れさせよ! そうじゃないとこのままだとただじゃ済まないかも!」

「〈アイスフロア〉!」


 ボクはユウの指示を聞いて、イノシシの大群が走ってくる前方向に向けて、かなり広い範囲を氷の床にした。すると、イノシシはつるつると滑ってどんどんこけていく。立とうとしてもまたこけての繰り返しだ。

 だが、そんな前を走っていたイノシシ達を見てか、氷床の前で、イノシシ達がジャンプをし始めた。その距離はとても大きく、そのままボク達の所まで届いてしまいそうだ。


「どっけぇー! 〈焔神技・破ノ型 焔舞煉獄 ニ双連〉!!」


 ユウが巨大な炎が濃縮された刃を降り注いでくるイノシシへと放つ。

 空中で身動きが取れないのはイノシシも同じ。だけどイノシシは恐れずにその濃縮された炎へと飛び込んでいった。



 だが――イノシシはその炎を通り越してボク達へと突進を繰り出してきた。



「どうして!?」


 ボクはすぐにアキの隣まで言ってアキの手を引きながらイノシシの突進を回避していく。

 だが、さすがにとてつもない量だったために避けきれないイノシシが出てくる。そのイノシシにはツキを縦にして防ぐと、アキとボクは一緒になって後ろへと飛んでいく。


「きゃぁ!」


 アキは悲鳴を出すも、ボクは悲鳴を出すのも惜しく、すぐに受け身を取ってアキを抱きかかえると、更に突進してきたイノシシに向けて魔法を放つ。


「〈氷柱〉!」


 だが、壁となった氷に突進してきたイノシシはいとも簡単に氷を割って突っ走ってくる。


「〈フラッシュ〉!」


 アキが目くらましの魔法を使っても、イノシシは真っ直ぐに突っ込んでくる。だけどボクとアキがそのイノシシを避けると、イノシシは木に突進。そのまままっすぐ走り去って行ってしまった。


「目が見えなくて真っ直ぐに走ってるみたい。これなら……」

「く、どういう事!? どうして炎が効かないの!?」


 ユウは炎で応戦するも、イノシシ達が倒れる姿は無い。ユウはついには炎を発動するのもやめて、剣で斬りつけはじめた。だが、その剣に炎を纏わせていたらイノシシ達はびくともしていない。つまり……。


「このイノシシ達、炎属性、みたいな感じ?」

「リクちゃん! 次来る!」


 アキに指示されてボクは避ける。そこをアキが間髪いれず〈フラッシュ〉を使い、イノシシを真っ直ぐだけに進ませた。

 おそらく、水系統の魔法なら行けるのだろうが、生憎とここにレナがいない。そして、ユウが何度も切りつけてもイノシシ達が倒れる姿が見えない。このイノシシ達は斬られても血ができない所から魔法で召喚されたんだろうけど、ルナの無力化が効かない。


 ピンチの中、ボクは視界の端に確かにみた。




 ――凍った床が完全に溶けて、その上を走ってくる先程まで倒れていたイノシシ達を……。




「に、逃げるよユウ!!」

「わかった、お兄ちゃん!!」

「〈フラッシュ〉! 〈フラッシュ〉!!」


 いつの間にかヘルがいない。どこかで見ているだろうが、今はそんなこと気にしていられずに、ボク達は男が消えた反対方向へと逃げていった。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

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